やはり当たりでしたわ
「フゥーー……見た目の割にたいしたことありませんでしたわね。」
煙草を吸うピアニスの前には“根性焼き”によって眉間を撃ち抜かれ絶命しているキング・グリズリーが横たわっていた。
そしてピアニスの後にいたウェアウルフ達はしばらく固まっていたが、すぐに気を取り直し、解体作業の準備を始めていた。
「さて……」
ピアニスはその間に自身の魔力を流し、この森にいる魔物達の探索を行なった。すると、周囲に魔物達はいるようだが、その多くにはこちらへの敵意は感じない。どうやらこのキング・グリズリーはこの森でも生態系の上位にいたらしく、それをピアニスが事も無げに瞬殺してしまったことから森の魔物達はピアニスを恐れ、とりあえずは様子見をしているらしい。
それよりもピアニスの魔力による探索に気になる反応が2つほどあった。一つはピアニス達に向かって一直線に向かってくる反応。
「これは……ふふ、どうやら当たりのようですわね。」
この見知った魔力の波形。間違いない、イクォスのものだ。このペースであれば5分もしないうちにこちらに接触してくるだろう。
そして気になるのは洞窟の中にあるらしいもう一つの反応。こちらの方は一体何なのかピアニスには全く見当も付かない。多少変わった波形をしているが、魔力の波形的に人間なのだろう。だが、その反応は微動だにもしていない。その上反応が消えそうなほど弱まったり、はたまたかなり強くなったりを繰り返している。
「ふむ……これは一体……?」
今まで見たことのない魔力の波形に考え込むピアニス。だが、その思考を止める存在が目の前に降り立った。
「よお、また会ったなヤニカスのお嬢様。」
「ええ、お久しぶりですわねイクォス様。」
ピアニスが声のした方を見ると、黒いローブを身に纏い、加熱式煙草を吸う黒髪の青年、イクォスがそこにいた。
ピアニスは新しい煙草を咥え火を付ける。それを見てイクォスは両手を挙げてこう言った。
「まあまて、今日は何もドンパチしに来たわけじゃねえんだ。ちょっとあんたと話をしたくてな。どうだい?話し合いに応じてくれるか?」
その言葉にピアニスは煙を一つ吐き出すとこう言った。
「良いですわね。でもここでは何ですし……この先に洞窟があるみたいなので、そこでお話しませんこと?」
その言葉にイクォスは固まった。どうやら先程の不可思議な反応はイクォスに関わりのあるものらしい。イクォスの反応を見てピアニスはさらにたたみかける。
「その洞窟の中になにやら不可思議な反応がありまして、もしかしたら私たち以外に誰かいるのかもしれませんわ。ついでに洞窟の中の探索に洒落込みませんこと?」
ピアニスに言われ、固まっていたイクォスだったが、しばらく考え込んだ後、いつになく真面目な顔になると
「……わかった。」
と一言だけ言った。
そう言えば星が5000個超えると新しい世界が見えるらしい。