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どうせ、寝たらまたピュアと戦うと思うと、起きて高校生に戻ってもうれしくない。

 隣に寝ている素直も、思わず頬をつねるほど少し憎らしい。ええい、なんで秘密を履かないのだ。あたしが大好きなんじゃないのか。

「痛いよーおねーさん……」

「八つ当たりよ!」

「それを宣言するってある意味すごいことだよ、おねーさん」

 素直が呆れた声を上げる。だって、むかつくんだもの。あたしをあがめておいて、結局部外者なんて。あたしだって気になるって―の!

 あたしは素直を追い出して着替えると、急いで朝食をとって家を出た。

 隣にいる素直も、あたしの不機嫌さをくみ取ったのか、何も言わない。

 ただ顔色を窺って、ひょこひょここちらを覗き込んでくるだけだ。

「あ、メールだ。城崎先輩から~」

「!? いつの間に交換したのよ!?」

 なんで、素直があいつの番号を? 

「この前交換したんだ~。おねーさんが嫌なら消すけど」

「別に、いいわよ」

 消せなんて、まるで彼女の嫉妬のようで恥ずかしいじゃない。本当は消してほしいけれど、そんなこと言えないわ。

「何を話しているの?」

「ひ~みつ」

「また!?」

「ごめんね? おねーさん」

「……わかったわよ」

 かわいらしく謝られちゃったら、何も言えないじゃないの。あたしは頬を膨らませながら、学校を目指した。

 すると、目の前には城崎ましろが立っていた。今一番見たくない顔なのに……手には、手作りの何かを持っている。

「素直君」

「素直君!?」

 下の名前で呼ぶなんて、城崎ましろ、許すまじ。あたしは怖い顔をして彼女を睨む。

「手作りのお菓子もってきたから、食べて!」

「いらないや、ボク」

「そんな、すごく上手にできたんだよ?」

 若干焦っている城崎ましろの手から、お菓子を奪い取る。

「あたしがもらってあげるから、とっとと立ち去りなよ」

「そんな、それは素直君のために……」

「いらないって言ってるじゃん。あたしもちゃんと食べるし、いいでしょ?」

 城崎真白はじっとあたしを見て、無言で去って行った。

「どういうこと?」

「ボクもよくわからな~い」

 本当にそうなんだろうか。すべてを知っていての発言なようにしか思えない。なんかもう、何を考えているのかさえ分からない気がしてきたわ。

「城崎先輩から、何ももらう気はないから、おねーさん安心していいよ?」

「いつ心配したの?」

「今、顔に出てた」

 あたしは思わず顔を熱くして目をそらす。絶対あたしのほうが顔に出て、わかりやすいんだろうなあ。

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