流石に3人じゃ厳しい物がありますわ
どうも、就活生です。
就職先が見つからないためしばらく更新が乱れに乱れ地に落ちます
店主から渡された“ジェットフィルター”と名付けられたそのフィルターは通常の物とは異なり、中心には穴が開いている。例えるならば吸い口の部分がストロー状になっている少々変った形をしている。
「これは……変った形をしておりますが?」
「その形に秘密がある。このフィルターで煙草を吸うと、煙が勢いよく口の中へと入り、尚且つ煙が凝縮して吸えるようになっている。つまりだ、従来のフィルターよりも濃厚な煙草の味わいを楽しむことができる。」
店主の説明にピアニスは目を輝かせた。
「感謝いたしますわ店主!!これでより深く煙草を楽しめるというもの!!」
「それとほれ、これもやる。」
店主は木製の短い筒状の物体をピアニスに手渡した。
「これがあれば、缶ピースのような両切りの煙草でもフィルターをセットして吸うことができる。ほかにもフィルターが千切れちまった煙草とかでも、これさえあれば難なく据えることができる。お前さん、両切りの煙草吸うの下手くそみたいだからな。」
そう言って笑う店主にピアニスは赤面した。
・・・・・
・・・
その後ピアニス一行は店主に御礼を言い、タバコ屋を後にした。
「さて、店主の行っていたブラック商会とやらを探そうか。」
アニスの言葉に2人は頷いた。
タバコ屋の店主は3人にとって有益な情報を最後に与えてくれた。一つはこの街で新たにできた喫煙所の位置である。これによってこの街でも活動がとてもしやすくなった。
そしてもう一つは店主を襲ったブラック商会という存在である。店主は確かにそのように名乗っていたと言っていた。
もともとコマスでは商会の入れ替わりが激しく、気がついたらできていた商会や気がつけば無くなっている商会は山ほどある。おそらくブラック・デビルはそれに目を付け、この街に潜り込み煙草を流通させたのだろう。
その上ここは帝国の交易の中心地でもあるため、自身の煙草を流通させるには絶好の場所である。だとするならば
「奴はおそらく、この街に拠点を構えているはずだ。単なる潜伏先ではなく、根を張る場所として。」
と、イクォスの推測のもと、ピアニス達はブラック商会の捜索をしていた。
だが、この広い商業都市“コマス”の中でたった一つの商会を3人で探すのは、かなり困難であった。ブラック・デビルによって創り出された煙草に住民達は侵されており、聞き込みによる情報収集も行なうことはできない。
ブラック商会の捜索は難航していた。
「くっ……面倒なところを拠点にしやがって……」
悪態をつくイクォス。ずかずかと歩きながら次の裏路地を曲がろうとしたところで、ピアニスに首根っこ捕まれた。
「お待ちくださいイクォス様。その先には喫煙所がありますので、こちらから迂回していきましょう。」
「……わかった。」
頭が冷えたのか、イクォスは大人しくなった。すると、アニスがピアニスに対してこう言った。
「なあピアニス、僕の気のせいじゃなければ先程から喫煙所に遭遇することが増えている気がするんだけど。」
「確かにそうですわね。ここら辺は商会が集中しているせいで喫煙所が乱立しているのでしょう。」
「ちょっとピアニス、地図を見せてくれ。」
アニスに言われ、ピアニスは喫煙所の場所が書き込まれた地図を広げる。それを見てアニスは少しの間考え込むと
「……もしかして」
何かに気がついた。