白い匂い
2008年に書いた詩です
あなたと雨の日にすれ違った カセットテープ
ひさびさだと想った この匂い
雨の匂いよりも 「好き」
あなたはごく稀に私の傍を 通り過ぎる
私は調べたくなる 隅々まで
仲間に入れて欲しい そのパーティ
白いカセットテープは 透明のケース
開けた途端に あなたはいつもやってきて
どんどん焦げていった それはふたりの少女
窓から差し込む陽光 それは老婆の微笑み
消えていった世界を あなたは連れてくる
私はいつまでもわからない その匂い
焦げた白い砂糖の匂い それよりも「好き」
小さな部屋 公園の小屋 裏に佇むふたりは独り
あなたと雨の日にすれ違った 見も知らぬ人
同じ匂いが ただ通り過ぎた
私は調べたくなる 私は出会いたくなる
白い匂い 白いシルエット 白い未来
どこかの小さな店で とある瓶の中に
封じ込められている想いを 再生したい
いつか見つけるだろう 白い匂い
私はパーティに入って カセットテープ
いつまでも いつまでも同じ 白い匂い
その日まで あなたは通り過ぎる 雨の日