ざまぁ8
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ブックマークが50超えてて、びっくりです。
そして
ざまぁ勇者!
自業自得なんだよ
謁見は散々たる結果だった。
「聖女リア、貴方は変わりましたね」
「勇者様の…おかげ、です」
大神殿長の一言に無邪気に聖女リアが喜んだ瞬間の顔は残念なものを見る顔だった。
国王からは、深いため息と、援助金の減額を言い渡された。
「援助金の大部分を担ってくれていたのが、ロッケン伯爵でな。伯爵になんと言えば良いのか。妹の為にと領地改革を遅らせてまで支援してくれていたのに」
どうして『帰還石』を持っていなかったのか尋ねられたが、その存在を知らなかったのだから持ちようがない。
いつもダンジョンからは歩いて脱出をしていた。
今後は現物支給をするといってメンバー分の、帰還石を渡された。
「ああ、もし売られたとわかった場合は支給を止めますのであしからず」
にっこりと笑ったのは国王の隣に立っていた陰険眼鏡宰相だった。
「帰還石もただじゃありませんし、ダンジョン失敗を繰り返す勇者などより優秀な冒険者に援助をすべきですから、ねぇ?」
――
―
「……少し、師匠の所に出かけてくる」
いつものように盛り上がっていた所に水を指したのは剣聖アーティアだった。
ダリアが居なくなり、多少は自分たちでこなすようになったが、そこはそれ。
誰かがやってくれる事に慣れた勇者たちがそれを人に、押し付けたのは言うまでもない。
そして主にそれをくらったのがアーティアだった。
彼女は神殿長の表情が気になっていた。
直に話をすることが出来なくとも知り合いに相談することは出来る。
「お前の師匠ってのは俺に負けた雑魚だろ?」
「ああ、あの。えーと、剥げた…」
「ツルピカ」
ハハハと笑い合う3人にアーティアは胸が痛くなった。
勇者に負けたが師匠は王国の優秀な剣士であった。
剣聖だと選ばれたときに一番喜んでくれたのも師匠だった。
それを侮辱されて、目が覚めた。
(ああ、大神殿長様の視線はそういう事だったのか)
成長ではなく、堕落。
堕落を指摘されたのに、それを勇者のおかげという。
なんと滑稽なことか。
全てを明らかにしよう。全てが勇者のせいだともう言わない。
唆されたとはいえ彼女にした行為は許されるべきではないのだ。
そう思ってアーティアは、自身の荷物に手をかけた。
「なんで荷物までもっていくんだ?」
目敏く勇者が気づく。
「ついでに師匠に稽古をつけてもらおうかと。汗だくでここに帰ってくるより師匠のところで水浴びしてくる」
逃亡しようとしているのがバレたかと危惧したが、勇者は下卑た笑みを浮かべて
「俺は、他の男の手垢がついた女はいらん。わかるな?」
向こうから切ってくれた。
「やだぁ、勇者さまったらあんな子より私といい事しましょ?」
「マリー、抜け駆け」
諌めるものはここにはいない。
元婚約者の彼女が、楔となって爛れた関係を押し留めていたのだが、楔が抜けた後はいわずもがな。
こんな男に首ったけになっていた過去の自分を殴りたい。
無言で踵を返し、王宮を後にした。
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馬上の人となった守護者ダリアは順調に道を進んでいた。
周囲を見渡し、地図に印をつけていく。
数多くのダンジョンに挑戦したおかげか、ダンジョンを見ただけである程度の難易度がわかるようになっていた。難易度によって消滅にかかる時間が長くなる。
出来たてホヤホヤのダンジョンはクリアするのも簡単だが、消滅も早い。
出来てから時間の経ったダンジョンほどクリアすらことが困難になり、消滅に時間がかかるのだ。
出来上がった近辺の地図を片手に近くのギルドに立ち寄る。
受付嬢に地図を手渡せば諸手を上げて喜ばれた。
「あなた様が来られる事をお待ちしておりました」
手を握られ、拝むように受付嬢の額に手が押し付けられる。
「え、っと私、何もしていませんが」
「なにをおっしゃいます。こんな素晴らしく、正確な地図を持ち込んでくれただけで十分貢献してくれています。これがあれば、安全に冒険者を送り込むことができる」
いつもの事をしただけでこんなにも喜ばれるのはここが故郷に近いからだろうか。
「あと少し」
そう、兄のいる領館まで半日あれば、たどり着くところまで来ていた。
「ええ、という訳で。ダンジョン内に置き去り?にされました。「追放」ということはパーティから抜けろということでしょう?なので、ギルドにて正式な手続きをして、ひたすらにここを目指して来たわけです」
「ふむ、まさかと思ったが」
そう言って黙考してしまった兄を無視して兄の妻が無邪気に話しかけてくる。
「ダリアちゃん、長旅でつかれたでしょう?お風呂にお部屋にぜーんぶそろってるから休んで。あ、その置物は気にしなくていいからねっ」
兄に対して置物というのは面白いが少しだけ可哀想だと思ったダリアだった。