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5 メイドたちの会議 (シズ視点)

「皆さん、良く集まっていただきました。今回の議題ですが、ずばりネロ様の生活態度です」


 私の名前はシズ。

 ギルド『クマとパンダ』の(マスター)である、ネロ様によって生み出されたメイド長です。

 私の任務はメイドたちを束ね、ネロ様に仕えること。私的な生活の面で、主であるネロ様をお支えするのが仕事です。

 メイドとして生み出されたのですから、当然のことですね。


 ですが我が創造主ながら、ネロ様は昔から自分が作り出したメイドに抱き着いて、

「ウヒョー、2.5次元最高。俺の嫁だー!」

 なんて、叫んでます。


 あの人は一体何人のメイドを作り出し、その全員に何度"俺の嫁"発言をしたことでしょう。

 嫁が多すぎます!

 私も、私以外のメイドたちも、何度もそんなことをされました。


 ……まったく、変態なので仕方がありません。


「見た目はともかく、あの節操なしの軽薄さがなんとかなればよいのですが」

 昔の事ですが、私の部下で、メイドの1人である"アズキ"に水着を着せて、海辺でネロ様が一方的に水をバシャバシャかけて遊んでいたこともあります。


 あの時水を掛けられるアズキは、恥ずかしがって何もできずにいましたが、あれはただのセクハラです。

 恥ずかしがるアズキの姿を見て、あの変態創造主は鼻の下を伸ばして、笑っていました。


 コホン。

 それはともかく、今はネロ様の生活態度についてです。


「私たちの創造主たるネロ様は、もともとおかしな方でしたが、ここ最近は目に余る生活ぶりです。屋敷の中では図書室と食堂と風呂を除けば、毎日自室に引きこもってばかり。あまつさえベットに寝転がって、ゴロゴロとお菓子ばかり食べる生活を続けています」

「あれ、絶対体に悪いですよねー」

「太るよねー」

「デブのネロ様……ううっ、そんなネロ様見たくない……」


 このままではネロ様が、確実にデブになってしまう。

 この一大事に、私は館に仕えるメイドたちを召集し、会議を開きました。


「いいですか、このままネロ様が太っては一大事。私たちメイドが団結して、ネロ様の生活態度を改めさせなければなりません!」

「はい、メイド長。早速ネロ様を部屋から叩き出して、外に連れ出しましょう!」


 へ、部屋から叩き出すって……


「コホン。リゼ、さすがに主を部屋から叩き出すのは不味いでしょう」

「ええーっ。でも、このままだとネロ様デブデフになっちゃうよー」

「……」


 メイドの1人の提案に、私は思わず眩暈を感じてしまう。

 メイドとして、それはちょっと過激でなはいかしら?


 表現は、もっとオブラートに包まないと。


 とはいえ、ただでさえ内面がアレのネロ様が、見た目までデブになってしまえば、見苦しいだけの豚人間となってしまう。

 そこまでひどくなられては、私たちメイドも危険を感じてしまう。


 抱き着かれるにしても、どうせなら見た目がいい方が、デブ男より100万倍ましに決まってるから!



「メイド長、まずはネロ様に現状を丁寧に説明することから始めるのがいい」

 そこで冷静に提案してきたのが、メイドの1人アリエット。


「確かにそうですね。まずは言葉で説明するのがいいですね」

「でもでも、それでネロ様が私たちの言うこと聞いてくれるかなー。なんだか今のネロ様って、グウタラ生活を続けるのに全然抵抗なさそうだしー」

「……」


 リゼ、あなた鋭いですね。


「確かに、今のネロ様は、以前と比べてさらにおかしくなっています。昔なら自室に籠ってないで、ギルド内を見回ったり、外の世界を冒険していたはずなのに……あれではまるで、ただの引き籠りダメニートだわ」

「ネロ様が引きこもりのダメニート。フフフッ、なんだか可愛いかも」

「アズキ、縁起でもないことを言わないで!」


 アズキもメイドの1人。

 昔は引っ込み思案な性格をしてましたが、気が付けばネロ様に感化されて、こんな性格になっていました。


 でも嫌だわ。そんなネロ様なんて、今の変態ネロ様よりさらに嫌すぎる。

 働きもしないグータラ人間に仕えるなんて、メイドとして大変不名誉な事だわ。


 ――バンッ

 だから、私は目の前にある机を手で強く叩いた。


「いいですか、皆さん。メイドである私たちにとって、主が自堕落の道へ堕ちるのを見過ごすわけにいきません。私たちの主にふさわしい方であっていただくためにも、ネロ様には早急にまともな生活を送っていただきます」


「おー、頑張ろうー!」

 私が発破をかけると、リゼが追従してくれた。


「そのための話し合いを、今しているんだけどね」

 逆にアリエットは、冷静にそのことを指摘する。


「ウフフ。自堕落ネロ様、可愛いなー」

 そして約1名、とんでもない妄想をして笑っているアズキ。


「アズキ。言っておきますが、このままネロ様が部屋からろくに出てこない生活を続ければ、間違いなくデブになります。あなたは豚人間と化したネロ様を、可愛いと言えるのですか?」

「……嫌だ、そんなネロ様なんて、見たくない。メイド長、皆、今すぐネロ様を外に出して、運動させないと!」


 1人危機感の足りてなかったアズキも、さすがにデブのネロ様には拒絶反応を示した。


 私たちメイドは意見を一つにして、ネロ様の脱ヒキニートを目指すのだった。



 あの人は今でも変態なのに、その上に豚人間にまでさせてはいけない。

 私たちメイドが、なんとしても阻止しなければ!


 集まったメイドたちすべてが、固く誓いをたてた。


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