11
朝起きて、四天王と顔合わせる。誰もが、浮かない顔をしていた。どうせまた、戦うのだと思うとあたしだってはしゃぐ気になれない。
「あいつが、あっちにか……最悪だぜ」
「ほんと~」
「それでもオレは戦うけどね」
「私もです」:
朝食をみんなで食べる。今日の朝食は、なんだか味が薄くて量だけが多い。クールにも余裕がなくなってきたのだろうか。
ただ無言でご飯を食べて、いつでも戦えるように着替えていく。もう、次があると決まっているように。
あたしは憂鬱な気持ちになりながら、キュートから渡された丈夫な服に着替える。色気も何もない、頑丈で動きやすい服だ。色だって、真っ黒でなんだか自分じゃないみたい。
なんだかんだでいつも煌びやかな格好でいたから……ああ、戦いが始まるんだなあって思う。いやだ、逃げ出したい。でも魔王である自分が逃げだしたら、戦いはうまく行かないだろう。
クールがお皿を洗い終わって、皆で緊張感のある時間を過ごしていると、またブザーが鳴った。
「今度はどこなの?」
あたし小さな声で尋ねた。
「この城の前です……」
「そんな」
がたん、と何かが壊される音がした。そして、そこに目をやると飛びあを壊して入ってきたピュアとラブリーと紫の髪をした美男子がいた。長く伸ばした髪を持ち、鋭い目をしている。
「やっぱりあいつか……」
「あいつ?」
パッションの言葉にあたしは疑問を投げる。
なんだかどこかで見たことがある顔だけれど……誰だったかしら?
「セクシーって言って、ボクが入る前の四天王のひとり、だよ?」
四天王のひとり。つまりは、それなりに実力があるはずだ。
「能力は蘇生。彼の精力が尽きるまでいくらでも組成できるんです。攻撃力はありませんが、彼がいるだけで戦力がケタ違いになりますね」
蘇生。それは生き返りの力と言う事だ。つまりは彼がいる限り、ピュアを倒すことはあたしたちには不可能だということだ……。
「そんな……」
「いきますよ、ダーク様!」
「ボクも久しぶりに本気出す!」
「今度こそ倒すぜ!」
「オレだって」
盛り上がる四天王をよそに、あたしは血の気が引いていくのだった。




