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となりのにゃにゃみ

「えーっと、にゃははさん、なんでついてくるの?」



 入学式を終えて、大量の荷物を抱えた新入生たちは校門を出るとあちこちの方向へと散らばっていく。小学校や中学校なら、保護者が待っていたりするのだろうけれど、流石に高校生ともなると保護者の姿もまばらだ。



 当然、うちの両親はいない。

 これは今に始まったわけじゃないし、だからといって悲しいとかそんな感情もない。それが嫌だとも思わないのでつまりはなんてことはない。

 今日もらった荷物がちょっと重すぎるだけ、それだけだ。



 そんな山盛りの荷物を持たされることを知らず、専用のカバンも用意していなかった私に、親切に紙袋を見つけてくれたいーんちょーこと酒井麻巳子に感謝をしつつ、校門でそのいーんちょーと分かれること数分。紙袋の持ち手が破けてしまった。2重にしたけれど本が重すぎたのだ。仕方なく今は両手に抱えるようにして荷物を持っている。



 若干よちよち歩くそのちょっとだけ後ろをにゃははさんは楽しそうについてきていた。



「にゃははさんちゃうよー。私七海!松田七海(まつだななみ)よー。よろしくね!魔女子さん!」

「にゃにゃみ…」

「にゃにゃみちゃうって!もー!なんで言うてないのに!あっ!いーんちょーやな!」

 にゃははさん改めにゃにゃみさんは可愛い喋り方をするなーなんて考えながら、よちよち歩く。



「にゃにゃみさんのおうちもこっちなの?」

「もー!にゃにゃみでええわ…。高校生になってもニックネームは変わらんままかぁ!あー、うん。同じ方面やな!っていうか、お隣やで。」

「えっ!」

「にゃははっ!」



 お隣にはご挨拶に行ったはずだ。

 その時は小学生の男の子と女の子が挨拶に出てきてくれていた。思い返してみると、挨拶に出てきてくれた家族も同じようなイントネーションだった。

 そのとき、にゃにゃみはいなかった気がする。



「ご挨拶行ったときにはいなかったね?」

「あー、昨日まで合宿やってん。おれへんかったんよ。」

 にゃにゃみはなにかスポーツでもやっているのだろうか?見た感じスリムで運動神経良さそうだし、そうかも。



「スポーツとか?」

 とりあえず聞いてみる。まだまだ家は遠い。話題は尽きさせていはいけない!



「うーん、スポーツといえなくもない!」



 スポーツと言えなくもないって、なに?

 スポーツに全く縁のない私では何もスポーツの名前が思いつかない。ぴょんぴょん跳ねるように歩くにゃにゃみはきっとスポーツの強化選手とかなのだろう。にゃにゃみの背中には大きなリュックが一緒に跳ねている…というか、暴れてる?



 あの荷物、相当重いんだけど?!6キロあるっていーんちょーも言ってたし…。



「すごく運動神経よさそうだよね?なにかの選手なの?」



「んー、内緒!あっ、魔法見せてくれたら教えたるよ!」

「いや、だから、魔法使いじゃないって…。」



 魔法一家でもないし、魔女子でもない!家がお化け屋敷並みに古いだけだ!



「えー魔女ちゃうの?ざんねーん。にゃはは!」



 そのあとにゃにゃみは通学路にある様々なものを解説しながら家まで一緒に歩いてくれた。



「ここはボスの3つ目の家、あっちはココア、そっちの家はミケとじょーね!」

 なぜか、にゃにゃみは喜屋戸町・各家庭の猫の名前とメインのおうちの紹介をしてくれた。



「喜屋戸町では猫の名前必須なの?!」

 驚く私ににゃにゃみは笑いながら答える。



「そやな、名前覚えとくといいことあるかもよ!まぁ、一回で覚えられへんやろし、ぼちぼちでええよ!いつでもきいてな!にゃははっ!」



 家の前までやっとこさたどり着いたとき、私の腕は限界を迎えようとしていた。当分は箸より重いもの持ちたくない。猫以外。



「じゃあねーミーシャ!次は新学期に!」

「うん!家まで付き合ってくれてありがとう!」

「いーのいーの!おとなりさんやろ!だから、今度恋占お願いなーっ!にゃははっ!」



 ただいまーっ!という元気な声が家まで聞こえる。私もまねして大きな声で言ってみた。



「ただいまー!」



 忙しい父も忙しい母も、まだ帰ってはいない。



 かわりにテトラが迎えに来てくれた。

「なー。」



「ただいま、テトラ。」



 新学期まで1週間はお休みだ。まずは大量の荷物を確認しないとね!

読んでくださりありがとうございます!

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