両切りの煙草…初心者の私にとって吸いにくいですわ
ピアニスが謎も魔物使いから襲撃を受けて1週間が経過した。
「ふぅー……今日も煙草が美味しいですわ。」
ピアニスはいつも通りの日常を過ごしていた。
ピアニスが学園長を説得したことにより、ウェアウルフ達はピアニスが女子寮の近くに魔法によって創り上げた立派な家に住むこととなった。
そしてこのウェアウルフ達、ピアニスに感謝しているのか必ず2体はピアニスの側に護衛として付いている。だが、常に側に控えるのならばある程度のことはこなせないといけないというメビウスの考えにより、ウェアウルフ達は一人残らず執事服やメイド服を着せられ、簡単な執事教育を受けた。その結果、現在では不器用ながらも紅茶を淹れる、掃除、洗濯などといったことがこなせるようになっていた。
ウェアウルフ達の教育をしているメビウスからは
「彼等はまだまだですが筋が良い。きっと一流の召使いになれます。」
と、かなり良い評価を得ている。
そして
「あら?灰皿が…」
サッ
「ふふ、用意が良いのね。ありがとう。」
いつも煙草を吸っているピアニスのために灰皿を必ず一つは携帯するようになっており、これにピアニスは歓喜した。
(これでいつでも何処でも煙草を吸えるようになりますわ!助けてよかったですわね。)
ニコニコしながら新たな煙草に火を付けるピアニス。そんなピアニスの視界の端に紺色の缶が目に映った。そう、あの時タバコ屋で買った缶ピースである。
この前ピアニスは試しに缶ピースを吸ってみたのだ。だが、フィルターのない両切り煙草初心者であるピアニスは上手く吸うことが出来なかったのだ。どうやっても煙草の葉が口の中に入ってしまい、それが気になり煙草の香りを楽しめないという事態に陥って師まったのだ。
(タバコ屋の店主に頼めばなんとかなるかとは思いますが……しかし今週の休日は余り気乗りはしませんがお茶会がありますし……)
考え込むピアニス。その間も煙草は燃え続け、灰が高級カーペットに落ちそうになったその瞬間
サッ
側に控えていたウェアウルフの1体がカーペットに灰が落ちる前に灰皿でキャッチする。そして無駄のない動きで何事もなかったかのように元の位置へと戻った。
それを見たピアニスにあるアイデアが浮かぶ。
「貴方たち、ちょっとお使いを頼んでもよろしいかしら?」
ピアニスの後ろに控えていた2体のウェアウルフ達は顔を見合わせた。
・・・・・
・・・
「……よし、書けましたわ。」
ピアニスは筆を置き、先程まで書いていた便箋を封筒の中に入れ、丁寧に封をする。
それを近くにいた2体のウェアウルフの一方に預けると、ピアニスはこう言った。
「ではこれをコマスのタバコ屋の店主にお願いしますわ。この手紙に目的の品は書いてあるので、用意された物を適正な金額で買い取り、持ち帰ってきて下ささいな。」
そう言って金貨と銀貨の入った袋をウェアウルフにそれぞれ手渡す。
「それと、コマスへと入る際、貴方方は魔物であるため引き留められるでしょう。なのでその際にはこちらの手紙と、このペンダントを見せてください。」
そう言ってもう1体の方のウェアウルフに手紙と、セブンス家の家紋が掘られたペンダントを手渡した。