小さな恋
僕が好きなのは幼馴染の春樹。
いっつも一緒に居たから、気がついたら、彼女のことばかり目で追いかけるようになってた。
だけど、彼女は違うみたい。
いつのまにかに、僕とは違う男友達を作ったり、友達と恋の話をしたりして、僕のことからどんどん離れていく。
だけど、僕には何もできない。
だって、僕と彼女をつなぎとめている関係というのは、単なる幼馴染。
それだけでしかない。
だから、もしここで変なことをしてしまえば、最悪その幼馴染ですらいれなくなる。
それが僕はいやだった。
臆病だといわれるかもしれない。
それでも、僕は何にもいえない。
だって、それぐらい彼女のことが好きだから。
ずっとずっと。
小学校に入る前から好きだった。
あのいつでもまっすぐ前を見ている目が好きだった。
いっつも弱気だった僕を前へと押し出すあの目が好きだった。
それは今でも変わらない。
彼女の目は、いまだに前を見ている。
いつだってしっかり前を見ている。
いっつも前を見ている彼女は、僕とは違って勇気があった。
今日、彼女が僕の友達に告白をした。
僕にとって一番大切な友達で、親友といってもいいくらいだ。
その人に告白した。
そして、僕はそれに協力をした。
幼馴染だから。
幼馴染だから、協力しなきゃいけない。
それが彼女の言い分だった。
まぁ、言い方は多少違ったけど、そんな感じだった。
明日から、また僕の彼女の中での位置が変わる。
今までは単なる幼馴染だった。
だけど、今日からは、幼馴染兼彼氏の友達。
今日から僕はそうなる。
それが悔しかった。
だけど、どうしようもできなかった。
臆病な僕には何もできない。
明日から距離を置こう。
それが、幼馴染としてできる、唯一のことだ。
幼馴染への恋。
それはたぶん男のほうが抱くもんだと思う。
女の子は多分違う。
広い世界に出て、もっといい男に出会い、恋をしていく。
だから、漫画のようにはいかない。
僕の恋が実ることなんてない。
彼女にとって僕は男じゃない。
単なる幼馴染。
それ以上でも、それ以下でもない。
ただ、それだけでしかないんだ。




