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モノクロームの夢の中から  作者: 彩霞
1章 白枝亭での毎日
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86 温泉と湯浴み場と

「マリーさん、俺たちまた明日から依頼が入ったから。」

「あら、そうなの。

 今度はどんな依頼?」

「前にも頼まれたことがあるんだけど、ニーゼルまでの護衛だよ。

 湯治に行くっていうやつ。」

「そういえばそんな依頼も受けてたわね。」


お昼過ぎに出かけて行ったフェリックスさんが、夕方に戻ってきてマリーさんとそんな話をしてた。

フェリックスさんたちって結構有名みたいだから、ご指名の依頼もあるみたいなんだよね。

でも、ニーゼルって初めて聞いたけど、どんなとこだろ?

ちょっと聞いてみようかな。


「ニーゼルってどんなとこなんですか?」

「ん?ああ、一言でいえば農村だな。

 ちょっと山の方になるんだけど、タレイアにくる食料品なんかも、ニーゼルで作ってるものが結構多いんだぜ。」

「ふぇ、そなんだ。」

「あとは今回もそうだけど、温泉があるんだよ。

 俺たちの依頼主みたいに湯治に行く人がいるかな。」

「おんせん…?とうじ…?」


また知らないものが増えちゃった…

横で聞いてるマリーさんがくすくす笑ってる。


「もしかしたらミアも見たことあるのかもしれないけど、ここに来てからはそんなの見る機会ないだろうからわからないわよね。」

「あ、そうか。

 温泉っていうのは…大きな湯浴み場、でいいよな、マリーさん?」


湯浴み場っていうと、お湯をためたお風呂があるとこだよね。

タレイアには1つだけ公衆湯浴み場があるんだけど、行ったことないんだよね。

高級な宿とかは、専用の湯浴み場があるって聞いた気もするけど。


「まあ、間違ってるとは言わないけどね…あんたの説明はいつも大雑把すぎるわよ。」

「そういわれてもなぁ…」

「さて、温泉っていうのはね、泉みたいなものなんだけど、湧いてくるのがただのお水じゃなくて、お湯になってるのよ。」

「ほへ…すごい…」

「ニーゼル以外にもいくつかあるんだけど、場所によってお湯が違ってたりするらしいわ。

 たとえば海みたいにしょっぱいお湯が出てたりとか、白く濁ったお湯が出てたりとか、ぐつぐつ煮えてるくらいに熱かったり…とかね。」

「ぐつぐつ?!」


何か温泉って危ないんじゃないかな…

濁ってるとか、煮えてるとか…

そんなのに入るの?!


「熱すぎるのはちゃんと冷まして使うみたいだけどね。

 温泉のお湯は、普通に街の湯浴み場で使うお湯と違って、怪我や病気にいいっていわれてるのよ。

 その効果を目当てにして、遠くの温泉まで出かける人が結構いるのよ。」

「そなんだ…何か危ないところかなって思っちゃった。」

「ふふふ、大丈夫よ。

 それに、温泉によっては蒸し風呂があるところもあるわ。」


蒸し風呂は、タレイアにもいくつかあるんだよね。

うちの近くだと、パン屋さんと協力してやってるとこがある。

パン屋さんのかまどから出た熱を使うみたいだけど、あんまりくわしくは知らないや。

だって、蒸し風呂も行ったことないもん。

暑かったら川で水浴びしたりできたし、余ったお湯をもらって水で冷まして汗を流したり、体をふいたりすれば十分だし。


「依頼主の娘さんが、少し体が弱いみたいだから、前に行ったときにアリサがいてすごく助かったみたいなんだよ。

 だから、いつもの護衛とかより待遇が良くてさ…ちょっと断りづらいし。

 ま、護衛ついでに俺たちも骨休めできそうかなって。」

「そうね、アリサレベルの治療師ヒーラーで、娘さんなら女性の方がいいだろうし、そうなると下手に探すよりも、あんたたちとつながってる方が依頼者も楽なんでしょうね。

 出発は朝になるのかしら?」

「朝は朝だけど、朝食が済み次第、くらいかな。

 無理して急ぐような旅でもないから。」


いろいろ準備があるから、ってフェリックスさんは部屋に戻ってった。

温泉かあ…一度くらい行ってみてもいいかな…?

あ、でもその前に普通の湯浴み場とかに行かなきゃ、何が違うかわかんないよね。

そういえば、マリーさんってこれだけ詳しかったってことは温泉も行ったことあるんだよね。


「ねえねえ、マリーさん、温泉と街の湯浴み場って結構違うの?」

「そうね、お湯はきっと全然違うんじゃないかしら。

 街の湯浴み場は、川の水を引き込んで沸かしてるっていうから、普通のお湯だと思うわ。

 でも、温泉に浸かったらすぐけがや病気が治るわけじゃないから、何度も何度も通うとかじゃなければ、そんなに違いがないのかもしれないわね。」

「ふーん…」


温泉の近くに住んでる人なら、便利なのかなー。

タレイアの近くにも、温泉が出てきたりしたらいいのにな。

っと、そろそろ準備に入らなきゃね。

マリーさんに声をかけようと思ったら、先にマリーさんが思いついたように話し始めた。


「そういえば、ミアが来てから湯浴み場なんか行ってないわね。

 今度行ってみましょうか。」

「え…うん、行ってみたいー!」

「じゃあ、クルトにも話しておかなきゃね。

 今夜、相談してみましょう。」


んー、急展開だけどちょっと楽しみ。

どんなかなー…わくわくしちゃうな♪

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