8 魔法
「ユーリさん、こんにちはー。」
今日は、ちょっと休憩をもらって、報告も兼ねてユーリさんの所にお邪魔しにきた。
んだけど…そこには先客がいた。
「あ、お客様、ごめんなさい。」
「あら、ミアちゃん、どうぞー。」
「い、いいの?お客様が…」
「いいのいいの。ね、先生?」
先生と呼ばれたその人は、クルトさんと同じくらいの年齢の男の人だった。
「構いませんよ。僕だっていらっしゃったお嬢さんと同じようなものですから。」
「ふぇ?」
「この方はあたしの魔法の先生よ。先生、この子は白枝亭で働いてるミアちゃん。」
「なるほど、はじめまして。ゼルマルと申します。」
と立ち上がってお辞儀してくれた。
こんなあいさつされたことがなかったのでちょっとびっくり。
「はぅ、あ…み、ミアです。よろしくお願いしますです。」
慌てて返事をしたけど、噛んじゃった…
「ふふっ、ミアちゃん緊張しすぎよ~?」
「えええっ、でもでも…」
「あんまり硬くなられると先生も困っちゃうわ。」
「あぅ…スミマセン…」
「こらこら、あんまり困らせてはいけませんよ、ユーリエくん。ま、でもミアさんもあまり気負わずにお付き合いくださいね。」
あたしが縮こまったのを見てか、先生ことゼルマルさんが助け船を出してくれた。
よかった、優しそうな人で…
「あの…何てお呼びすればよいですか?」
「ゼルでも先生でも、好きなように呼んでくださって結構ですよ。」
「ゼル…先生……はい、ゼル先生。」
何となくくっつけちゃった。いいよね。笑顔でうなずいてくれたし。
そういえば、魔法の先生…っていってたけど…
「もしかして、ユーリさん魔法使えるの?」
「あれ、言ってなかったっけ?使えるわよ。青色だけだけどね。」
「青色だけ?」
「ミアちゃん、魔法のことあんまり知らない?」
「うん…」
「白枝亭なら魔法士も来るんじゃないの?」
と不思議そうに尋ね返されたんだけど、宿で魔法使ってる人なんか見たことないんだよね。
「まぁ、冒険中でもないと冒険者が魔法を使うことも少ないでしょう。」
「そっか。さすが先生。何でもお見通しね。」
「それはあなたの先生ですから。」
「何か引っ掛かるわね…。」
言葉だけ聞いてると何だか怖いけど、2人とも笑ってるから大丈夫だよね…?
「ところで、ミアさん。魔法に興味があるのですか?」
「えと、あんまり良くわかんないです。ユーリさんが魔法使いだったのもびっくりだし…」
「ふむ。ユーリエくんも魔法は使えるが、いわゆる魔法士ではないのです。魔法の素質を持つ人は割といるのですが、1色のみの素質という方も少なくありません。もちろん、素質があればそれなりに魔法を行使することはできますが、2色以上を使いこなせて初めて魔法士と呼ばれるのですよ。ま、白色だけは別ですが。」
「ちなみに、先生は緑色と青色の2色が使えるから魔法士なのよ。」
ふーみゅ…ゼル先生もすごいけど、ユーリさんもすごいんだぁ…
「ところでミアちゃん、何か用事があったんじゃないの?ご注文?」
「あ、そうだった。びっくりして忘れるとこだったよー。」
「なるほど、それでは私はこのあたりでお暇させていただきますよ。お茶、ごちそうさまでした。」
「あ、先生ごめんね。また来てね。」
「さ、さよならです。」
笑顔で手を振るユーリさんと、あたしに軽く会釈してゼア先生は帰って行った。
「それで、今日は何のご注文かな?」
「えと、注文はないんだけど…マリーさんとクルトさんがいいって言ってくれたの!」
「ん、そっか。それじゃ計画立てなきゃね。今は…休憩時間で出てきたのよね?」
「うん。だからあんまり時間がかかると困るかな…晩の準備も始まっちゃうし。」
「それじゃ今度、白枝亭に顔出すから、そのときに相談しましょ。」
「わーい、じゃ、お待ちしてますっ!」
とってもわくわく♪何だか大冒険(?)の予感がする…かも!
ちょっと説明っぽくなってしまいました…
少し訂正