悪魔は嗤う
どうも、マイナビ2021があと一か月ほどで閉鎖してしまうと知り、とてつもなく焦っている工学畑出身の者です。
これを読んでいる人事課の方がいましたら私を雇ってください。
「ピアニス、元々あった喫煙所の場所に印を付けてくれ。」
「分かりましたわ」
ピアニスはアニスに指示されたとおり、元々コマスにあった喫煙所の場所に印を付けていく。元々あった喫煙所の場所はコマス全体にほぼ均等に位置していた。その周りには新たな喫煙所が乱立している。
「ということは……ここが怪しいな。」
アニスは地図上のある一点を指した。そこは、新規の喫煙所のみが最も密集している場所であった。
「元々あった喫煙所の周りに新たな喫煙所が乱立しているのは、喫煙する人数に対して灰皿が足りないからだろう。だが、ここはどうだ?」
「なるほど……煙草を吸いたくなる何かがそこにはあると言うことか。」
アニスの言葉にイクォスは頷いた。だが、ピアニスは難色を示した。
「ですが、ここは最も喫煙所が密集している地帯。ここからそう遠くはないですが、どうやって潜り込みましょう?」
「それはさっき僕が使った透明化の魔術を使うしかないだろう。」
「そう言えば殿下、先程の魔術について詳しい説明はなかったのですが。」
「ああ。この魔術は我が王家に代々伝わる魔術だ。こんな身分だから命を狙われることだってざらにある。だからこそ逃げ延びるための魔術を学ぶんだ。さっきの透明化はその一つさ。この魔術は一回につき3分しか持たないし、一度使ったら10分は使えない。だから使いどころを考えないとね。」
そういってアニスは再び地図に目を戻し、最適なルートの探索を始めた。
「殿下、それを私たちに話してもよろしいので?」
サラリと王家に伝わる魔術の存在を打ち明けられ、困惑するピアニスだったが、アニスは笑ってこう言った。
「君たちは信用しているからね。……よし、最短のルートはここだな。じゃあ行こうか。」
・・・・・
・・・
コマスのとある小さな商会。
そこで、一人の黒づくめの男が一人、煙草を吸っていた。部屋の中はむせ返るような煙草の甘いにおいが充満しており、煙草の煙のせいか、部屋の中は霞がかっている。
黒づくめの男は煙を一つ吐くとこうつぶやいた。
「ふぅー……虫が…紛れ込んできたようですね。これはどうやらあの時の小娘と忌々しいニッコ・レートの魔道具……ですか。ふふふ……」
男の血のように真っ赤な唇が吊り上がり、まるで三日月のように弧を描く。
「よろしい。では出迎えをしなくてはなりませんね。」
男は立ち上がり、部屋にある唯一の窓から、商会の周りに乱立している喫煙所でタバコを吸う人々を見下ろすと、パチンッと、フィンガースナップを鳴らした。すると、煙草を吸っていた人々は煙草を咥えながらぞろぞろと、どこかへと向かっていった。
「さあ行きなさい我が傀儡よ。このブラック・デビルの前に虫どもを連れてくるのです!!」
黒づくめの男……ブラック・デビルは高らかにそう言った。