淑女はどんなときも笑顔を忘れては行けませんわ
ガラガラガラン
ピアニスト目の前に、先程と同じ爆弾がいくつも置かれている。その数は100に近い。
「これで全てですわね……ご苦労様でした。貴方達は見張りに戻りなさい。」
爆弾を回収してきたウェアウルフ達は頷くと、森の中へと消えていった。
黒いローブの男たちを瞬殺したピアニスは、昨晩から偵察に出していたウェアウルフ達と合流し、畑のあちこちに仕掛けられていた爆弾を回収していた。
ピアニスは、初めに手に入れた爆弾から魔力の流れを記憶、そして畑内にある似た魔力を探り、全ての爆弾を回収したのだ。
「さて……どうしましょうかね?」
ピアニス爆弾を1つ手に取りながら考える。この場でこの大量の爆弾を無力化するのはピアニスにとって簡単であった。だが
「それでは芸がございませんわね。やはり、落し物は持ち主に返すのが筋というもの。幸いにして持ち主の居場所はわかっておりますしね。」
なんとピアニスは魔力を辿り爆弾を見つけただけではなく、この爆弾を起爆できる人物の場所まで突き止めていた。
そこへ
「あら?どうしたの?」
偵察に戻ったはずのウェアウルフの1体がピアニスの元へと戻ってきた。
ウェアウルフはピアニスの手を取ると森の奥へと歩き出した。ピアニスもそれについて行く。
そして、10分ほど歩いたところで草木に覆われた遠目からは分からない小さな洞窟へと案内された。
洞窟の中には藁が敷き詰められている。
「えーと……?」
首を傾げるピアニスにウェアウルフはジェスチャーをする。どうやら、夜も遅いからここで休めと言っているらしい。
「あら……ふふふ ありがとう。お言葉に甘えさせていただくわ」
そうしてピアニスは洞窟の中へと入っていった。そして、慣れない場所でも快眠するために煙草に火を点けようとした瞬間、ウェアウルフが飛んできて、タバコは外で吸うように注意を受けたピアニスだった。
・・・・・
・・・
次の日、ピアニスが目を覚ますと洞窟の前には昨夜ここへ案内してくれたウェアウルフの他に、ピアニスの後から出発させたウェアウルフ達、合計12体が到着しており、現在賑やかに朝食を作っていた。
ウェアウルフのうちの1体がピアニスの元に朝食のスープとパンを持ってきた。
「あらありがとう。いただくわ。……あら、また腕を上げたわね。」
ピアニスのその一言にスープを作っていたウェアウルフはどこか照れたような顔をしていた。
朝食を食べ終わったピアニスは、ウェアウルフ達を集めた。
「では、これより作戦を説明します。このような下賎なものを仕掛けるように仕向けた持ち主へ、これらを返却します。」
ピアニスの目の前には大量の爆弾がある。
ウェアウルフ達は息を飲んだ。
爆弾が恐ろしいのではない
自分たちの主人が笑顔なのにも関わらず、目が笑っていなかったからである。