生体あなろぐ時計
最近ようやく気がついた
どうやら私は時計であるらしい
針も字もなく背の高い
狂った生体ねじまき時計
土色体躯のどまんなか
がらんどうの胸の内
真赤の早鐘とくとくと
一人寂しく鳴っている
巻くのは世の声人の声
早鐘の下をきりきりと
巻きに巻かれて巻き切れて
刻む時間は増すばかり
時さえ知らないその時計
はかない夢に囲まれて
がらんどうの箱の外
ぼーんと零時の鐘が鳴る