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目の前に立ちはばかる敵の大きさに、あたしはやる気をなくしていた。何をしたって無駄なんだ、とあたしは思うのに、四天王はひるまない。ピュアは珍しく魔法を使い、防御をしている。

 火が舞い、水が舞い、土が舞う。そして、最後に植物が生き物のように動き。ピュアたちを固定する。セクシーはというと、身軽に飛び回り、攻撃をかわしている。

 あたしはただ、ナチュラルに抱かれるようにして、その様子を見ていた。

「怖くないの? 皆」

「怖いも何も、戦わないと死んじゃうでしょ~? 死にたくないもん、ボク。まだまだおねーさんといたいし」

「おねーさん?」

「あ、いけね。ダーク様」

「???」

 まるで素直のように、あたしを呼ぶからあたしは混乱してきた。混乱している間にも、戦いは続く。ラブリーはピュアに魔法を指導しては、ピュアが使ってくる。けれども、何故だか弱い。魔法少女って、そんなに弱い存在なの?

 悩んでいると、ピュアがあたしのほうを狙って魔法をかけた。身動きが取れなくなる魔法だ。この状況であたしを狙うのは一番正しい。でも、何故直接攻撃じゃないの?

「ピュアのやつ、ダーク様を狙うなんて……」

「こっちもセクシーを狙いましょう」

「狙ってるけど、すばしっこい……ボクはダーク様がいるからあまり動けないし、あとの三人に頼るしか……」

 それでも、免疫が出来ているのかピュアはあまりダメージを受けていないようだった。たまに命を落としいては、蘇生を受ける。見ているほうがえげつなくて、気分が悪くなってきた。

「セクシーは、なんであたしから離れたの?」

 あたしは気になっていたことを尋ねた。

「戦わない魔王は興味ない、っていう理由だったはずだよ~。死なないから、蘇生し甲斐がないんだってさ~。悪趣味だよねぇ~」

 はあ、と小さなため息をナチュラルがつく。本当に、蘇生なんてしないほうがいいに決まっているのに。

「理解できないなあ、ボク。平和が一番だと思うんだけど?」

「あたしもそう思う」

「はやくピュア倒して平和に暮らそうね?」

「うんっ」

 びゅんびゅんと飛び回るナチュラルの腕の中で動けないあたしは祈った。早く平和な世界に戻りますように!

「くっそ、倒せない……オレの力じゃ、駄目なのか」

『めげるなキュート! まだ勝負はついていません!』

「そうだ! おれらにやれることはあるはずだぜ!」

 励まし合いながら、戦う四天王。そこに、複雑な顔をしたのがひとり。ナチュラルだ。

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