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僕は、森口くんがクラスメイトに笑われている姿を見て、とても怖くなった。 彼に同情するでもクラスメイトを批判するでもなく、ただ僕は感じたのだ、「怖い」と。
今思えば、僕はあのときから「僕」というアイデンティティーを強め、取り返しがつかないことになっていったのだろう。
僕があの「恐怖」を感じてからも、学校へ通う日々は平穏に過ぎていった。 森口くんはいじめられなかったし、学校で事件という事件も起こらなかった。ただ、僕の中の「何か」が変わってしまった。 しかし、僕はそのときにその変化には気がつくことができなかった。 結局、その変化に気がつくことができないまま僕は中学生になった。