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3 変態ダメ人間の創造主

「ワー、スイカだー。うまいなー。塩塩っと」

 どうも、異世界転生して見た目だけイケメン男になったネロです。


 少し考えてみたけど、転生前の俺って、実は心臓麻痺で死んだのかもしれない。

 何しろ部屋に引きこもって、ろくな運動もしなかったデブ男だ。

 あんな体型だと、ある日突然心臓麻痺でポックリ逝っても仕方ないと思う。

 俺としては死の瞬間に意識がなくて、全く苦しむことがなかったのがありがたい。


 自分が死ぬ瞬間に苦しみ悶えまくって死ぬとか、そんな経験はしたくないからな。



 それはともかく。

 風呂場で美人メイドのスケスケ姿を想像して、のぼせてぶっ倒れてしまった俺。

 あの後メイドたちに救助されて、寝室へ運ばれた。

 そこで介抱されて意識を取り戻したけど、朝食を食べてなかったので、食べやすい物にとスイカが用意された。


「ああ、瑞々しくておいしいなー」

 生まれ変わっても、前世の俺(ただし前世の俺が本当に死んだのかは分からないので、前世と言っていいのか分からないが)の習性は受け継がれたまま。


 スイカがおいしくて、ついパクパク行けちゃうね。

 塩を振りかけて食べればいくらでも食べられるので、大玉のスイカ一つ分は食べてるんじゃないかなー。


「お代わりー」

「ネロ様、スイカなのでさすがに太ることはないでしょうが。あまり食べ過ぎると、トイレで苦労しますよ」

「……」


 スイカを食べまくってたら、メイドのシズに止められてしまった。

 そうだね、スイカを食べ過ぎると、トイレに行きたくなるよねー。

 あと、前世のデブには二度と戻りたくない。


 息子の姿を拝めなくなるばかりか、関節痛に、ちょっと動くだけで息切れするあの体は、もう嫌だ。


「……ジャリジャリ」

「未練がましく、白い部分を食べるのはおやめ下さい」

「……はい」


 デブに戻るのは嫌だけど、食い気に勝てなかった俺はそんな事をしていた。


 うん、やっぱり食い過ぎはダメだ。

 また、デブになってはダメだ。


 未練はあるが、さすがにこれ以上食い続けるのは止めにした。



「それにしても風呂場でのぼせてしまうなんて、相変わらずというかなんというか……変なことを想像したのですね」

「グホッ、ケホ、ゴホゴホ」

「ああ、やっぱり図星でしたか」


 ちょ、ちょっとシズさん。

 あなた俺の頭の中を読んだでしょう。

 というか、あなたは創造主である俺の事を、そんな風に見てるのかよ!



「あのー、シズさん。つかぬことをお聞きしますが、主人である俺の事をどう思ってるの?」

「どう思うも何も、変態です。ネロ様は昔から変なテンションになって、『ウヒョー、シズちゃん最高』なんて叫びながら、私に抱きついてきましたし、他のメイドにも同じような事ことを頻繁にしていたじゃないですか」

「……」


 ノウッ。

 ゲームをプレーしていた頃の話だけど、俺は実際にNPCのシズたちに、抱き着いたりするプレーを幾度となくしていた。

 だって、俺の作った美人メイドたちだよ。

 そんな彼女たちを前にして、モニター越しとはいえ、抱き着かずにはいられない。


 俺は男としてごくごく当然な(変態)欲求を満たしていただけなのに……ゲーム時代の事を、シズたちは憶えている訳か。

 てことは、俺の変態プレーの数々を、彼女たちは知っているのか……


「その、申し訳ないです、ごめんなさい」

「いえ、ネロ様が昔から変態ダメ人間なのは承知しているので、謝っていただかなくて結構です」

「……」


 異世界転生したけど、俺はこの世界でもどうやら底辺人間でいなければならないようだ。


 シズの態度はしれっとしているけど、メンタル豆腐な俺は、物凄く気まずくなってしまった。


 思えばメイドに抱き着くなんて行為は、モニター越しのゲームだからできたことだ。

 それがリアルとなってしまった今、俺にそれを実行できるだけの意気地があるわけない。


 ――すんません、申し訳ありません。あれは出来心だったんです。


 俺は心の中で、滅茶苦茶メイドたちに詫びまくった。



 こんなダメ人間の、変態創造主でごめんなさい。


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