スタートライン
「ぜぇ……っん、はぁ……」
山を下る間に数体、最初の奴より全然小さいのをカードに封じることができた。魔獣達は知能も低く直線的な動きしかしないため大きなダメージを受けることはなかったが、慣れないことの連続で疲労が溜まっていた。
「はぁー……はぁー…。あれがミツカの言ってた麓の町か。思っていたより大きいな」
やっと僕の物語はスタートラインに立ったのだろう。
舗装された道が見える。これで一安心だな。
「町に入ったら何をしようかな……そうだ、汗臭いしまずは宿見つけて風呂だな!……あ、でも金がないんじゃ……」
そう思いカバンを漁ると中にこの世界の通貨と思われるコインと手紙の入った小さな袋を見つけた。
《ここには300ガル入ってる。飯付きで6日分くらいの金額だと思う。武具を揃えたらすぐに無くなるかもだから節約するんだよ。 ミツカ 》
「宿はこれで何とかなったか、よかったよかった」
なんて思ってるうちに麓の町に着いた。いつの間にかココまで歩いてたようだ。
「おや、旅人かい?こんな辺鄙なところにご苦労様なこって」
この町の守衛さんかな?優しそうな印象を受けるたれ目気味の男だ
「ええ、そんなところです。いくつかお尋ねしたいことがあるですけどいいですか?」
「ああ、何だい?23年間、生まれてからずっとこの町に住む俺に分からねえことはないぜ!」
「この町の宿と、分かりやすい地図が欲しいのです」
「宿ならここをまっすぐいって左側に見えるよ。そこは飯もうまいしオススメだぜ!と言っても、この町には宿はそこしかないがな!アッハッハッ!」
見た目に反してかなり豪快な性格してそうだな……なんとなくニガテだ……
「タウンマップも宿に置いてあるし必要なのは全部そこで揃うはずだ。もし何かあったらまたここに来たら手助けするぜ」
「親切にありがとう。また何かあればその時に」
守衛はニカッと笑って手を振って僕を見送ってくれた。まずは宿、それから風呂、早く風呂入りたいな…