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「ボクも、本気を出すべきかなあ?」
「出してないの!? この状況でそれはふざけてるわよ!」
「だって、これはダーク様のキスがないととけないんだもん……」
「はあ!? キスですって!?」
なんでまた、あたしがナチュラルにキスなんて……。でもみんなの命がかかっているし。
「なんでボクが巨人って呼ばれてるかわかる?」
「? 小人族の中に二mがいたからでしょ?」
それ以外、何があるというのだ。
「その、十倍は大きいよって言ったら、引く?」
あたしは思わず言葉を失う。十倍って……どれぐらいなの? とっさに計算が出来ないぐらい戸惑う。
「この孫悟空みたいなわっかはね、ダーク様の力でボクのサイズを変化させてるんだよ?
実生活にそれだけでかいと不便でしょ?」
「不便って言うか……なんでそれをすぐ使わなかったの?」
「戻れないから」
「え」
「戻れないから、そこで一緒に暮らすことは終わりになるね~。それでも、今回は仕方がないよね。はい、キスして。ダーク様」:
「そんな……」
いろんなことがぐるぐるするあたしは、うまく返事が返せなかった。でも、答えは一つだ、そうするしかないのだから。
「はい、ちゅー」
されるがままにナチュラルにキスをされて
その瞬間あたしはキュートに拾われる。
そして、ドカンという音とともに……十倍のサイズになったナチュラルが現れた。なぜか孫悟空のようなわっかは壊れずに元のサイズのままだ。
「あーあ。かわいそうにナチュラル。極力あいつを使わないでやりたかったんだけどね。
あいつダーク様の事が大好きだから、そばにおいてあげたかったんだけど……これじゃ一緒に眠りもできないな」
そんな声を聴きながら、巨大になったナチュラルを見上げる。大きい。すごく大きい。
「きゃ……」
ピュアが悲鳴を上げて固まる。
「これで、セクシーをぶっ潰せばいいんだよね~?」
にんまり笑うナチュラルはすごく怖い。夢に出てきそうだった。セクシーは腰が抜けてひざが笑っている。
「自分、ダーク様側につきます!」
セクシーが突然宣言して、動揺したのはラブリーだ。
「何を!? お前を拾ってやった恩をわすれたのか!? 衣食住すべて見繕ってやっただろう? 大好きな蘇生も沢山させただろう!」
「それよりも自分は命が惜しいです! 四天王にこんな化け物がいたなんて……聞いてないっ」
「まあ、セクシーが抜けてから入ったもんな、ナチュラルは」
キュートたちはいたって冷静だ。
何故だかピュアはにこにこしている。
「さあ、どうぞ好きに襲い掛かってくださいな」
なんて、挑発までしてくる余裕さだ。これは絶対何かある。




