表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モノクロームの夢の中から  作者: 彩霞
1章 白枝亭での毎日
96/130

95 朝寝坊

ドンドンドン。

何か鈍い音が聞える…


「ミア、まだ寝てるの?」


…あう?

マリーさんの声だ…

うー……う?

!!

もしかして寝過した?!


「は、はひ、起きました!」


慌てて飛び起きて、鍵を外す。

扉を開けると、マリーさんが立ってた…


「ごめんなさい…」

「大丈夫?疲れてるんじゃない?」

「だいじょぶです、着替えてすぐ降ります。」


マリーさんはあたしの顔をじーっと見てたけど、うん、とうなずいて頭をくしゃっとなでてくれた。


「それじゃ、下で待ってるわね。」

「はい。」


できるだけ早く着替えなきゃ。

髪もまとめないと。

むー…寝坊なんてしたことなかったのに…

…そいえば何か夢を見てた気もするけど、思い出せないや。

なんて、ボーっと考えてる場合じゃないよね。

とにかく大急ぎで用意して食堂に行かなきゃ!

あ、でも廊下は静かに歩かないと、まだお客様はお休み中かもしれないもんね。


「ごめんなさい、おまたせです。」

「大丈夫よ…あ、ミアちょっとこっちに来て。」


テーブルも拭いてくれてるマリーさんが、イスを1つ引いてあたしを呼んだ。

座ったらいいのかな?

マリーさんの方を向いてイスに座ったら、マリーさんは後ろに回っちゃった。


「ちょっと髪をほどくわね。

 いくら急いでも、ちょっとぼさぼさになりすぎよ。

 女の子なんだからね。」

「はう…」


マリーさんは髪を結うのが得意なんだよね。

あたしが自分でやるよりもずっと早いの。

今も手早くほどいて結い直してくれた。


「はい、これで大丈夫。

 こっちはわたしがやっておくから、クルトの方を手伝ってね。」

「ありがとです。

 じゃ、いってきますー。」


厨房に入ると、クルトさんが忙しそうに動いてる。

仕込みから手伝うって言ったのにできなかった…


「クルトさん、ごめんなさい。」

「おはよう、ミア。

 調子はわるくないかい?」

「あ、だいじょぶです。」

「ならよかった。

 それじゃ準備頼むよ。」


マリーさんもクルトさんも優しい…けど、そこに甘えてちゃダメだよね。

もう寝坊なんてしないようにがんばらなきゃ。

とにかく、今からしっかりお手伝いして、出遅れた分を取り返そー!






朝の食堂も無事終わって、今度は自分たちのご飯を準備する。

だいたいそろったところで、いつものようにあたしがマリーさんに伝えに行こうと思ったんだけど。


「ミア、盛り付けをまかせていいかな?

 マリーには私が声を掛けてくるから。」

「はひ?わかりました。」


スープをよそって、パンをそえて並べとく。

ちょっと待ってると、マリーさんだけが来た。


「はれ?クルトさんに会わなかった?」

「クルトはちょっと用事。

 先にわたしたちだけすませてしまいましょう。」


そんなわけで、マリーさんと2人でご飯を食べ始める。

食べながらマリーさんがあたしにいろいろ聞いてきた。


「ミア、どこか具合がおかしくなったりはしてない?」

「ん…だいじょぶだと思う。」

「疲れてたりとか…」

「全然平気だよ。」

「そう?それならいいんだけど…」


あたしが寝坊しちゃったから、体調が悪いんじゃないかって思われてるのかな?

でも、別にいつも通りで、疲れてないし、だいじょぶなんだけど。


「寝坊はしちゃったけど、たぶん何ともないよ。

 いつも通り元気だよ?」

「そう…

 実は昨日の件が引っかかってるのよ。」


昨日…っていうと、あれだよね。

[揺らめく赤フレアレッド]…

ちょっとびっくりしたけど、ちゃんとレイアさんに引き継げたから問題ないと思うんだけど…


「触っただけであんなに反応するなんて思わなかったし、何かミアに反動みたいなものがあったら困るでしょ。」

「反動?」

「そうね…たとえば魔法を使うと、マナを消費するのよね?」

「うん、体の中から抜けてくみたいに感じるよ。」

「強い魔法ほど、たくさんのマナを使うでしょ。

 それと同じように、強い力を行使するには何か代償が必要になったり、反動があったりするみたいなの。

 だから、もし今回のことでミアに何かそういったことが起こってたら、って思ったら心配になってね。」


そっか、それでずっと気にしてくれてたんだ…

でも、昨日もマナを使った感じじゃなかったし、何か影響を受けた感じもなかったもんね。


「マリーさん、ありがとです。

 でもあたし、たぶんだいじょぶ。」

「ええ、わかったわ。

 でももし何か変なことがあったり、気になったりしたらすぐ知らせてね?」

「うんっ!」


お話が終わったところで、ちょうどクルトさんも戻ってきた。

マリーさんを見てなんかうなずいてるけど…


「さて、しっかり食べて、この後もがんばらないとな。

 ミア、部屋の掃除とか片付けが終わったら、お昼の仕込み、頼むよ。」

「はう…今度は寝坊することないから、ちゃんとやるね。」

「そうだね、それじゃ期待させてもらおうかな?」


ひう…ちょっとプレッシャー…でもだいじょぶだよね。

ちゃんと練習してきたんだから!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ