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事前の準備はしておくものですわ

「フゥーー……やはり母国で吸う煙草は安心感がありますわ」


数日後、ピアニスはクリーニアから実家へと戻ってきていた。


あの日、ピアニスは単騎でクリーニアの重臣を捕縛。そしてピアニスの侍女達により集められた大量の証拠により、帝国の存亡を脅かそうとしたことが公となり、マーラス含め帝国内でもクリーニアと繋がっていた者は全員投獄された。処刑は免れたようだがピアニスの元で全員死ぬまでの労働が決まっているようだ。そして協力関係であったベイパーにも近々多額の賠償請求がされるらしい。


そして、クリーニア王国だが、ピアニスの予定通り帝国の領地として吸収されることとなった。ピアニスはこのことを見越し、手続きのほとんどをアニスや父であるマイルドに事前にしてもらっていたため、手続き自体はとてもスムーズに完了した。


そして


「ピアニス、時間だ。王宮へ向かうぞ。」


「はい、お父様。」


・・・・・


・・・


数時間後、ピアニスは王城の謁見の間にいた。


目の前には豪華な椅子に座るエドヴァン皇帝とアニスがいる。そして周りには帝国の重臣達が数多くおり、全員がピアニスのことを見ている。


「面を上げよピアニス・セブンス。此度の働き大義であった。おかげで帝国の平和は守られた。礼を言う。」


「いえ陛下。もったいなきお言葉。」


恭しく礼をするピアニス。エドヴァンはそれを見て満足そうに頷くと


「さて、此度の件について褒美を出さねばなるまい。アレを。」


エドヴァンに言われ、一人の執事が美しい装飾のされた剣とメダルを持ってきた。エドヴァンはそれを受け取ると、ピアニスへと差し出しこう言った。


「此度の件を称え、ピアニス・セブンスにセレスティン平和勲章、並びに領地を授ける。」


「ありがたき幸せ。」


謁見の間は盛大な拍手に包まれた。


・・・・・


・・・


叙勲式の終わったピアニスはアニスに呼び出され、アニスの執務室へと来ていた。


「ピアニス、今回はありがとう。おかげで助かったよ。」


「この国の者として当然のことをしたまでですわ。」


「……普通単騎で国を滅ぼせる貴族なんていないんだけどなぁ……」


「そんなことより灰皿はありませんの?」


「はいはい。」


早速煙草を吸い始めるピアニス。アニスはそんなピアニスを優しげな笑みで眺めている。そしてすぐに真剣な顔になると口を開いた。


「それでだ。クリーニア国王の足取りなんだけど、密偵の総力を挙げているがまだつかめていない。」


そう、あの日ピアニスの目の前から逃げた二人は未だ見つかっていない。クリーニア国王の法はどうでも良いのだが、問題はイクォスだ。彼はなにやら変わった杖を用いて擬似的とはいえ煙草式魔法を発動させていた。


「そうですか。では、イクォスという名の黒髪の御仁に関する情報は何かありました?」


「それなんだが……ピアニス、我が国で黒髪というのはかなり珍しい。極東の民族は黒髪が多いらしいが、彼等が我が国に来たのはほとんどない。それに、ピアニスト互角に渡り合えるほどの魔法を使える者となるならば自ずと的は絞れてくる。で、一人だけ見つかったよ。全ての条件に合いそうな人が。」


「で、それは何処のどなたなんですの?」


ピアニスはアニスに問うが、アニスはすごく答えづらそうにしていた。


「どうしました殿下?」


「いいいかいピアニス、これから僕の言うことは冗談でも何でも無い。本当にイクォスという男と特徴が合致した者の名前を言うだけだ。」


「わかってますわ?」


「ああ、じゃあ言おう。その男の名は」


次の瞬間、ピアニスは愕然とした。なぜならば、その男はもう死んでいるはずなのだから。


「その男の名はニッコ・レート。500年前に実在した大賢者だ。」


就職が決まらず親になじられる僕に星とブクマと書籍化をください

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― 新着の感想 ―
[良い点] イクォスってアイコスかw ニコレットww
[良い点] 更新お疲れ様です&50話到達おめでとうございます(*^▽^)/★*☆♪ そんな記念すべき回を禁煙ガムさんの名前で〆ますか!?(笑) [一言] ピアニスさんの領地は一面の煙草畑になるのでし…
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