また面倒なことに巻き込まれましたわ
「はぁ……」
王城の自室にてアニスは頭を抱えていた。
アニスが頭を悩ませているのは、無論ベイパーとクリーニアに関してだ。両国からは兵士を不当に拘束されたとしてかなりの圧力を掛けてきている。アニスの目の前にある二通の手紙は両国の外交官からの物で、今回の帝国の行動を糾弾する内容が書かれていた。
「爆弾の件と言い、兵士達の話、そして武器。これだけ証拠がそろっているのに何で非を認めようとしないんだ……」
帝国としてもこれ以上の揉め事になるのは本望ではない。これ以上こじれれば、下手をすると二国を相手にした泥沼の戦争になることだってあり得るのだ。
なんとか荒事にならないよう解決したいアニス。
そこへ
「ちょっといいかしらぁ?」
マーラス第三側妃がノックもせずアニスの部屋へと入ってきた。その瞬間、アニスは最大限の警戒をする。
「マーラス妃、一体何のご用ですか?」
「いやねぇ。今回私の母国が問題を起こしてしまったみたいだからぁ?私がその仲介をしようと思ってぇ?アニス君も大変みたいだしぃ?」
アニスの問いに怪しげな笑みで答えるマーラス。
「そうですか。では父上と相談しつつ前向きに検討してみます。モシそうなった場合は宜しくお願いしますね。」
「わかったわぁ」
あくまでもにこやかな笑みで返すアニス。それを見て満足そうにマーラスは部屋から出て行った。
・・・・・
・・・
「ふぅーー……で、今回は何のご用ですの?」
「今度、今回の件に関してクリーニアとベイパーと我が国とで会談があるから君にも出席してもらおうと思ってきたんだけど。」
ニコニコとしながらピアニスに言うアニス。貼付けられた仮面のような笑顔にピアニス顔をしかめる。
「また何か面倒ごとがあるのでしょうか?」
昼食後の煙草の時間を邪魔されて若干ピアニスは不機嫌である。
「え?いやー別に……」
明らかに何かを隠しているアニスにピアニスは一気に詰め寄る。
「良いから包み隠さず全てをお話しください」
「……ひゃい」
超至近距離でピアニスの煙草の煙を吹きかけられたアニスは今回の目論見について話す。その内容は……
「……なるほど。両軍の兵士を全て生け捕りにした私を見せびらかすことによって変な気を起こさせないようにすると……」
「あ、ああ。うん。言い方は悪いけど大体そんな感じかな…」
アニスの話によると、本気で闘う気は無かったとは言え、2000人の兵士で構成された軍隊をたった一人で壊滅させたピアニスを抑止力として会談の場に起きたいとのことだった。
「はあ……で、場所は何処ですの?煙草の持ち込みが禁止のクリーニアやベイパーだったら私は行きませんわよ?」
「それなら問題ない。会談の場所は商業都市“コマス”だ。」
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