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モノクロームの夢の中から  作者: 彩霞
1章 白枝亭での毎日
86/130

85 魔法士ギルドに行きました

「ここがー、魔法士ギルドですー。」

「ここ…?」

「そうですよー。

 それではー、入ってみましょうー。」


約束した通り、アリサさんに魔法士ギルドに連れてきてもらったんだけど、ギルドっていうからおっきな建物を想像してたんだけど、もしかしたらミルファム教会よりちっちゃいんじゃ…

ちょっとびっくりして固まってしまった。


「どうかしましたかー?」

「……ほへ…あの…思ったよりちっちゃい、かなって…」

「そうですかー、始めていらした方はー、みなさんそういいますよー。

 とにかくー、入ってみましょうー。」

「はひ…」


魔法士ギルドってあんまり人気ないのかな…

でも、冒険者の人たちも[水結晶ウォータークリスタル]とか買ったりするっていってたよね。

うーん、よくわかんないや。

とりあえずアリサさんについて、建物の扉をくぐる。


「…普通ですよね?」

「普通ですよー。」


中に入っても別に変わったところはないみたい。

大きなカウンターがあって、ギルドの人かな…が2人いた。

灯りも普通にランプがつってあって、魔法でつけてたりするわけじゃなさそう。

アリサさんはカウンターに座ってるお兄さんに話しかけた。


「こんにちはー。」

「アリサさん、こんにちは。

 そちらの方は?」

「白枝亭のー、ミアちゃんですー。」

「は、はじめまして。」


急にこっちに振られてちょっとおどおど…

座ってたお兄さんがあたしの方を見てる…


「なるほど、それで師匠の部屋ですか?」

「いいえー、ちょっとー、売り物をー、見せてもらおうかなとー、思いましてー。」

「珍しいですね。

 何が必要なんですか?」

「ごめんなさいー、買うわけではー、ないのですー。

 ミアちゃんにー、見せてあげたくてー…

「そういうことですか。

 まあ、アリサさんならいいですよ。」

「ありがとうございますー。

 とりあえず[魔結晶マジッククリスタル]をー、お願いしますー。」


お兄さんがカウンターの中から布の包みを4つ出す。

そしてそれぞれの包みから、白、青、黄、黒の水晶のかけらみたいなのを取り出して、カウンターにしかれたやわらかそうな布の上に並べてくれた。


「今ここにあるのはこれだけですね。

 説明は…なくても問題ありませんよね?」

「はいー。

 あー、でももしできましたらー、簡単にー、お願いできますかー?」

「お連れの方に、ですね。

 [魔結晶]とは、魔法士ソーサラーが石に魔法を込めてつくりだしています。

 込められる魔法は、各色のごく初歩のものだけになります。」


そういうとお兄さんは、1つずつ手にとって見せてくれる。

見た目はほんとに色つきの水晶っぽいんだよね。


「どれも、簡単なキーワードで起動できるのも共通ですね。

 キーワードは〈魔法語ルーンワード〉を用いますが、実際に魔法を使う場合と違って、意味を知らなくても使えるために、一般の方々にも簡単に使うことができるようになっています。」

「そうだー、[闇結晶ダーククリスタル]をー、試させてもらってもー、いいですかー?」

「ここで…ですか?」

「すぐにー、消しますからー。」


お兄さんは少し考えて、隅でお願いしますねっていってアリサさんに[闇結晶]を渡してくれた。

それをアリサさんはあたしにそのまま渡したから、お兄さんも少し驚いたみたいだけど、止められなかったからいいんだよね…?


「キーワードはー、〈闇よ〉だとー、思いますー。」

「は、はひ…〈闇よ〉!」


言われた通りのキーワードをとなえると、[闇結晶]を握った手から、暗闇が広がっていく。

そしてあっという間に辺りが暗くなって見えなくなっちゃった。


「ア、アリサさーん…」

「はいー、大丈夫ですよー。

 …《ライト》」


真っ暗な中でアリサさんが魔法を使う声が聞こえると、また周りが見えるようになった。

でも、《光》を使ったのに、光はどこにもない。


「あれ…アリサさん、《光》使いましたよね?」

「使いましたよー。

 ミアちゃんが使ったー、《ダークネス》とー、《光》はー、同じ場所でー、使われるとー、お互いにー、打ち消し合うのですよー。」


ほへ…そなんだ…

とりあえず、[闇結晶]を壊さないうちにお兄さんに返した。


「ありがとーございました。」

「どういたしまして。

 使った感じはどうでしたか?」

「真っ暗でした…

 これって何に使うんですか?」

「そうですね、もともと黒色魔法は我々には縁のないものなので、あまり使い方を考えることもありませんが、これに関しては光を嫌うものを扱うときに使ったりするそうですよ。」


ふーん…光を嫌うもの…そんなものがあるんだね。

ま、あたしがそんなものを扱うことはなさそうだけど。

もう一度お兄さんにお礼を言って、帰ろうとしたんだけど、そのとき奥の部屋から声が聞こえてきた。


「魔法生物研究室より緊急連絡。

 研究中の魔法生物が逃走、一時的に転送陣を封鎖します。

 研究棟にいるものは直ちに室長指示に従って行動してください。」


…何か大変なことになってない?!

恐る恐るアリサさんの方を振り向いたんだけど…アリサさんも、ギルドのお兄さんたちも、平然としてる…

だいじょぶなのかな…?


「あの…今のって…」

「あー…たまにこういうことがあるんですよ。

 まあ、心配しなくて大丈夫だと思います。」

「せっかくだからー、先生にもー、ご挨拶しようとー、思っていましたがー、今日はー、やめておきますねー。」

「はい、お疲れさまです。

 師匠にはアリサさんが来たこと、あとで伝えておきますよ。」

「よろしくお願いしますねー。」


結局そのままアリサさんと白枝亭に帰ったんだけど…魔法士ギルド…何かすごい…

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