ざまぁ5
ざまぁみろ、ってやついねぇ(笑)
やっと、やっと半分。
地図を眺めながらたどり着いた街でひと休憩をいれる。
元勇者パーティの一人、盾使いの少女、または守護者と呼ばれていた少女は寂しくなった革財布を眺めてため息をついた。
相棒の馬はまだまだ健脚で、彼のためにもこの近辺で資金稼ぎをしなくてはならない。
さて、いい依頼はあるのだろうか。
カランと音を立てて冒険者ギルドに立ち寄った。
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こんにちはと元気よく、声がかけられる。どの街のどの冒険者ギルドに行こうとも変わらないなと口元に笑みを浮かべて、対応してくれる受付嬢にカードを提出した。
「ふむふむ。タリア様ですね。ようこそこの街に」
「良い依頼ってあります?」
「では、この辺りでどうでしょう?」
ランクに応じた依頼書を数枚出され、その中から2枚選んだ。
「この2件で」
盾職であっても、全く戦闘ができないわけじゃない。しかも幼少期の頃は剣士に憧れた分だけ剣の腕はある。
ではなぜ、タリア、いや、本名ダリアが守護者という名で盾職をしていたかというと、それはひとえに神から告げられたから、である。
『託宣』をうけしかも、ダリア本人ではなく、【勇者の婚約者たる少女】に聖なる盾を授け、勇者と共に旅立たせよ。なーんていう選ばれ方をしたわけだから批判がすごかったのなんのって。
勇者の婚約者となったのだって、没落貴族の上一応、現王家と血のつながりがあるから、平民出の勇者の婚約者にふさわしいなんていう選ばれ方だった。
教会に勇者が選ばれて。
聖女という少女が選ばれて。
教会に力が集中しないようにとダリアが、勇者の婚約者となって。
賢者と名乗る少女が現れて、教会に認められて。
見習い近衛騎士の中から剣聖が見つかって。
そろそろ、各地に散らばるダンジョンを攻略しに派遣させるかと重い腰を大神殿があげようとしたら、最後の最後で託宣がおりた。
王家は、一応王家に連なる娘と、勇者のために援助をするという名目でお金を出してくれていたはずなのだが、調子に乗った奴らはそれもすっぱり忘れた。もしくは聞いてすらなかったのだろう。
一度でさえもダリア個人の為に使ってはくれなかった。
教会から授けられた聖なる盾だって、ダリアが寝ている間に勝手に売り払われ、その責任を追求されたりもした。その為、もともとあった教会からの援助も授けられた武器一つ管理できないやつに寄付する金はないと減額されたのは今となってはいい思い出だ。
減額を告げられた瞬間の奴らの顔は今でも忘れられない。
今思えば、盾を売られたあの時にさっさと家に帰れば良かったのだ。
神に選ばれた人達なのだから、と我慢せずに。
無心に剣をふるい、討伐依頼を達成すると獲物を手に街へと向かう。
久しぶりの一人での狩りだったから調子を見るために依頼数を2つとしたが、この調子ならもっと増やしても良いだろう。
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ギルドに寄って、次の依頼をと思ったが実入りの良い討伐依頼などあっという間にはけてしまうわけで、残った依頼の中でできそうなものを選んだ。
それがこれ。
ウェイトレスである。
「いらっしゃいませ。何名様ですか?」
メイド服ににたカフェの制服に身を包み、訪れる客に素敵な笑顔をみせ、そして腕に大量の皿を載せて店内を練り歩く。
まるで呪文のように長い名称の品名を一瞬で覚えられるわけもなく、告げる言葉はお待たせ致しました、とこちらをどうぞのみ。
そして食べ終わった皿をもって厨房に戻るだけ。
来店した客の相手も、注文をとることも他の人がやってくれるからただひたすらに、厨房と店内を往復した。
「いやぁ、君すごいね」
一体なにがすごいのかまったくわからない。呪文を唱えられる他のひとの方が凄い。呪文を唱えることができるのに他人を見下したりせず、気さくに話しかけてくれる彼女らに驚き、距離をとってしまったことは大変申し訳なかった。
「できたら明日も来てほしいんだけど、どうかな?」
明日か。
朝、ギルドにいって討伐系の依頼を受ける予定だったが。
「今日と同じくらいの時間からで宜しければ」
日が少しだけ傾いた昼頃にこの店の依頼を見つけて飛び込んだのだ。
午前中に狩りを終えれば、風呂に入ってからでもこの仕事に間に合うだろうと下した結論だ。
「助かるよ。気持ちだけで申し訳ないけれど少しだけだがとっておいてくれ」
小さな包に包まれたそれは恐らく。
「ありがたくお受けいたします」
どうしてここまでしてくれるのかわからないが、この好意は受け取っても大丈夫と第六感が告げていた。
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「はぁ。タリアちゃんカワユス」
カフェの常連客その1は今日入っていたウェイトレスにときめいていた。
「初なとこもかわいいわ」
カフェの常連客その2もまた同じようにときめいていた。
「マスターに聞いたけどよ。彼女冒険者で一日限定だってさ」
カフェの常連客その3が冷静につっこむがその1も、2も自分の世界にどっぷりハマっているため答えは帰ってこない。
「ふわっ!?マジで」
3の声に反応をしめしたのは新しくそばに来たカフェの常連客その4だった。
「おれ、今日は午前中だったんだよね来たの。ねぇ、マスター。噂の可愛こちゃん明日も出してよ」
「二日間限定です。彼女は冒険者なので」
マスターが笑顔の下で、明日は忙しくなる。と予見した。
とりあえずのりと、勢いでここまでカキコ。
ざまぁでボコボコにされる側を書きたかった、&読みたいのでこの作品最高です。というオススメあったら教えて下さい。