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  作者: 弥生
1章
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2

 ふと思ったのだが、「周りの目」を気にし始めたのはいつ頃からだろう。 「生まれたとき」と言われれば生まれたときのような気もするし「昨日」と言われればそのような気もする。ようするに、はっきりとはわからないということだ。


 ただ、「周りの目」を僕が初めて意識したきっかけは覚えている。 それは小学校四年生のときのことだ。 「誰が小学校四年生とき?」と思う人もいると思うので一応補足しておくが、それは「僕」が小学校四年生のときだ。

 それはある日の算数の授業中のことだった。 先生が出した応用問題をみんなで解いているときに「ふんーっ、ふんーっ」とゴリラの鼻息のような音がリズムよく聞こえてきた。その音は、僕が聞こえたそのときからしていたのかもしれないし、もしかしたら数年前からしていたのかもしれない。ただ、僕がその音を聞いたのは「小学校四年生のときのある日の算数の授業中に、先生が出した応用問題をみんなで解いている」ときだ。もちろん「僕」が小学校四年生のときだ。

 まぁとにかく、ゴリラの鼻息なような音が聞こえたのだ。 ただそれはゴリラではなく、左から二番目の列の一番前の席に座っている「森口くん」のものだった。

 森口くんは優しそうな垂れ気味の目をしていて、髪の毛に自然のパーマがかかった男の子だ。 全体的に丸く、彼の手なんかは生まれたての赤ちゃんのような手をしている。 そんな彼の一番の特徴が、服装だ。 彼はどんなズボンであろうと「ここまで上げるか」といわんばかりにズボンを上げ、その上がりきったズボンにシャツを必ず入れている。 その見た目はまるで社会経験を何年も積んだ中年男性、おじさんのようだ。

 彼はその見た目のせいもあり、元々クラスの中では「少しかわっている人」だったが、そこに<ゴリラのような鼻息>という特殊な要素も加わって「クラスの笑い者」になってしまった。ただ、笑い者になっても、いじめられっ子だけにはならなかった。


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