慌ててはいけませんわ
どうも。最近Twitterやツイキャスでモンハンに関することしかつぶやいていなかったら、小説を書いている人だと認識されなくなっていました。
「見つけました!ここから西に約10キロ……これは商業都市“コマス”! 悪魔の反応はそこにあります!」
洞窟の調査から5日後。ピアニス達含む調査隊はブラック・デビルの痕跡を発見。すぐに国内最上位に位置する探知魔法の使い手痕跡を渡し、ブラック・デビルの捜索を始めた。だが、悪魔の探知はそう簡単にはいかなかった。探知魔法の使い手曰く、ブラック・デビルは各地に偽装した痕跡をばらまいていたらしく、捜索は困難を極めた。だが、五日経った現在、偽装した痕跡は次々と反応を無くしていき、ついに反応は一つだけになったらしい。
「おそらくこれはブラック・デビルの準備が完了したと言うことだろう。奴は完全に力を取り戻したからもう惑わす必要も無くなったと言うことだ。」
「なるほど。それに、コマスであれば国の流通の中枢。人々を洗脳するための煙草を流通させるにはもってこいの場所だ。至急、コマスにいる諜報員からの情報を集めろ。」
イクォスの話にアニスも頷き、近くにいた兵に指示を送り、兵士は駆け足で部屋から出て行った。
一気に慌ただしくなってきたが、ピアニスだけは
「フゥーー……The Peaceも良いですが、やはり金ピースも缶ピースも捨てがたいですわね。」
と、窓際で優雅に煙草を吸っていた。その横にはこんもりと吸い殻の載った灰皿が。
「ピアニス……君はいつだって変わらないね……」
「こんな奴にマスターは未来を託したのか……」
アニスとイクォスの先程まで張り詰めていた空気は何処へやら。いつも通りのピアニスを見て2人の肩に入っていた力が抜ける。
2人が力なく嗤う様子を見てピアニスは不思議そうに首をかしげると
「……? 吸います?」
と声をかけ、2人はさらに脱力した。
・・・・・
・・・
所変わって商業都市“コマス”
活気のあった商店街は水を打ったかのように静まりかえっている。だが人がいないというわけではない。皆一カ所に集まり煙草を吸っていた。その煙草は黒く、煙からはむせかえるほどの甘い香りがしている。それを吸っている人々の顔はまるで夢を見ているかのように恍惚としている。
その様子を屋内から顔を顰めながら見ている人物が一人
「……ったく、あんな甘ったるい煙草の何処が良いんだか。」
ピアニス御用達のタバコ屋の店主である。
あの甘ったるい香りをまき散らす黒い煙草が出回ってから店の売り上げは激減し、商売あがったりの状態となってしまい、自分の煙草すら買えず、ニコチン切れになることも多々あり、最近はかなり機嫌が悪い。
カウンターで機嫌悪そうに片肘をついていると、約一週間ぶりに店の扉が開かれた。
「……らっしゃい」
無愛想に来た客に言う店主。そこに立っていたのは黒いコートを着た長身の男だった。
「初めまして。私最近こちらで商売をさせていただいていますブラック商会のデヴァルと申します。今回は貴方様に我が商会で販売しております煙草の委託販売をお願いしたく参りました。」
デヴァルと名乗ったその男は怪しげに嗤った。