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シニカルスター

作者: keisei1

 

 たしか彼は 「僕らは孤独じゃない」と唄った

 それが今では「法」を名乗り 人々を裁いているのさ



 どうやら僕らは 一世一代のペテンに

 魔法のようにかけられ 哀れなボロを着ているらしい


 海の向こうのスーパーヒーロー 子役上がりの転落

 そんな涙混じりのこと 聞くのに飽きてきてた頃


 そんな時代に現れた 彼は救世主メシアにも似てて

 微笑んで 夜空のマーチを歌い上げたプリンスだったのさ  



 たしか彼は 「もう一人で泣かないで」と唄った

 それが今では洋もくを吹かし マリファナに埋もれている


 騙されたなんていうのは とてもクールじゃないけれど

 とにかくも僕らは 襟を正して 彼の淀んだ瞳を見つめているのさ



 ファンファーレが無性に 寂しく響くあの夜に

 彼はヒラリとマントを翻し 僕らを夢の世界へと 連れていった


 鳴り響く太鼓の音に 打ち上がる花火の下

 僕らは 彼のもとに手をつなぎ 口づけを交わし合っていたのさ


 彼は労働着を着て 「世間に惑わされないで」と

 僕らの胸に訴えた 唯一無二のヒーローだった



 たしか彼は 「ずっとみんな一緒にいよう」と唄った

 それが今では 独裁者気取りで 黒を白と呼んでいる


 俯いたままで 打ち沈むのは クールじゃないから

 とにかくは 僕らはブレザーを着直して 彼の暗い目を見据えるのさ



 たしか彼は 「空と海はこんなに美しい」と唄った

 それが今では 派手な女を侍らせて アルコールをただあおるだけなのさ


 彼は眼帯をつけて 僕らに指示を出そうとしてる

 とりあえず 僕らは襟を正して 隠された彼の義眼を見据えるのさ



 たしか彼は 「僕らに出逢えて良かった」と唄った

 それが今では 皇帝ネロも真っ青に 粛清を重ねてるのさ


 嘘をつかれただなんていうのは クールに見えないから

 とにかくは 僕らはシャツの襟を伸ばし 彼の落ち窪んだ瞳を見据えるのさ



 そう 僕らは 疑うこと知らなかった 天使なのさ

 シニカルスターの 彼が飲み干したシャンパンの海に溺れて 


 見えない明日を見てるのさ

 見えない未来を見据えてるのさ

 見えない希望を手にしたいのさ


 まだファンファーレは響いているのさ





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