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「おねーさん、今日の朝はごめんね」
「別にいいわよ。それで、城崎ましろはなんて?」
「…………」
素直は無表情で黙る。
「素直君?」
「あ、うん、なんでもない」
「そんなわけないでしょう? 呼び出しを食らったのよ? 何か用事があるに決まってるじゃない」
「落し物、届けてくれただけ」
絶対嘘だ。
「だから、気にしないで~」
とは言われても気になるわけで。でも素直って口意外と堅そうだから、吐きそうにないのよねぇ……あたしはため息をつきながら、頷く。
「わかった。そういう事にしておく」
「ありがとう、おねーさん。大好き」
「ばっ、簡単に大好きとか言わないのよ!」
無邪気なセリフも、見た目のせいでドキドキしちゃうんだから!
「おねーさん、何で顔赤いの?」
「貴方のせいでしょう?」
まったく、天然なんだから。確信犯のほうがたちがいいわ。
あたしはずかずかと歩き出す。素直はすぐに大きな足で追いついてくる。
「おねーさん、ボクのことをきらいになっちゃ嫌っ」
「どうかしら」
本当は嫌いになる気なんてないのに、あたしは意地悪な言葉を吐いた。素直が後ろで項垂れているのが容易に想像できる。
それがどこか面白くて、あたしは次第に笑っていた。
「おねーさん? なんで笑うの?」
「おかしいから笑うのよ!」
「何がおかしいかわかんないよ~?」
素直が不思議そうな声を上げる。それがさらに面白くて、あたしは大声で笑いながら家に帰った。




