ば、馬鹿な……それは
どうも、聖なる6時間をモンハンで耐え抜いた男。
ピアニスが幽閉されていた塔から脱出し、圧倒的な力でもって兵士達をなぎ払いこちらへまっすぐ向かっていると言うことを知ったクリーニア国王、アドマス・ヴァン・クリーニアは慌てていた。
何しろ塔に幽閉し、その上煙草を取り上げ強力な魔法を使えないようにしていたはずなのに、彼女は現在、その強大な力で以てこちらへ向かってきている。
アドマスは冷や汗を滝のように流しながら王室の奥にある、遠距離にいる相手とも会話のできる魔法水晶に手を置き、ある人物を呼び出した。
「……こんな夜更けに何の用だ」
「た、頼む!助けてくれ!この国の危機なのだ!!」
「報酬は?」
「し、白金貨10枚でどうだ?」
「25枚だ。それ以下ならお前を切り捨てる。」
「ぐっ……わ、わかった。」
渋々黒いローブの男からの条件をのむアドマス。すると魔法水晶が輝き始め、輝きが収まると、そこには先程まで魔法水晶でアドマスと会話していた黒いローブを着た黒髪長身の男がそこにいた。
「それで、状況は一体……?!」
ドゴォォォンッッッ!!
黒いローブの男がアドマスに現在の状況を問いただそうとした瞬間、王室の壁が吹き飛び、何かが飛び込んできた。
「見つけましたわアドマス王」
「ひ、ひいいい!!」
その正体は煙草を咥え、紫煙に乗ったピアニスであった。
そんなピアニスを見たアドマスは情けない悲鳴を上げながら黒いローブの男の後ろに隠れ、黒いローブの男はそんなアドマスを汚い物を見るかのような目で見るとすぐにピアニスへと視線を戻した。
「セブンス・ピアニスだな。」
「……ええ。貴方は?」
「俺の名はグロ・イクォス。悪いがそこをどいてもらおう。」
黒いローブの男、イクォスは10cmほどのかなり短めの杖を抜いた。
・・・・・
・・・
「煙草式魔法七式“七星”!!」
「ふっ!甘い!」
ピアニスが放った7つの煙草を一つも残さず撃ち落すイクォス。その隙にピアニスは追撃を仕掛けようとするが、イクォスの放った魔法によって後退を余儀なくされる。
2人が戦闘を始めてすでに20分ほどが経過。実力は拮抗していた。
「フゥーー……やりますわね。」
「アンタもな。なあどうだ。このまま闘うのも時間の無駄だし、退かせてはくれないか?」
「アドマス王を引き渡してくれるなら考えますわ。」
それを聞き、イクォスは少々悩んだようだったが
「悪いな。依頼は断れん。ここは潔く退かせてもらおう。」
「……逃げられると思いますの?煙草式魔法七式……」
ピアニスは新たな煙草を咥え、呪文の詠唱を始める。それを見てイクォスは不敵に笑う。
「一つ、面白い物を見せてやろう。」
イクォスは自身の杖に白い2㎝ほどの小さな円柱状の物を刺し、そして咥えた。
「ま、まさか……!!!」
「加熱式煙草魔法二式“主流煙”」
辺り一帯が煙で包まれた。