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モノクロームの夢の中から  作者: 彩霞
1章 白枝亭での毎日
89/130

88 二度寝

そこはどこまでも真っ白な世界


ああ…またあの夢かって思ったんだけど


今日は少し違う…?




いつもなら周りを囲んでいるはずの影がいない…


そうやって周りを見渡して、また前を向いたときに


いつの間にか、目の前に誰かが…って言ってもいつも通りの人の影、が立っていた


相変わらず、目の前にいるようなんだけど、ずっと向こうにいるようにも感じる




そのとき、その影から、困ってるような、迷ってるような、そんな気持ちが伝わってくる


そしてあたしも、どうしてか懐かしい気持ちになった


『そ………追……たの……違……ったの………れぬ…だ………手遅………』


え…何て…もうちょっとはっきり言わなきゃ聞こえない


そういいたいのに声が出ない


不意に後ろから『にゃっ!』っていう声が聞こえる


その瞬間


世界が暗転し


体が落ちていくような感覚を…






「ほへ…?」


何だか涼しい風が…

真っ暗だったけど、ぼんやりと部屋の中が見えてくる…


あれ…窓が開いてる…?

おかしいな…寝る前に閉めたはずなんだけど…

最近は朝晩が涼しくなってきてるんだよね…

窓の外は…まだ暗い…

ちょっと早起きしすぎたのかな…


とにかく窓を閉めたほうがよさそう。

窓を閉めようと体を起こしたら、枕の辺りから何か黒いものが飛び降りた。

どうやって入ってきたんだろ?

少し目がさめちゃったから、頭もちょっとくらいははたらいてる。

だから、黒いものがネコくんなのもわかったんだけど、何でネコくんがあたしの部屋にいるかはよくからない。


「ネコくん、寝てるとこに入ってくるなんてダメだよ?」


声をかけると、ネコくんはふっと立ちあがってまたベッドにぴょんととび乗った。

そして、こっちを見てまた短くにゃっとないた。

そのままネコくんを抱き上げると、ふわっとしててあったかい。


「ふわふわー…もふもふー…ほかほかー…」


ネコくんのぬくもりで何だかまたちょっと眠くなってきたみたい…

まだ早いからちょっとくらい…いいよね…






…あれ、何で外にいるんだろ?


ここ…広場だよね?


だれも…いないのかな?


あたりを見渡しても何だかぼやっとしてる


とにかく白枝亭に帰らなきゃ


そう思って歩き出そうとしたとき


急に寒気を感じた


何か嫌な


とても嫌な感じがする


ここに向かって


何か大きな悪意をもったものが


たくさん近づいてきている気がする


『にゃーっ!』


ネコ…くん…?


いつの間にか足もとにネコくんがいた


あたしが気付いたのを確認したのか


前を向いてネコくんが走り出した


ついていこうと必死に走るけど


ふわふわしてうまく追いかけられない


どうしようって思ってたら


ネコくんが振り返って


あたしのところへ戻ってきた


そして


そのままジャンプして


あたしに飛びついてくる


ネコくんを受け止めた瞬間


真っ暗なような


まぶしいような


よくわからない状態になって


周りが見えなくなった


そしてあたしの手に何か固い感触が…






「にゃー」

「ふぁ?」


ネコくんを抱っこした状態で、ベッドに倒れてるあたし。

夢…かな?

また寝ちゃってたみたい。

腕をゆるめるとネコくんがとことこ歩いて、少し離れたとこに座った。

もしかして苦しかったかな…ごめんね。

頭をなでてあげると、気持ちよさそうに目を細める。


そのとき、またひゅっと涼しい風が入ってきた。

そっか、閉めてなかったっけ。

閉めなきゃって思ったとき、ネコくんがこっちを向いて座りなおした。

そして、お辞儀するみたいに頭をぴょこっと下げた。

そのしぐさがお礼をしているみたいで、思わずあたしも(座ったままだったけど)お辞儀を返しちゃった。

ネコくんは窓に向って歩きだして、一度こっちを振り返って、両目をパチッとつむってから、ぴょんと窓枠から出て行った。


それにしても、変な夢ばっかり…

前によく見てた夢は最近見てなかったけど、今日の夢はとびきり変だったよね。

もっと楽しい夢とかいっぱい見れたらいいのにな。


窓を見ると、今日も空は澄んでいる。

ちょっと涼しいけど、いい天気になりそう。

そろそろいつもの時間だから、準備しなきゃ。

窓を閉めて、服を着替える。

そういえばこの服もちょっと朝や晩は寒かったりするよね。

マリーさんに相談してみようかな。


よっし、準備完了。

2回も寝たのに、何だかいつもよりちょっと眠い気がするけど、今日も1日、がんばるぞっ!

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