6
朝起きたら素直が目の前にいて、ああ、帰ってきたんだなあと思う。さっきまでいた世界が、本当に夢だったらいいのに。もしくは、前世だったら。現実は残酷ながら、現在進行形なのである。
素直を叩き起こして着替えるために部屋に戻らせる。そして一緒に朝食をつついた。
思わず出てくる、戦いへの愚痴。素直にいはわかるわけないと知っているのに、言わずにはいられない。
「でもまあ、大切な人の命がかかってるわけだしね~。ボクでもぼっこぼこにやるよ?」
素直の意外な言葉に、口に運んでいたパンを食べこぼすあたし。
「油断してると殺されちゃうんでしょ。じゃあしかたがないね?」
「でも、命を奪うのは……」
「それってきれいごとだよおねーさん。自分が殺されそうなのに、なんでそんなふわふわしてられるの? ボクはそっちのほうが理解でいないけど。まだ実感ないんでしょ~?
こっちじゃあり得ないもんね、まあ、お嬢様のおねーさんには、誘拐犯とかありえるんだろうけど……」
ぐうの音も出ない。素直の言っていることは正論だった。あたしは四天王に守られてるのもあるだろうけど、そんな状況に立ったことがないから、実感がないのだ。
「あたし、甘いのかな」
「うん、すごく。なんで殺そうとしてくる人の命気にしてんの~? そりゃ相手も人間だけど、自分も人間じゃん」
あたしはうつむく。素直は仕方がないというようにパンを黙々と食べ、目玉焼きも食べきった。
「城崎先輩に呼ばれてるから、先行くね~?」
「えっ!? なんで!?」
「なんか用事があるって」
告白だろうか。城崎は案外肉食系だから。
あたしが眉間にしわを寄せていると、素直が笑った。
「大丈夫、ボクは何があってもおねーさんのものだよ?」
「素直ったら……」
およしなさい。みっともないわ」
熱く燃え上がるクラスメイトをたしなめて、あたしはため息をついた。城崎ましろは、何を考えているのだろうか。
あたしは送り付けられてきた優の自撮りを見ながらぼんやりと時間を過ごした。
どうやら新しい洋服を買ったらしく、優はご機嫌のようだ。あたしの分も用意したらしい。嬉しいけれど、彼らにはさっきのことは離せないな、と思う。夢だと思っているなら、なおさらあたしは性格の悪い女に見えてしまうだろうから。
「城崎ましろなんて、どうでもよくて。あたしには、全く敵でもないわ」
「ですよね! 闇お嬢様が一番!」
「……別に、一番じゃないわよ」
「闇お嬢様?」
あたしの言葉にクラスメイトが顔をゆがませる。いけない、素が出た。
「あたしは、銀河一だもの」
「ですよね!」
ぱちぱちと拍手喝采をうけながら、あたしは疲れたな、と思う。起きても寝ても、あたしは動いているのだから、当然だと思う。
疲れは引きずらないまでも、気分は滅入る。
そして、そのまま放課後になった。素直が高等部の前で待っていた
思わず照れるようなことを、簡単に言っちゃうんだから。素直はあたしに手を振ると早足に出ていった。
あたしも慌てて身支度をして、学校へ向かった。
「闇お嬢様!」
学校についた途端、クラスメイトが飛んできた。思わず引きつった顔であいさつをする。
「なんです?」
「あの、養子の素直君と城崎ましろが一緒にいるのを見ましたっ」
「ああ、知っていてよ。あたしに素直が報告してきたもの」
「でも、すごく顔が近かったです」
「素直君なら大丈夫よ。無理に突き放す力もあるもの」
「またあいつは闇お嬢様のものに手を出して……成敗してやる」
およしなさい。みっともないわ」
熱く燃え上がるクラスメイトをたしなめて、あたしはため息をついた。城崎ましろは、何を考えているのだろうか。
あたしは送り付けられてきた優の自撮りを見ながらぼんやりと時間を過ごした。
どうやら新しい洋服を買ったらしく、優はご機嫌のようだ。あたしの分も用意したらしい。嬉しいけれど、彼らにはさっきのことは離せないな、と思う。夢だと思っているなら、なおさらあたしは性格の悪い女に見えてしまうだろうから。
「城崎ましろなんて、どうでもよくて。あたしには、全く敵でもないわ」
「ですよね! 闇お嬢様が一番!」
「……別に、一番じゃないわよ」
「闇お嬢様?」
あたしの言葉にクラスメイトが顔をゆがませる。いけない、素が出た。
「あたしは、銀河一だもの」
「ですよね!」
ぱちぱちと拍手喝采をうけながら、あたしは疲れたな、と思う。起きても寝ても、あたしは動いているのだから、当然だと思う。
疲れは引きずらないまでも、気分は滅入る。
そして、そのまま放課後になった。素直が高等部の前で待っていた。




