脳筋戦法なんてニコチンに侵されすぎてますわ
どうも、無職です。
甘き死よ来たれ
「な、何?!」
突然の背後からの攻撃にブラック・デビルは慌てる。それもそのはず。先ほどピアニスの投げた7本の吸い殻は全て叩き落したはずだからである。にもかかわらず叩き落したはずの吸い殻はピアニスの周りを円周上に周回している。
「煙草式魔法七式“七星”」
ピアニスがそう言った瞬間、ピアニスの周囲にいた吸い殻は次々とブラック・デビルへと向かっていく。
「くっ……」
ブラック・デビルは“紫煙”を駆り、縦横無尽に飛翔する。だが、ピアニスのはなった吸い殻はブラック・デビルを射止めんと、どこまでも追いかけてくる。
「煙草式魔法四式……“ポイ捨て”!!」
ブラック・デビルは向かってくる吸い殻に向かって、自身の吸い殻を投げ“ポイ捨て”を発動。ほとんどの吸い殻は爆炎に包まれるが、2本だけ無事だった吸い殻はなおもブラック・デビルを追い詰める。すると、ブラック・デビルはさらに天高く舞い上がり、さらに“ポイ捨て”を発動。ピアニスの放った“七星”は全滅した。
「なんとなんと……私の知らない煙草式魔法ですか。ハハハハハ!面白い!実に面白い!!」
同じく“紫煙”を駆り、上昇してきたピアニスをまるで新しい玩具を手に入れた子供のように見つめるブラック・デビル。対してピアニスは冷たい笑みを浮かべながらこう言った。
「500年の間に魔法も煙草も進化したのですわよ。あなたの煙草はもはや時代遅れ。おとなしく隠居したらどうですの?」
「ンフフフフフ……ですが地力は私のほうが上。小細工なしの真っ向勝負では500年程度じゃ覆せませんよ?」
嗤うブラック・デビルにピアニスはため息をつく。
「残念ですがそんな脳筋じみた考え方ではこの私には勝てませんわよ。古の悪魔と聞いて期待していたのですが目を見張るのは煙草式魔法の威力だけ。知恵も何もない獣ですわね。」
冷たく笑い、言い放つピアニスにあからさまに怒りの表情を浮かべるブラック・デビル。
「……いいだろう。そこまで言うのであれば見せてやる我が煙草式魔法の最終奥義。貴様のような物真似ではたどり着くことのできない。煙草の究極の極致を!!」
・・・・・
・・・
「くそったれが!限界がすぐそこまで来たか!」
悪態をつくイクォス。彼はたった一人でブラック・デビルに操られた人々相手に奮闘していた。すでに一時間以上一人で戦い続けているが一向に数が減る様子はない。しかし、彼の魔力は底をつき始めていた。
無論この数、殺すだけならば片手間に終わる。だが彼らはただ操られただけの罪なき人々。彼らを殺すことは避けたかった。それは主であったニッコ・レートの願いでもあったからだ。だがらイクォスは気絶させるのみでとどめ、急所は狙わないように細心の注意を払いながら戦っていた。だからこそ、彼は追い詰められていたのである。
「タバコオオオオ!!」
その時、一瞬の隙をついて鍬を持った住民の一人が肉薄する。操られているため何の恐怖もない一撃はイクォスの命を
終わらせることはなかった。なぜならば間に入った何者かが、イクォスの首を刈らんとしていた鍬を両断していたからである。。
「やあ、ずいぶんと大変そうだね。手伝おうか?」
そこには、帝国の皇太子であるアニスが不敵に微笑んでいた。




