最初の事件
やっと・・・やっと物語が動く・・・かも?
新学期が始まり、高校生活にも慣れたある日、帰宅したミーシャはなんとなく違和感を覚えた。家の奥のほうがなんとなく騒がしい感じがするのだ。
ゴウゴウというような、モーターでも回っているようなーそう。洗濯機のような音!
「なに?何の音?」
当然洗濯機ではない。
洗濯は夜にするのが白井家のやり方だ。休日以外はそのまま乾燥まで済ますのが日課だった。
そのゴウゴウという音は図書室の方から聞こえて来るようだ。いつもなら3にゃんずがお昼寝しているはずだ。
「ルナーソルーテトラー!」
声をかけながら図書室のドアを開けようとした。
ん?なにかつっかえてる?
内側に開く戸をぐいっと押してみる。
いつもはすんなり開く戸が、なかなか重くて開かない。
なんとか隙間を開けて入ってみると、そこにはー・・・。
大量の猫が居た。
「居た」というか積もってる?
そこでは大量の猫が入り乱れながら、図書室の中央に小山を作っていた。
いや、中央から吹き出しているのか??噴水みたいに?
いくつもの「?」を頭の上に出しながらその猫の小山をよく見てみる。
どうやら小山の真ん中から猫がむにむにと溢れ出てくるようだ。
そして、富士山状のカーブをつくりながら下に向かって流れている?
目の前で何が起こっているのか理解が及ばず、ミーシャはしばらく立ち尽くしていた。
バタン!
いつの間にかヒザ下くらいまで溜まった猫の重さで、さっき無理やり開いた戸が閉まっていた。猫はその間にもどんどん嵩を増してくる。
「えっ?えっ!」
どんどん水位を増す猫。
慌ててミーシャはローチェストにのぼった。
「なんで猫がこんなに?いや何?何が起こってるの???」
思わずつぶやくミーシャ。
するとすぐ横から返事が帰ってきた。
「ミーシャ殿グッドタイミングでござるよ!ニンニン。」
テトラだった。
テトラがしゃべっている?!
というか、すっくと立ち上がっている??!
てかなんか手にもってる???!
激しく混乱するミーシャの横でテトラはあたりまえのように続けた。
「ちょっとあっちにある植木鉢の向きを変えてきてほしいのでござるよニンニン。」
「えっ?いや、ちょっとまって?テトラ?テトラよね?なんでしゃべってるの・・・」
さも当たり前のように物を頼んでくるテトラにミーシャは思考が追いついていなかった。
「説明はあとあと!早くしてほしいでござる!このままでは猫爆発おこすでござる!ニンッ!」
頭のてっぺんの毛をぶわっ!と逆立てながらまくしたてるテトラの勢いに押されたミーシャは猫が流れてくる猫富士をぐるっと回り込みつつ窓際の端っこにおいてある植物、ベンジャミンの植木なのだが、これの向きを頑張って変えてみる。
このベンジャミンはミーシャの身長ほどに育っており、その幹は5本から仕立てられていて、複雑に編まれている。その幹の模様をミーシャは気に入っていた。まるで、魔法陣のようだったから・・・。
「ミーシャ殿、その木の模様を中央に向くようにセットしてくだされニンニン!」
「中央に向ける?こ、こんな感じかしら?」
ベンジャミンはとても大きく、植木鉢も相当大きなものだったので、とても重い。なんとか向きを変えることに成功した。明日は筋肉痛かもしれない。
「それで結構でござる!ささ、ミーシャ殿はこっちに戻るでござる!でないと巻き込まれるでござるよ!ニンニン。」
「さっきから語尾がおかしいよ、テトラ・・・。」
ブツブツ言いながら、際限なく流れてくる猫をかき分けながらローチェストに戻る。
どくどくと流れてくる猫が大量に足元に溜まっている状態なので、本当なら猫の10匹や20匹、踏んづけているに違いないのだが、踏んづけている感覚はない。
どちらかと言うと、川の中を流れに逆らって進むような感じだ。
しかし、猫富士から溢れ流れてくる猫川?からは絶えずにゃーにゃー言う声が聞こえてきている。川がザーザー流れるときの音がにゃーにゃーという音に変わったと言うか、多重音声で繰り広げられるにゃーにゃー音にミーシャは頭がくらくらしていた。
いったいなんなのだ?これは?
ローチェストにやっとの思いで戻ってきたミーシャは2本の足ですっくと立ち何やら茶色い四角いものに書き込みをするテトラの横に立つと、問いただすために、猫らしからぬ猫、テトラの肩に手をかけた。
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