とある街の記憶
あるところに小さな人間がおりました
1人2人と集まって 小さな村になりました
村と村とが寄り合わさって 小さな町になりました
町は野を覆い山を飲み込み森を切り裂いて
うねるように延びていきます
町は
知らぬ人のない大都市となりました
色んな命が生まれました
色んな物が運ばれました
赤 青 緑
さまざまな色が通り過ぎました
丸 三角 四角
さまざまな形が行きかいました
ある晩 東の空が燃えました
黒い煙が天へと流れていきました
赤い赤い歴史書が
たった一冊残されました
かの街はこげ茶色の野原となりました
あるとき緑の大地に小さな人間が訪れます
幻影の街を胸に何を思うのでしょう