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アニスの不安

「はっはー!ここであったが運の尽き!!この煙草やるからお前を……ゴベラッ?!」


「て、てめええ!!最後まで人の話を……ブベぅッッ?!」


「喧しいので黙っていてくださる?」


ピアニスの蹴りと拳が盗賊達の顔面にめり込み、盗賊達はピクピクとヒキガエルのようなうめき声を上げながら痙攣している。


「ピアニス……」


「容赦ないな。」


その光景を一緒にいたイクォスとアニスは苦笑いしながら見ていた。


現在三人はコマスへと馬車に乗って移動していた。その道中盗賊が現れるが、ピアニスに瞬殺され今に至るというわけである。


「やはりな……見ろコイツも悪魔に操られている者の一人だ。」


イクォスが気絶している盗賊の荷物を漁ると、大量の黒い箱に入った黒い煙草が出てきた。黒い箱には血のような真っ赤な文字で“BLACK DEVIL”と書かれており、箱の中心には可愛らしげにデフォルメされた悪魔のエンブレムが刻まれている、


悪魔の煙草を興味津々に見ていたピアニスだったが、すぐにイクォスに取り上げられ、煙草は燃やしてしまった。


「いいか、絶対に吸おうとするなよ。」


迫力のあるイクォスの言葉にピアニスは大人しく頷いた。


・・・・・


・・・


「それで、現在のコマスなんだけど、皆自分の店を放置して喫煙所に殺到している状況らしい。」



コマスへ向かう道中、アニスは諜報員からの報告を二人に話す。


「皆喫煙所で煙草を吸うなんて……何て行儀が良いのかしら……」


「そういう問題じゃないからねピアニス!!」


「実際の所、喫煙所に集まるのは500年前も見られた光景だ。マスターもそこに悪魔討伐の鍵があると思っていたらしいが、よくよく調べたら煙草を吸う者の深層心理に煙草は喫煙所で吸う物という認識がほぼ全員にあったらしい。どうやら喫煙マナーに関しては500年前と変わらんらしい。いいことだ。」


「まあ、500年前の方々も行儀がよろしかったのですね。私てっきり道ばたにポイ捨てしている物だと……」


「現代とは違い、500年前は木造の建築物が多かったからな。現代以上に煙草のポイ捨てに関する罰則は厳しかったぞ」


「そうなのですか……初耳ですわ」


イクォスの話に感心したような声を上げるピアニス。そんな二人を見ていたアニスは


「頭痛くなってきた……」


と、額を押さえた。


ちなみに帝国の王位第一継承権を持つ彼がついてきたのは父であり皇帝であるエドヴァンから


「これも修行だ。若い内の苦労は買ってでもしておけ!」


と命じられたためである。


「本当に大丈夫なのかなぁ……?」


目の前で500年前と現在の喫煙マナーの善し悪しについて語り合う2人を見てアニスは不安げにつぶやいた。




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