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ただの親子喧嘩ですわ

今日こそは……今日こそは言わねばなるまい!!


セレスティン帝国宰相であるマイルド・セブンスはピアニスの部屋へと向かっていた。


目的はただ1つ。ピアニスに禁煙してもらうことである。


(貴族令嬢たるもの……煙草などという下賎なものを吸っていてはいつまで経っても嫁の貰い手がつかん!それだけは避けねば!!)


煙草式魔法が強力なのはその身をもって十分分かっている。だが、可愛い我が娘がそのような魔法を使っていてはいつまで経っても幸せにしてくれる者が現れないかもしれない。禁煙を無理にでも進めるのはマイルドの親心でもあった。


前回は不覚をとったが今回は万全の体制でマイルドは望んでいる。


肺には浄化魔法を。そして、服の下には水魔法を用いて作り出した鎧を着込んでいる。万が一にも敗北はありえない。


マイルドはピアニスの部屋の前に立つ。扉の向こうからは濃い煙草(ヤニ)の匂い。


マイルドは深呼吸をすると思い切り扉を開けた。


「ピアニス!いい加減煙草を…………!」


マイルドは絶句した。何故ならば


「煙草式魔法七式」


「ピ、ピアニス……!?」


「お父様、何度も言いましたが私は煙草を止めるつもりは一切ございません。」


煙草の煙をふかしながらマイルドに言い放つピアニス。


「くっ……ならば実力行使あるのみ!!水龍よ全ての穢れを浄化せよ!!」


マイルドはヤケになったのかピアニスに向かって過去最大級の浄化魔法を放った。マイルドの魔法は荘厳な巨大な龍となり、ピアニスヘと一直線に向かっていった。


この魔法は穢れた存在である魔物に対しては驚異となる魔法だが、人体に対しては身体の悪しき病などの穢れを浄化し、二度と穢れに侵されないようになるもので、人にとってはデメリットの無い魔法である。


ただしピアニスにとっては驚異となる魔法で、煙草は穢れとして認識されるため、この魔法をまともに喰らえば一生煙草が吸えない体となってしまう。


なので


「私は抵抗させていただきますわ!'七星'!!」


マイルドの放った水龍とピアニスの放った七星が激突する。


7つの煙草の吸殻は水龍激突した瞬間に爆発し、水龍の体を削り取っていく。だが、水龍はギリギリ耐え抜き、ボロボロとなった身体でピアニスへと向かっていく。


「ははは!!!残念だったなピアニス!!諦めて禁煙するんだ!!」


ピアニスの攻撃を耐え抜き、水龍がピアニスへと向かっているのを見て勝利を確信し、高笑いするマイルド。


だが


マイルドは知らなかった。


煙草式魔法七式''七星''は咥えた煙草、そして吸殻含めた7本の煙草を飛ばし爆発させる魔法ではなく、7本の吸殻を咥えている1本の煙草で魔力を操作するということを。


つまり


「な、なぜお前は煙草を銜えている!?全て爆発したのではなかったのか?!」


「残念でしたわねお父様。煙草式魔法一式''根性焼き''!!」


ピアニスの放った''根性焼き''による熱波は死に体だった水龍の身体を軽々と蒸発させ


「う、うわぁぁぁ!!!」


マイルドの体をも吹き飛ばした。


「うぐ……が……くっ……ピアニス……」


大きな怪我はないようだが、勢いよく壁に激突したこともあり、動けないマイルド。そんなマイルドに対しピアニスは


「ではお父様、少々出かけてきますわね皇帝陛下よりさずけて頂いた領地の視察をしたいので

。」


と、美しい笑みを浮かべ、護衛であるウェアウルフを引き連れ出かけて行った。


残されたのはマイルドと、執事のメビウス。


「だ、旦那様……」


動けないマイルドに慌てて駆け寄るメビウス。


「……なあ、メビウス。ひとつお前に聞きたいのだが」


すると何を思ったのかマイルドはメビウスに対して疑問を投げかけた。


「はっ、なんなりと!」


「私の娘……強すぎない?」


「………………」


メビウスは何も答えられなかった。





今日の夢に星が出てきたので星ください

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