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「そんな、まさかまたピュア!?」
「そんなことはないだろ? おれがどろどろに溶かしてやったし……」
「そうよね」
「……すみません、一応私とダーク様で向かいましょう。ほかの者は、城を頼んだ」
「うっす」
「わかったよ」
「ん~ボクがお城にいれば、護衛はばっちりだね~?」
唇に血の気がなくなっていくのが分かる。
クールの力で、あたしたちは探知機が反応した場所まで飛んだ。
そしてそこにいたのは――。
「なんで、ピュアが立っているの……」
それも、出会った時と同じ綺麗な白い服を着て、にっこりと笑いながら。
とたん、襲い来る絶望。彼女は不死身なの? そうだとしたら、戦うだけ無駄なんじゃ……それを言葉に出さずに、付近にある海から、水で龍を作って見せるクール。
「今度は、お水?」
ピュアはなぜか桁桁と笑った。最初はあんなにあたしたちを恐れていたのに、気でも狂ったのだろうか。
「こっちへおいで!」
ピュアは無邪気に龍と戯れる。そして、水に飲まれながらも笑っていた。どうやら彼女は泳げるらしい。
それを悟ったクールは水を彼女の口に押し込んだ。それで窒息させる気らしい。次第に顔が青しろくなっていくピュアを、ラブリーは眺めている。水を縦に切ったり横に切ったりはしているものの、対策が見当たらないようだった。
そして彼女の息が止まるころ。クールの攻撃が止んだ。ピュア抜け殻が、地面に転がっている。ラブリーは固まっていた。
「ピュア、ピュア」
「残念だけど、これで彼女も終わりです。この前はどういう手を使ったかは知らないけれど……」
その声に、ラブリーはにたりと笑った。その姿に思わずぞわっとするあたし。
「こっちには、あいつがいるからね。そう簡単には終わらないよ」
ラブリーは、見下すように言った。あいつ? 首をかしげているとラブリーは姿を消していた。視線を動かしてみると、ピュアの亡骸もなくなっていた。
ぽかんとして、あたしとクールは向かい合った。
「後ろに、黒幕がいる……?」
「多分そうですね、ダーク様。黒幕が彼女を蘇生させているとしか、考えられません。それが出来るのは……きっと……」
クールの顔色がくすんでいく。思い当たる誰かがいるのだろう。
「きっと……?」
「憶測ですから、言う事は出来ませんが……もし事実なら、最悪の展開ですよ」
もうすでに、絶望は味わっているのに、まだあるというの? 早く元の平和な女子高生に戻りたいわ。
帰りはワープでひとっとびだったけれど、あたしだけ別質に置かれて、四天王たちは会議を始めてしまった。
ナチュラルなら、あたしに教えてくれるかと思ったけれど、一切口を割ることがなかった。やっぱり彼は、口が堅いのだ。




