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霊剣歴程  作者: kadochika
最終話:霊剣、霊(くし)ぶ
139/145

14.敬意










 地上に再臨を果たした始原者メトの標高はおよそ300キロメートル、中腹部の直径はおよそ100キロメートル。

 これに対し、多国間特務戦隊(フォンディーナ)の穿った穴は直径2000メートルほどあり、それが標高150キロメートルほどの部分を反対側まで貫通した。

 成人に例えれば、焼けた極太の鉄串で腹部を背後まで貫通された状態に近いといえる。

 地上文明が始原者メトに対して与えた、初めての大規模な打撃だ。

 だが、重傷なれど即死ではなく、この神を殺さねば、字句通り地上に明日は無い。

 制御中枢を探しだし、破壊する第二次作戦が開始された。

 始原者の内部に向かって、鋼鉄色の天船が時速にして500キロメートルほどの速度で進入する。

 障壁のようなものは無く――あっても先ほどの一撃で共に破壊されたか――、何の抵抗も受けず、多国間特務戦隊(フォンディーナ)は再び、始原者メトの内部へと突入を果たした。

 その光景を見たセオは、短く一言、感想を漏らした。


「……暗いな」

『画像補正を行います。船外活動服の視界にも反映しますが、タルタス王子の鎧などには同じことが出来ないので、状況に応じて推進器を投光モードにして光源とします』


 アムノトリフォンがそう答えると、黒一色だった操船指揮室からの視界が、一気に明度を増した。


「おぉ……!?」


 セオは思わず、驚愕の声を漏らす。

 天船の画像補正によって明瞭になった内部には、破壊が広がっていた。


『神殺しの槍は、制御中枢の予想地点にかなり近いところを貫通したと思われます。

 攻撃は大きな効果を発揮し、始原者の内部で大きな火球となって膨れ上がったようです』


 天船の示した画像は、妖星渦動砲のエネルギーが始原者を貫通しつつも、その内部で構成物質を膨張・飛散させ、体内で爆弾が爆発したかのような被害を与えたことを示していた。

 入り口こそさほど広くはなかったものの、内部は高低差にして数千メートルも抉られているようだ。


『そして、こちらをご覧ください』


 天船が別枠で映し出したのは、空を覆う朧雲(おぼろぐも)のような白い(もや)の向こうに、薄ぼんやりと光る黒い光だった。

 

「これは……」

『これが、始原者メトの制御中枢です。

 タルタス王子たちの攻撃で至近距離に被害を受け、全力で防御を行ったようです。

 現在、船体上方に退避を続けているようですが、今が好機です。至急展開し、始原者に止めを刺しましょう』


 それは恐らくはセオの気のせいではあったが、天船はまたとない機会に高揚しているようにも見えた。

 前回の突入時は、後部から追撃して衝撃反射板(リフレクタ)の底面近く、即ち現在地上から50キロメートルほどの地点から突入を試みて、始原者の中枢を狙撃したのだ。

 当然、今回のように直接その姿を捉えることは出来なかった。

 今回は地上150キロメートルほど、即ち始原者の船体の中央に近い部分に穴を開け、そこに突入し、更に攻撃は中枢から僅かに逸れたものの大きな被害を与え、こうして敵の弱点を露出させている。

 これまでの苦戦からは想像もつかない好機に、一瞬、戸惑いが生じかける。

 罠ではないのか。やはり今回も、あと一歩のところで手痛い敗北を喫するのではないか。

 セオはそうした弱気な考えを思考の崖から蹴落とし、命じた。


「……このまま上昇。可能なかぎり接近する。

 狙撃班は護衛部隊と共に展開準備。今こそ、侵略者の首を取る!」

『了解です。船外活動服で遮断される程度のものではありますが、始原者の中枢部分が発する粒子の輻射を裸眼で受けると危険ですので、念のためご注意を』

「距離……約10000。垂直上昇、微速」


 トラティンシカが船体底部の推進装置を作動させ、天船をゆっくりと上昇させる。

 船体各部の推進場生成単位格子(エンジングリッド)から推進場を変成させた可視光をいくつも投射し、鈍く赤熱した内部空間を照らし出した。

 天船の観測によれば、おおまかに言えばやや細長いニワトリの卵のような形状をしている始原者の本体部分のうち、焼け残った上部の構造の内部に逃げ込もうとしているらしい。

 そして、そこを守るということなのだろう、天船が接近警報を発して報告した。 


『動体反応あり。今回はエネルギーを船体防御に回しますので、護衛は最小限で問題ありません。

 人員資源はほぼ全て、中枢破壊に割いてください』

「ここまでは意外にも、相当な上首尾だが……ここからが正念場ということだな」

『恐らく、他の中枢予備は先の攻撃で全て破壊されたものと思われます。あれさえ壊せば、我々の勝利となる可能性が高い』

「他に予備があるなら、むしろ囮として使う――ということか」

『あれこそが囮という可能性も、ゼロではありませんが』

「遅かれ早かれあれも中枢の一つならば、叩くことに変わりはない。

 他に反応がないのなら、このまま逃がすこともあるまい」


 既に防衛機構らしき複数の敵影が、周辺に集結しつつあった。

 先日撤退した時のように、姿形の一定しない、まるで悪夢か前衛芸術のような物体の群。

 天船が映し出す複数の機影を見れば、やはりその全て、一対の黄金の翼が生えているという奇妙な共通点があった。理由は不明だ。

 前回特殊砲を使用不能にされたように、アムノトリフォンの操縦を奪われる危険についても、事前に協議されていた。

 既に天船の制御人格が啓蒙者(カトラ)たちと共に対策を取ったらしいが、物理的な接触が行われない限り、またよほど多数の敵からの接舷突入などを受けないかぎり、防御に心配はないということだ。

 敵が射程内まで接近したことで、アムノトリフォンが宣言した。


『近接防御、威力行使』


 かつては休眠していた天船の防御兵器が起動し、妖術や魔法術と同じ原理で生成された魔法物質の弾丸を連射する。

 一発一発が平均的な練度の魔女の扱う爆裂魔弾――爆裂魔弾自体が難度の高い技術ではあるが――に匹敵する威力があり、直撃を受けた敵が時折そのまま破壊されて機能を失う。

 だが、他の異形の迎撃者たちはそれに怯むこともなく次々と殺到し、天船の装甲に魔弾を撃ち込んでいった。

 軌道上に放棄したアムノトリヌスの光束兵器の威力に比べれば、近接防御魔弾の威力は豆鉄砲もいいところではあったが、今のところはそれなりに効果を発揮しているようだ。


「敵弾に侵略性の病原体は?」

『今のところは確認できません。始原者からの直接接触に警戒を強めます。

 中枢部までおよそ3000メートル』

「よし、このまま敵を引き寄せつつ迎撃を続行。

 船体を盾にして狙撃班とその護衛を発船させる」

『了解です』

「聞こえていたな、霊剣部隊! 頼むぞ!」


 既に甲板に出る準備を終えているのは、五人の霊剣使いと六振りの霊剣。

 生身の四名の他に、擬人帯であるアダ、黙示者の死体を元に再構成された擬似的な肉体を操作している太陽の名を持つ霊剣(ウィルカ)が含まれている。

 その中でも最も鷹揚な性格らしいキルシュブリューテが、一行を代表したのか、セオに答えた。


『了解……まー、霊剣の戦士を生かして返したことに感謝しつつも、後悔させてやるとしましょうか』

『中枢部までおよそ2000メートル』

「上昇止め! 上部甲板開く!」

『上部甲板展開、射出架座(カタパルト)解放』


 甲板の直下に存在する、本来であれば搭載していた戦闘艇などを高速で発進させるための区画が外部にさらけ出されてゆく。

 天の方向、今や始原者の急所を捉え、人類の差し向けた刃たちが展開を始めた。


籠中(ろうちゅう)の未来よ」


 タルタスが念じると、彼の立つ場所を起点とし、空の色のように青く輝く草花が生え始め、それはアムノトリフォンの射出架座を伝って装甲の表面まで、際限なく広がってゆく。

 道標の名を持つ霊剣(パノーヴニク)の特異能、“局所予知”が発動したのだ。

 本来は極めて限定的な、半径数メートル、数秒後程度の範囲にしか適用できないものだが、今回は道標の名を持つ霊剣(パノーヴニク)が、多数の感覚の魔具の機能を統括、複合していた。

 知覚出来る範囲が広がれば、そこから演繹が可能な未来の範囲は更に広がる。


「………………!」


 妖星渦動砲の使用による疲労が全身を蝕みつつある中で、タルタスは、神から与えられた容器を警告にもかかわらず開けてしまったという女の伝承を思い出していた。

 女は急いで容器を閉じたが既に遅く、そこに内包されていたあらゆる災厄が、世界に解き放たれた。

 閉ざされたその中に最後に残された一つが“予知”であったという者もいれば、その語には“希望”という意味もある、とする説もある。

 霊剣パノーヴニクのもたらす予知は、希望となることが出来るか?


(見える。未だ来ざる全てが――!)


 すると、タルタスの保持している道標の名を持つ霊剣(パノーヴニク)の柄が、刃の内部からずるりと伸びた。

 柄の長さは刃の二倍ほどもあり、剣というよりは槍に近く見えた。

 タルタスは眉をしかめながら、相棒に毒づく。


「……お前も変形するのか」

(出力を解き放つための形態のようだ。刮目せよ。これぞ(とき)()る悪行である!)


 なお、当然ながらこの段階で、彼らの位置はより目立つことになる。

 青白い草花によって苔むしたかのごとく包まれた天船アムノトリフォンが、さほど早くはない速度で上昇しているため、船体下面が比較的手薄になる。

 天船に群がる敵の数と勢いが増すが、それを迎撃するのは、天船やカトラたち“両の目”の協力で不調を脱した聖女たちだ。

 始原者の中枢に攻撃を行うために無防備になる霊剣使いたちを守るため、聖マグナスピネルことアイディス・カダンの他、作戦能力の復帰した七名が参戦していた。


「陽炎よ!」

「さすが、啓蒙者の武器は威力が違う……!」


 隕石霊峰(ドリハルト)での戦闘や軌道上での迎撃で装備を失った彼女たちの火器も、一部が天船に搭載されていたものや、“両の目”が資材を加工して製造したものに置き換わり、戦闘力が向上している。

 船体下部の開口部などから攻撃を仕掛けたり、飛行可能な装備のある者は船体を立てにしつつ敵を攻撃した。

 機動力や防御力こそ大きく譲るものの、秘蹟の力と“局所予知”による先読みの効果もあり、一方的な防戦にはなっていない。


「やらせません!」

「烈刃の風に散れ!」


 アダも長大な可変速(かへんそく)電磁加速砲(でんじかそくほう)を振り回し、聖女たちに混じって大物を仕留めていった。

 太陽の名を持つ霊剣(ウィルカ)は妖術を併用しつつ、天船に装備されていた貨物用の超硬度の金属線を自分の本体に結びつけ、それを振り回すことで器用に敵を屠っていく。


「ヴェクテンシア!」


 次は、灰色の髪の少年、アリシャフト・エントリアと抗う名を持つ霊剣(ヴェクテンシア)

 柄が刃と同じ程に長い霊剣は、主の呼びかけに応じて剣からハサミのように変形した。

 それを巨大な円規(コンパス)のようにして足元に大きく円を描くと、鮮やかな緑に輝く正円の内側から、翡翠色に輝く軽やかな羽毛のようなものが大量に噴出する。

 これは聖女たちの扱う秘蹟≒魔法術だけでなく、霊剣の特異能によって発する縺続性(れんぞくせい)超対称性(ちょうたいしょうせい)粒子(りゅうし)の働きをも強めるものだ。

 タルタスと道標の名を持つ霊剣(パノーヴニク)の“局所予知”は、これによって更に強化される。


「オリアフィアマ!」


 そこへ、銀色の月光が放射される。

 赤みがかった金髪の娘、キルシュブリューテ・ソウトリィと輝ける勝利の(オリア)名を持つ霊剣(フィアマ)

 彼女の霊剣は質実な形状の柄飾りが刃の先端まで移動し、戦槌に近い形状となっていた。

 儀式のように掲げられた戦鎚の上方に、銀色に輝く月のような球体が形成されていく。

 “(のぼ)る銀月”。

 一度は始原者に見せてしまっているその切り札が、果たして今ひとたび、通用するのか。

 

「(いや、通用する……!

 これだけ接近した上に、“局所予知”の助けがあれば!)」


 前回は、メトの推進を止めるためにタルタスが別行動を取っていたため、制御中枢の狙撃は彼女たちの船外活動服を端末に、天船が算出した座標を狙うしか無かった。

 今回はより近く、他の予備を喪失したらしいたった一つの、目視すら可能な距離にある制御中枢を狙うことが出来る。

 距離にしておよそ2000メートル、そこには(もや)のような半実体の障壁の中心に息づく、メト神の巨大な制御中枢があった。

 打ち出せば、確実に当たる。

 だが、打った直後に前回、同じ始原者の内部――ここよりはだいぶ低層ではあったが――でグリュク・カダンが消滅した時のように、あの少年の姿をした者がやってくるかも知れない。

 粒子の力で当たる確信を得たキルシュブリューテは、翡翠の色の羽毛が舞い飛び、空色の草花の咲き広がる異様の空間で、銀月の照らす黒く光る中枢に向かって吠えた。


「行けぇっ!!」


 打撃を受けて、“銀月”が加速する!

 しかしその直後、彼女の真上に、あの啓蒙者の少年が再び出現していた。

 少年は直径2メートルばかりのその球体を――再び!――空中で事も無げに、右手で受け止めてみせる。

 前回は数百メートルもあるそれをそうして見せたのだから、それは予想できて当然のことではあった。

 感情らしきものは一切見せず、ほぼゼロ気圧のはずの空間で少年が、独り言のような思念を送り届けてきた。


「小さく生成すれば連発が可能……何か企んでるね」

「ここに立ってるってことは、そういうことでしょ!」


 跳ね返される銀月、少年とキルシュブリューテの間の距離は10メートルも離れていない。

 彼女はすぐさま、銀月を再び打ち出す。今度はさらに小型の、直径が50センチメートルにも満たない大きさだ。


「……?」


 少年の表情が、強い疑念を帯びる――不可解な行動に見えたことだろう。


「レグフレッジ!!」


 そこに、グリゼルダ・ジーべと裁きの名を持つ霊剣(レグフレッジ)が加わる。

 黒髪の少女が放り投げた霊剣は、キルシュブリューテの直上で変形し、直径3メートルほどのリングになった。


(よわい)重ねて新月へ!」


 発射された“銀月”はリングの内側を通過し、瞬時に数万倍の直径に膨れ上がる。


「――――!」


 恐らくその姿も、始原者メトの端末の一つに過ぎまい。

 それでも至近距離で急激に巨大化した“銀月”は、先に打ち出された小さな“銀月”を受け止めたままの少年を、もろともに飲み込み消滅――ここまで一方的に大きさが違えば、金色の“毀月(きげつ)”である必要はなかった――させる。

 そして同時に、“銀月”はそのまま上方へと飛んで行った。

 グリゼルダと裁きの名を持つ霊剣(レグフレッジ)が、今は亡きグリュク・カダンと意思の名を持つ霊剣(ミルフィストラッセ)と共に、軌道レンズを破壊した時と同じ要領。

 白い靄に慎まれた漆黒の光、始原者の制御中枢は、次の瞬間全てが“幟る銀月”の恐るべき作用で魔力線へと分解され、消失した。

 それよりさらに上部の構造をなおも分解・消滅させて、鋭い円錐状の傷跡を始原者に残し、“銀月”も与えられた威力を使い果たして消滅する。


「……終わった?」


 そう声を漏らしたグリゼルダが疲労感に姿勢を崩すと、アリシャフトが脇からそれを支えた。

 肩を借りつつゆっくりと、彼女は青い草花の揺れる足元に膝を突く。

 元の形状に戻ってからりと下に落ちた裁きの名を持つ霊剣(レグフレッジ)を拾い、鞘に納めた。


「ありがとう」


 構えは解かず、キルシュブリューテは実感に、わずかに震えていた。


「手応えあり……!」


 知り合って間もないとはいえ、道半ばにして消滅した戦友の、敵を討った。

 周囲には未だ、青い草花に包まれて翡翠色の羽毛が舞い飛ぶ状態だ。

 多数の探知系魔具で周辺を注視していたタルタスが、静かに呟く。


「第二段階、成功だ。

 念のため、局所予知は続行するが……」

『上部甲板、閉鎖します』


 アムノトリフォンの連絡と共に、蓋をするように再び甲板が展開し、彼らの頭上を閉鎖した。

 青い草花は船体の上半分をほぼ覆い尽くし、アリシャフトと抗う名を持つ霊剣(ヴェクテンシア)も翡翠色の羽毛を維持し続けていた。

 更に、船上で迎撃戦闘を続けていた聖女たちからも通信が入る。


『敵の動きが散発的になってきている。外の様子はどうか? 確認してみた方が良いかも知れない』


 始原者の制御が破壊され、連携・統制が取れなくなってきているということか。

 彼らが、将を討ち取られようと最後の一兵まで闘いぬく不屈の兵士のような性質を、持っていないとも限らないが。


『始原者メトの制御中枢は完全に消滅しています。他にそれらしき反応は検出できません。

 しかし――』

「まだまだ。どうせ予備とか隠してあるんでしょ?

 全部見つけ出して、全部壊す! 小さいのでよければあと2発は打てるけど、慎重に探そう」

『問題はそこです。始原者の制御中枢らしき反応が、予備も含めて検出できません。

 本来であれば、予備を含めた中枢を全て喪失したメトは敵による再生利用を妨害するために、船体全てを純鉄に変換してしまうはずなのですが……』

「純鉄? なぜわざわざ鉄に……」


 立てるようになったグリゼルダから肩を離したアリシャフトの質問に、天船は淀みなく応える。


永久魔法物質(ヴィジウム)のままでは、敵に奪われた後でそのまま資源として使われてしまいやすい。

 鉄は宇宙で最も安定している元素の一つなので、船体全てをこれに変換してしまえば、多少は相手に苦労を強いることが出来るという具合です』

「あれ、でもドリハルトのエメトは?」

『そうです。エメトであろうとメトであろうと、本来その戦略は同じなのですが……』


 キルシュブリューテの問いに、アムノトリフォンが珍しく、言葉を選ぶかのような間を見せた。


『この惑星の海洋に落着したエメトは短時間で全ての制御中枢を破壊され、船体のほとんどが高純度の永久魔法物質(ヴィジウム)のまま残ってしまいました。

 私は当初、メトはそれを奪うため、ドリハルトを目指すものだと思っていたのです。

 しかし恐らくは、エメトの船体は予備の資源として温存し、エネルギー資源には降着地点の通常物質を使うことにしたのでしょう』


 それに答えて、キルシュブリューテは推測を口にする。


「じゃあ、制御中枢を先に壊されたメトも、もしかしたらこのまま巨大な永久魔法物質(ヴィジウム)資源になって利用できる可能性もあるってことね。

 ……また国境にいざこざの元が残ったなぁ……」

(ひとまず、我々は次の制御中枢が発見されるまでは休んでいて良いということかな?

 予知粒子を放出しているタルタス王子と、その補助のアリシャフトは続けてもらう必要があるかも知れないが)


 変形を解除し、元の長剣の形態に戻りながら輝ける勝利の(オリア)名を持つ霊剣(フィアマ)

 その会話に、船長であるセオが加わった。


『アムノトリフォン。まずは万全を尽くして探査を続行する。

 最悪の場合は、何年かかろうともこの始原者の器を全て破壊するぞ』

『望むところです』

『トラティンシカ、迎撃を続行しつつ下降だ。下の方にも逃げた予備の中枢があるかも知れん』

『了解いたしました。微速、下降――』


 その刹那、乗船している全員の感覚に、数秒後の凶事の予兆が閃いた――“局所予知”の効果だ。

 天船も自動防御を発動し、船体表面に魔法物質の障壁が展開、更に一次装甲が群相転移して持続時間を犠牲に、飛躍的に結合強度を高めた。

 そして、全長約400メートルのアムノトリフォンの船体は、船体のほぼ中央から前後に大きく断ち割られた。


『――――!!』


 下方から音速の300倍で飛来した、刃渡り数百メートルの紙より薄い刃。

 想定されていないあらゆる系統の断絶とともに一瞬にして推力が失われ、船体は暗闇の中を落下し始める。


「え、な、何ですの!? 推力が……!?」


 落下速度は急激に高まる。

状況を把握すれば誰もが絶望するような、重力と質量の(くびき)

霊剣使いたちは空を飛べても、天船の内部にいる者達は無事では済まない。

 霊剣使いたちや天船は、同じ思いに至っていた。

 もう、敗れるわけにはいかないのだと。


「去りにし日々の形へ!」


 キルシュブリューテが念動力場を行使して、二つに割られた巨大な天船の質量を保持し、接合しようとする。


綴糸(てっし)よ!」


 異変を把握した聖女たちも秘蹟でそれに協力し、1000メートルを落下する14秒あまりの間に、緻密に合成された念動力場が分断された前後の船体同士の断面を貼りあわせた。

 本来であれば10名分に満たない念動力場では全く足りないところだが、アリシャフトが維持し続けている翡翠の色の羽毛による魔法術の強化があった。

 そこにアダが、“自由変形”を行使する。


(復活せし名の元に!)

「天船よ、元の形状に、なぁれっ!」


 あくまで一時的な処置だが、前部に右手、後部に左手の復活せし名を持つ霊剣(エスティエクセラス)を差し込むことで、天船の断面が時間を巻き戻したかのように修復される。

 天船の側からの積極的な協力があってこその芸当だ。


『船体の一時的な復元を確認!

 擬似(ぎじ)船殻(せんかく)縮退(しゅくたい)を行います!』


 天船が急激に己の質量を“擬似的に”小さくし、落下の衝撃を弱めようとする。

 そこで更にキルシュブリューテたちの念動力場が変形し、船体剛性が復活し、擬似的にゼロに近くなっていた天船の落下速度を弱めた。

 天船とトラティンシカも推進系の復旧に気づいて、急いで下方に推進力を向ける。


『き、緊急制動!』


 推進場生成(エンジン)単位格子(グリッド)を全力で作動させ、落下で開放された運動エネルギーを相殺する。

 タルタスと道標の名を持つ霊剣(パノーヴニク)の粒子の作用で、一行は何とかその措置が成功し、天船を軟着陸させることが出来ると知って安堵した。

 擬似船殻縮退の作用で、見た目よりも遥かに小さく軽い音を立てて、天船が不時着する。


『降着による被害は軽微。自動修復を作動しつつ、接触防御。緊急上昇を行います』

『擬似船殻縮退、解除!』


 擬似船殻縮退の代償として、質量を自然法則の目からごまかした分、その反動で質量が擬似的に増加してしまうというものがあった。

 前回回避に使用した時と違い、数十秒間もの間それを行使した結果、アムノトリフォンの質量は擬似的とはいえ数倍のものになっている。

 低い地鳴りのような音を立て、船体は落着地点に数メートルほど沈み込んで、ようやく止まる。

 そこは、妖星渦動砲の絶大な輻射熱で穿たれた貫通創の底の部分だった。

 前回の突入時、始原者と船体を接触していたためか、恐らくは電子性病原体(ウイルス)を送り込まれて切り札が使用不能となっている。

 天船は、断ち割られた船体の応急処置をしているアダの後を引き継いで自己修復を初め、更に電子戦防御を最大化して、急いで浮き上がろうとした。

 だが、自然法則の監視を欺いた対価ですぐには上昇できない。

 それどころか上空からの巨大な衝撃に打ちのめされ、再び底面に叩きつけられた。


「う――!? な、何ですの!?」

『上部甲板大破――これは……!?』


 平面だった甲板は、激しい衝撃によってひしゃげ、割られていた。

 その中心に佇み、恐らくはその破壊を引き起こしたであろう者の姿を見て、全員が戦慄した。

 永久魔法物質(ヴィジウム)で構成された様々な機器が溶融し、未だ赤熱したままわだかまっているそこは、神の自称者の腹の中でありながら、まるで地獄のように見える。

 そして、そんな地獄の底に天船は叩き落とされ、更にそのひしゃげ果てた甲板の上には、啓蒙者の少年の形をしたものがいた。

 衝撃で転倒したグリゼルダは、受け身をとってもなお痛む腰をさすりながら呻く。


「やっぱり……いくらでも代わりがいるのか……!」

(どこかにまだ、中枢機能が残っているということだろうね)


 航法装置の記録によれば、現在は海抜高度およそ130キロメートル。

 気圧は地上の1/1000以下でしかないほぼ真空だというのに、彼は声を発した。


「生きたいと願う必死の戦いに敬意を表して、君たちがどこまで力強く戦ったかということを伝える」

「…………?」


 船外活動服やアムノトリフォンの機能を介さず、その声は伝わってきた。

 念話とも、やや違う。

 だがその違和感よりも全員が、その口から突然出た内容の意味を掴みかねていた。


「君たちは始原者メトにとどめを刺した。間違いなく、その本質を仕留め、殺した。

 ただ、メトは既に後継者を残していた。

 自分を殺すほどの力を持つ文明に対抗するために、より進化した後継者を」


 思い当たるところがあったのか、甲板に生じた大きな亀裂から外に出たアリシャフトが尋ねる。


「君はもしかして、エンクヴァルの地下にいた……?

 グリュクさんが何か話そうとしてた、下級司祭の」

「君たちによる、予想外の強い攻撃に際して、メトは新たな分体を完成させたんだ。

 聖核を元にしつつ、既存のものとは違う中枢を。

 僕は君たちがメトの本来の中枢を破壊したことで目覚めた、新たな中枢だ。

 君たちの戦いに敬意を評して、この事実を伝える」


 少年がそこまで語ったところで、彼らは動いた。

 破壊された甲板に向かって、今度こそ始原者を殺すために。

 それが本当の本体とは限らないが、それでも。


「強襲する十臂(じっぴ)よ!」


 タルタスが、全ての複腕に握った魔具を攻撃用の魔具剣に持ち替え、魔弾や熱線を見舞った直後に腕ごと全ての剣を射出する。

 深海の色の籠手が12基、剣を握ったまま飛行し殺到、半数が命中するが、しかし全て弾かれた。


「斉射、()!」


 それに怯まず聖女たちは火器を構え、小柄な啓蒙者の少年の姿をした始原者を狙い撃つ。

 弾着によって弾体の破片や周囲の魔法物質が飛び散るが、この高度には大気がほとんど無いため爆炎や噴煙などは発生しない。


「広く碧き海へ!」


 キルシュブリューテが魔法術を行使し、一行と少年との間に広範囲に魔法物質の液体を大量に生成した。

 液体は即座に気化しつつ、少年の加速と視界を封じる。この程度の目眩ましが通用するのかどうかはわからないし、実際に加速を行使したところはまだ見せていない。だが、出来るのだとしたら封じておくべきだ。


「我が歩は全ての先に!」

「天に足――地に指!」


 グリゼルダとヤクネが複合加速を使ってそこに飛び出し、前者は裁きの名を持つ霊剣(レグフレッジ)、後者は妖術で強化された妖樹の木剣の二刀流で斬りかかった。

 先端が音速を超える霊峰(ドリハルト)結晶(ヴィジウム)の刃が、啓蒙者の体を捉える。


「ッ!?」


 しかしそれは、切れるどころか微動だにしなかった。

 今までどのような材質であろうと、念動力場であろうと切り裂いてきた霊剣の刃を、障壁や挟み込みで受け止めることもなく、素肌で止められた。

 いかに速度と膂力で魔女に数十倍しようかというヤクネであっても、切れ味に関しては言うまでもない木剣では、論外だった。


「!」


 しかし二人はそれ以上踏みとどまることはせず、次の攻撃の気配を悟って同時に飛び退く。

 次の瞬間には轟音と共に、タルタスが二振りの巨人の剣で放った念動力場と魔法物質の中間体による大規模な砲撃が少年を捉え、空間衝撃波が周囲を揺さぶった。

 結果は、タルタスを驚愕させる。


「耐える……!?」


 その外観は、あくまで一人の啓蒙者にすぎない。

 真昼の太陽のような白い髪、猛禽のような色をした小さな翼。

 啓蒙者の民族衣装を着た、未だ幼さが色濃く残る少年。

 それが、たった今しがたの火力と技の集中の直撃を間違いなく受けておきながら、無傷。

 周囲には翡翠色の羽毛が未だ漂い続け、魔法術は効果が増強されているにもかかわらず。


「く……!」


 キルシュブリューテが、直径10メートルほどの“(のぼ)る銀月”を生成し、打ち出した。

 翡翠の色の羽毛の効果を受けた、中規模の大きさ。

 だが、彼は指先一つを動かすこともなくその直撃を受ける。

 直後、怜悧(れいり)で小さな天体は急速に縮み、消失した。


「――――!?」


 打ち返される前提で隙を作ろうとしていたのか、既に黄金の“(あがな)毀月(きげつ)”を生成していたキルシュブリューテは、戦慄した。

 今度は、前回、前々回のように受け止めるような素振りすら見せていない。

 小規模とはいえ、既に“月”を4発生成しており、切り札は打ち止めだった。


「っ――事象の地平へ!!!」


 せめてもの目眩ましに、そのまま黄金の月を放ち、複合加速を行使してその横合いへ回りこむ。

 一度は離れたグリゼルダとヤクネも再び疾走し、三方からの同時攻撃。

 グリゼルダとキルシュブリューテに至っては、少年の体を貫通して味方まで刺し貫いてしまう危険も厭わず、加速の乗った全力の刺突を放っていた。

 しかしその全てが、少年の体の薄皮を剥ぐことすら出来ず、表面で停止させられている。

 霊剣たちも、瞼があれば驚愕に見開いていたはずだ。


(何と……!)

(もう装甲とか障壁っていう次元じゃないな……!)


 少年の形状をしたそれが、彼女たちの放った刃をゆっくりと、手で押しのける。

 霊剣の戦士であるグリゼルダとキルシュブリューテ、そして千年を超える時間を生きてきたヤクネの目にも、それは瑞々しく若い、弾力のありそうな肌としか見えなかった。

 それがいとも無造作に、指の腹に刃筋を立てたまま、計り知れない力で押し返してみせたのだ。

 彼は、そのまま一歩進む。

 直感的に、見かけどおりのそれではない重量を感じ取り、彼女たちは再び跳躍し、構えを解かぬまま離れた。

 啓蒙者の少年は周囲に展開した彼女たちをゆっくりと見渡しつつ、告げた。


「君たちの攻撃は全て効果を発揮した。

 ただ、今の僕は質量が違いすぎる。この脱出艇に解析させてみてもいい」


 その声を捉えていた操船指揮室で、セオとトラティンシカは天船から恐るべき結果を聞いた。


『この啓蒙者の少年の形をした物体は、推定でおよそ530万トンの質量があります……

 レグフレッジの支援効果を受けていない状態の銀月では、単純に質量が大きすぎて分解できなかったものと推測します』

「……ごひゃく……!?」

『アムノトリフォン級中核艦が約15万トン、トリノアイヴェクス級駆逐艦が約400万トンになります。

 太陽より遥かに巨大な恒星がその一生の最後の到達するとされる超高密度の矮星形態と、近い密度です』

「あの大きさで、合体天船(トリノアイヴェクス)よりも重いというのか……」


 信じられないという面持ちで問うセオに、アムノトリフォンの制御人格は答える。


『これまでのエメトの戦いの記録にはない、メトの新たな形態です。

 あれが宇宙に解き放たれれば、拡散派の――』


 そこで、天船の言葉が途切れた。


「どうしたアムノトリフォン……なぜ途中で黙る!」


 尋ねるセオに始原者が、操船指揮室の方を見上げて呟く。


「悪いけれど、君たちの船は殺した。あとは、損失を埋め合わせるための資源になってもらう」

「――!!!」


 トラティンシカは、夫の姿を見た。

 始原者の言葉を聞いた直後、激高し、操船指揮室の装甲を破って飛び出す彼の姿を。

 彼女が殺されれば同じ表情を見せてくれるだろうか、などという、あまりに状況をわきまえない思考をしてしまっていたことに気づいた時には、セオは魔具の武器を破壊され、総船指揮室に弾き飛ばされてきていた。


「ぐ……うっ……!」

「セオさま……!?」

「交感運動加速!」

「狂乱する音界よ!」

「星弓の世界を駆けよ!」


 その直後の隙を狙い、加速したアダとタルタス、そして太陽の名を持つ霊剣(ウィルカ)が三方から同時に仕掛ける。

 重量90キログラムの亜音速の擬人体が、霊剣を含めた11の刃による時間差の刺突が、妖魔領域最強の英雄と同じ経験・戦闘力を持つ肉体による必殺の一撃が。

 ことごとく命中し、なんら効果を見せず弾き飛ばされる。

 そして一瞬の閃光と、鼓膜をなぶるような甲高い金属音と共に、アダの両腕に展開していた復活せし名を持つ霊剣(エスティエクセラス)、タルタスの道標の名を持つ霊剣(パノーヴニク)に多数の魔具剣、深海の色の鎧(カテナ・デストルエレ)、そして太陽の名を持つ霊剣(ウィルカ)の本体が全て、砕かれた。

 太陽の名を持つ霊剣(ウィルカ)が維持していたフォレル・ヴェゲナ・ルフレートと相同の肉体も、本体を破壊されたことで黒い灰になって崩れ落ちる。


「始原者、覚悟!!」


 キルシュブリューテが相棒と共に決死の突撃を仕掛け、それを陽動としてグリゼルダが、更にそれを囮にする形でアリシャフトが、それぞれ口腔と眼球を狙って仕掛ける。

 攻撃は全て直撃し、全てが少年を傷つけることさえ出来ない。

 輝ける勝利の(オリア)名を持つ霊剣(フィアマ)は翼、裁きの名を持つ霊剣(レグフレッジ)は唇、抗う名を持つ霊剣(ヴェクテンシア)は眼球と瞼の間でもって、完全に止められていた。

 森羅万象を切り裂く霊剣の刃が、霊剣でない存在によって。

 輝ける勝利の(オリア)名を持つ霊剣(フィアマ)が、驚愕して叫ぶ。


(有り得ない!? 本当に物質なのか!!)


 そして少年が無造作に手を振ると同時、全ての霊剣が砕け散る。


「――――!!」


 恐らく、今のこの少年の体は、骨格や表皮どころか内臓や舌、眼球までもが超重密度の物質で出来ているのだろう。

 目にも留まらぬ速さで疾駆する、身長1.6メートル、体重530万トンの暴威。

 妖星渦動砲の解放直前、タルタスの精霊万華鏡の中で圧縮されていたものよりも更に密で、重い。

 そのような物質が通常の空間に、啓蒙者の少年の形状を保って、足元を破壊することもなく存在できているということ自体が、想像を絶する事だった。

 命だけは奪われず、しかし、威力の武器も、名工の鎧も、霊剣も、全てが砕かれた。

 青く光る草花も、翡翠色にきらめく羽毛の群れも消え失せた。

 妖星渦動砲の傷跡に残った高熱も、始原者が再生を始めたらしく、既に赤みを帯びた熱輻射は収まりつつあった。

 アムノトリフォンが全ての機能を停止した今、多国間特務戦隊(フォンディーナ)を照らす光は無い。

 グリゼルダの瞳に、始原者の少年が創りだした秘蹟の光明の輝きが映る。

 しかし、もはや彼女には、手足や舌に込めるような力も、勇気も、残ってはいなかった。

 彼女だけではない。戦う力を保っていたはずの全員が、徹底した優しい蹂躙を受けて、戦意を喪失している。

 その姿に心底から罪悪感を覚えているとでも言うのか、少年は先日に続いて再び、真摯な声で陳謝した。


「君たちの戦いを敬い、称える。

 そして、侮っていたことを謝罪する。

 今まで僕たちが滅ぼしてきた無数の文明たちと同様に、君たちは勇敢で、生命の本質を忘れなかった。

 僕も……忘れない。

 陽子が崩壊して、宇宙に意味のある物質が残らなくなる日まで、ずっと」


 少年はそう言い残して、始原者の体内の上方――暗闇の虚空へと飛び立っていった。











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