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モノクロームの夢の中から  作者: 彩霞
1章 白枝亭での毎日
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92 相談のお願い

夜の食堂も少し落ち着いてきたところで、エステルさんたちに食事を持っていくことにしたんだけど、今日はちょっと忙しいから、マリーさんは食堂にいてもらって、あたしだけで運ぶことになった。

もちろん1回じゃ無理だから、何度か往復しなきゃいけないけど。

扉をノックして声をかける。


「お食事をお持ちしました。」

「ああ、すぐ開ける。

 ちょっと待ってくれ。」


扉はすぐに開いて、クレメンテさんが出てきてくれた。

そのとき、隣りの部屋の扉も開いてエステルさんが顔を出す。


「ミアさん、ありが…」

「あーーー!何でクレムたちが先なのよっ!

 わたしもお腹すいたーーー!」


…びっくりした、すっごくおっきな声なんだもん。

クレメンテさんも苦笑いしてるし。


「ではエステルたちに先に渡してください。」

「はい。」

「やった、クレムありがとー。」


エステルさんは、あたしが持ってきたトレーをその場で受け取って部屋に戻ってく。

よっぽどお腹すいてたのかな…


「ミアさん、僕も運ぶのを手伝いますよ。」

「え、でも…お客様にそんなこと…」

「夕方、鍛冶屋さんにお付き合いいただいたお礼もありますからね。

 ぜひ手伝わせてください。」


結局、クレメンテさんが折れてくれなかったから、お手伝いしてもらうことになった。

残り3つだったから、クレメンテさんが2つ持ってくれて、あたしは1つだけ…いいのかな…

とにかくお部屋まで運んでく。


「またエステルの我儘か?」

「いつものことですけどね。

 ところで隊長、今頼んでおいてはどうですか?」

「ああ、そうだな。

 ミアさん、今晩、少し女将さんに話を伺いたいんだが、時間をつくってもらえないか聞いてもらえないかな?」

「はい、わかりました。

 片付けのときにお返事できるように聞いておきますね。」

「よろしく頼む。」


マリーさんにお話って何だろう?

忘れないうちに伝えなきゃ…






食堂もお客様がほとんど帰ったから、エステルさんたちの食器を片付けにいくことになった。

マリーさんはまだ残ってるお客様がいるから、あたし1人で上る。

そうそう、フィランダーさんに返事もしなきゃいけないよね。

扉をノックして声を掛けると、するとすぐに返事があった。


「すまないね、食器は奥にまとめてある。

 クレム、エステルに言ってきてくれ。」

「わかりました。」


声を掛けられたクレメンテさんが、部屋を出て行った。

エステルさんも何か用事かな?


「それで、女将さんは…」

「はい、ちょっとならだいじょぶって行ってました。」

「そうか、それではいつでもいいので時間をつくってもらえたら、声を掛けてもらえるように伝えてほしい。」

「わかりました。

 それじゃ食器を運びますね。」


奥のテーブルに乗ってる食器(きっちり重ねてもらえてた)を持って部屋の外に出ると、なぜか食器を持ったエステルさんが…

何かふくれてる…?


「あの…ありがとうございます。

 あたしの持ってるのに重ねてもらえますか?」

「…いいの、ミアちゃんのお手伝いするんから!」


ひぅ…何か怖い…

隣でクレメンテさんが口を押さえて笑うのをガマンしてるけど…

何か詳しく聞くのも怖いし、お願いしちゃっていい…のかな…?


結局、エステルさんと一緒に食器を運ぶことになった。

降りてきたときには、お客様はみんな帰っちゃった後みたい。


「マリーさん、伝えておいたよ。

 時間がつくれたら声を掛けてほしいって。」

「ええ、わかったわ。

 ところで…」


マリーさんの視線の先には食器を持ったエステルさん。

さっきみたいにふくれてはいないけど…


「すみません、わたしが運ばせてほしいって言ったんです。」

「そうですか…どうもありがとう。」

「いえ、いいんです。

 ミアちゃん、どこに運べばいいの?」

「あとはあたしがやります。

 エステルさんありがとです。」


エステルさんは返事を聞くとちょっと嬉しそうになって、そのあと降りてきた階段をチラッと見た。

上を気にしてるみたい。

そのあとちょっと考えて、テーブルに持ってた食器を置いた。


「ミアちゃんありがと!

 ごめんね、それじゃお願い。」

「はひ?こちらこそありがとです。」


エステルさんは両手を合わせてウインクして、そのまま小走りに階段を上がっていった。

もしかしてクレメンテさんにさせられたのかな…

エステルさんが置いていった食器も一緒に持って厨房に向かう。

先にテーブルの方を片付けちゃうために、布巾をしぼって食堂に戻る。

さ、片付け片付け!


片付けも終わって、いつもならお茶するところだけど、今日はフィランダーさんがお話したいっていってたから、そっちだよね。


「ミア、それじゃ呼んできてもらえる?」

「はーい。」


2階に上がって、フィランダーさんのお部屋の扉をノックする。

返事が返ってくるかなって思ってたらそのまま扉が開いて、ちょっとびっくりした。


「何度もすまないな。

 時間をつくってもらえたのだろうか?」

「はい、食堂の方に降りてもらえますか?」

「ああ、もちろんだ。

 少し待ってくれ。」


そういうとフィランダーさんは隣の部屋をノックした。

レイアさんの声かな?

返事が返ってきてすぐに扉が開いた。

顔を出したのはレイアさん。


「レイア、あれを持ってきてくれ。」

「はい、隊長。」


あれ、って何だろう?

ちょっと待ってたらレイアさんが布に包まれた長い棒みたいなものを持って出てきた。


「お待たせしました。

 ミアちゃん、お願いします。」

「えと、食堂です。

 どうぞ。」


お話に来るのはフィランダーさんとレイアさんの2人だけみたいだね。

いったい何のお話なのかな…あの包みが気になるけど…





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