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私にだって嫌いな人の1人や2人いますわ

2体のウェアウルフ達が旅立って数日、学園は休日であったが、ピアニスは豪華なドレスを着てセレスティン帝国の中心にある、皇帝の住まう城へと来ていた。無論ピアニスは皇帝に会いに来たわけではない。ピアニスが会いに来たのは……


「来たわねピアニス!歓迎するわ!」


真っ赤なドレスを着た気の強そうな、ピアニスにも負けない美しい女性。


「お久しぶりでございます。イリーナ様。今回はどちらまで?」


彼女の名はイリーナ・セレスティン。皇帝の子の一人であり、ピアニスとは同年代であり、同じく皇帝の子の一人で皇太子であるアニスとは異母兄弟にあたる。だがイリーナは正妃ではなく側妃の子であるため、皇位継承権の順位としてはかなり低い。


だが


「今回はね、南方の大森林に行ってきたわ!樹の海とはまさにあのことね!まるで木々が海のように地の果てまで続いていたんですもの!」


彼女のような奔放な性格にはそれがよかったのか、最近ではお忍び視察と称して様々な場所へ出向いている。時として諸外国まで行ってしまうこともあるため、中々城には帰って来ず、今回帰ってきたのは半年ぶりであった。


こんな放蕩娘であるイリーナだが意外にも頭は良い。セレスティン帝国学園に在学していた際はピアニスを押さえての学年第一位。その上、当時中等部であった彼女が遊び半分で受けた上級生用のテストでも、他の上級生を押さえて一位となってしまうほどの天才である。


こうしてイリーナは高等部に上がる直前に飛び級で卒業し、世界を飛び回っているのである。


・・・・・


・・・


「でね、その森にいたゴブリンの一族が意外にも良い奴らでね、そいつらの村で一泊してきたのよ!本当に貴重な経験をしたわ!」


「まあ、それは興味深いですわね。ゴブリンと言えば知能の低い低級の魔物だと言われておりますが、もしかすると環境によって性質が変化するのかも知れませんわね。」


「あ、そうそう、ハイこれお土産!ピアニス煙草よく吸うから、向こうの国の伝統工芸で造られた灰皿よ!今使ってみない?」


「まあ!丁度1本吸いたいと思ってた所ですわ!早速使わせて貰っても?」


「もちろんよ!ピアニスさっきからニコチンが切れてうずうずしてたもの。その為に出したのよ!」


「あら…私としたことが恥ずかしいですわ…」


イリーナは紅茶を飲みながら、ピアニスは貰った新しい灰皿と共に煙草を吸いながら楽しげな話に花が咲く。


ピアニスは別にイリーナとのお茶会に気乗りがしなかったわけではない。イリーナの話はいつも新鮮で、新しい発見を教えてくれる。


ピアニスが気乗りがしなかった理由は、この城に来ることであった。ここには余り会いたくない人物がいる。だが、ピアニスもイリーナも相応の身分に付いているため、城以外では気楽にお茶会など出来ないのだ。


「あらぁ?冒険者気取りの放蕩娘と煙草なんか吸っているヤニカス令嬢じゃなぁい」


楽しげな2人の会話に割り込んできたのは、ピアニスが余り会いたくない相手、紫色の毒々しいドレスを着たこの女、セレスティン帝国第三側妃である


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