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現世にもどりあたしは素直に新しい学校を説明した。昨日の今日で転校である。しかも私立中学に。幸い素直は頭がよかったので、試験は軽くパスできた。

 本人は部活をやめるのを名残惜しんでいたけれど、こっちのほうが設備がいいからと言ったら「ボクの放課後はおねーさんのためにあるから、部活はいい」なんて言ってきた。

「素直君、今はまだただの養子でいいのよ。大人になったら護衛って話なの」

「それでも、徒歩通学は危ないもん」

 その言葉に、岩岡が大きく頷いた。

「それはわたくしも思ってました。倉グループの令嬢が、ひとりで夜道など、危なくて仕方がないです。それに対して素直様は大柄でいらっしゃるから、そばにいるだけで警戒して近づいてこない者が多いでしょう」

「ほら、岩岡さんもそう言ってるよ?」

 うーん。中学一年生は一度きりだから、個人的には思いっきり青春を楽しんでほしいんだけど。この体格なら、きっとバレー部もいい感じの位置にいたんじゃなくて?

 スポーツは詳しくなくても、身長が高いほうが有利なことぐらい、あたしだってわかるもの。前のバレー部から素直を引き抜いたような形になって、罪悪感さえ感じているわ。

 でも、岩岡が言うなら、そうするしかないのよね。お父様たちは、すべてを岩岡に任せているもの。忙しいから仕方がないけれど、正直寂しいわ。

 結果、あたしは素直を連れて登校しているのだ。そして、そこで遭遇する城崎ましろ。何故か素直を見て顔を赤らめている。

「あの、倉さん、おはよう……」

「……おはよう。なんですの? わざわざ近くに来てあいさつなんて」

「なんでもっ! そっちの方は?」

「養子の素直君よ。中学一年生」

 なんで城崎ましろに彼の紹介をしなきゃいけないんでしょうね。納得いかないわ。

「あの、城崎ましろですっ」

「……ん。覚えた~」

 素直もマイペースに返事を返しているし。

 城崎ましろはうれしそうにほほを染める。あれ? もしかして素直に気がある感じ?

それって一目ぼれ? 嫌すぎるんだけど……。

 あたしは素直を慌てて中東部を案内して、城崎ましろから離れた。

「あのおねーさん、友達?」

「ううん、全然仲良くないっ」

「ふうん。じゃあボクも適当に相手しとく」

 そう言って素直は中東部の中に入って言った。のだけど。

「闇お嬢様! 先ほどの男性は?」

「イケメンで背が高くてお似合いでした!」

「城崎ましろが目をつけてましたねー」

 こんなふうに、クラスメイトに囲まれる羽目になるのだった。

            *

 昼休みに中等部をのぞきに行くと、素直は女の子に囲まれながら、先輩たちに部活の勧誘をされていた。そんな中マイペースにお弁当を食べているのだから、肝が据わっている。

 それとも、女の子に囲まれているのはなれているのだろうか。そう思うとなんだか胸が痛い。

「山田―なんかさっきから高等部の先輩がこっち見てるけどー?」

 空気を読んだクラスメイトが素直に声をかける。あたしはあわててその場から逃げだした。

後ろめたいことなんかないはずなのに。

 気が付けば誰もいない階段にたどり着く。そして、メールが来てる事に気が付く。レイヤからだった。

『あなたの見ている夢は前世かもしれません』

 そんな短い一文に、あたしは首をかしげる。たしかに、あれは夢で、前世なのかもしれない。けれど、それにしては自由に動き回れ過ぎではないかな。眠りが浅いせいなのかもしれないけれど……。

 あの世界が何者なのかは、あたしだって着になっている。あたしは時間を見て慌てて教室に戻りお弁当を食べた。周りにびっくりされたけれど、味はやっぱりおいしかった。


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