表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

34/82

とりあえず皇帝にご報告ですわ

クリーニア国軍の制圧をしたウェアウルフ達の下へやってきたピアニスの頭上には煙草式魔法五式“紫煙”で造られた超弩級の巨大な黄ばんだ雲が。その上には拘束されたベイパー国軍の兵士達が乗っている。


「ご苦労様でした。では、こちらも拘束いたしましょう。貴方たち、手伝ってくださる?」


ウェアウルフ達は勢いよく敬礼すると、各々ロープを持ってクリーニア国軍の兵士達を拘束し始めた。


そしてピアニスも地面に手を置く


「蔓よ。悪しき者を拘束せよ。“リーフ・バインド”!」


ピアニスが呪文を唱えた瞬間、大量の蔓草が地面から生え、クリーニアの兵士達を拘束する。慌てて逃げようとする兵士や蔓草を引きちぎろうとする兵士もいたが、ピアニスの魔法は強力で誰一人として逃げることは叶わなかった。


「ああそれと、死なれては困るので怪我人がいるようでしたら私の所へ連れてきてくださいな。」


ウェアウルフ達は一鳴きすると怪我した兵士はピアニスの元へ、そして特に怪我もしていない兵士達は拘束し“紫煙”へと乗せた。途中、何人かの兵士が脱出しようと試みるも、ピアニストウェアウルフ達に鎮圧され、おおよそ1時間ほどでクリーニアの兵士達の拘束、並びに“紫煙”への積み込みが完了した。


・・・・・


・・・


セレスティン帝国王城 執務室


セレスティン帝国皇帝エドヴァンとセレスティン帝国皇太子アニスは難しい顔をしながら話し合っていた。


「アニスよ、お前はこのたびの戦をどう思う?」


「はっきり言って何らかの陰謀を感じます。そもそも、クリーニアのあの厳重な監視をくぐり抜けて煙草を流布するなど不可能に近い。おそらくクリーニア中枢の何者かが戦争になるよう手引きをしたか……」


「あるいは領国ともに共謀している可能性があるという訳か。」


話題はベイパー国とクリーニア国の戦争の件である。


違法な薬物をクリーニアに持ち込んだとしてクリーニア国王はベイパーを訴えているようだが、エドヴァンとアニスからしてみたらどうにもキナ臭い。


「ええ。戦場も我が国の煙草畑のすぐ側ということも偶然ではないでしょう。あの煙草嫌いのクリーニア国王です。おそらくは戦闘に乗じて煙草畑を焼き払うつもりだったのやも。」


「冗談……とも言いがたいな。あの王は自分の嫌う物はどんな手段を持ってしても滅ぼしたがる自己中心的な奴だ。」


クリーニア国内で禁止されている薬物である煙草を流布させたベイパーは確かに糾弾されるべきではあるが、あろう事かいきなり戦争を始め、尚且つセレスティン帝国の煙草畑の近くを戦場とするのはどうにもおかしな話だ。


「ええ。なので今回の件は……父上、なにやら外が騒がしいような気がするのですが。」


「そう言われれば確かに。しかも先程より外が暗くなった気もするのだが。夕立か?」


どうにも外が騒がしい。


何事かと思ってエドヴァンは窓の外を見、そして目を見開いた。


「父上?どうかしたのですか?」


「……アレを見ろ」


エドヴァンが指さす方を見るアニス。そして


「?!」


アニスも驚愕のあまり絶句する。


「……アニス。至急なんとかしろ」


「………父上、巨大な雲が城に接近したときの対処法など私は教わっておりません。」


二人が見たのは黄ばんだ超巨大な雲に乗る幾千の拘束された他国の兵士と、ウェアウルフを隣に侍らせ仁王立ちしながら煙草を吸うピアニスであった。




クリーニア総大将の名前が皇帝の名前と被っていたので変更いたしました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ