表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モノクロームの夢の中から  作者: 彩霞
1章 白枝亭での毎日
82/130

81 マリーさんの昔話 その2

「さてと、前はどこまで話したかしら?」

「えっと…[無垢なる白イノセントホワイト]をマリーさんが持つことになったってとこだよ。」

「そうだったわね。

 それじゃ続きを話していきましょうか。」


今日はお昼にたくさんお手伝いをしたから、マリーさんの昔のお話の続きを聞かせてもらえることになった。

って言っても、ちょっとお客様が多かったからがんばれただけで、お話を聞かせてもらうことが目的じゃなかったんだけどね。


「まあ、お昼もがんばってたし、あまり長い時間になると明日に差し支えるかもしれないから、ある程度までね。」

「うん、お話が終わったらちゃんと休むよ。」

「あの剣をわたしが持つことに決めたのは、あとから聞いたんだけど、兄の提案で、みんなが賛成してくれたからなの。

 でもそのときはそんなことわからなかったんだけどね。

 その後も何度か洞窟や遺跡の探索、魔獣や魔物退治の依頼なんかを受けたわ。

 そして、その中でわたしはだんだん[無垢なる白]を使いこなせるようになっていったの。」


ふーん…きっと武器を使うって大変なんだね…

包丁だって、あんなに難しいもん。

あれ、でもそれまでは剣を使ってたんじゃないのかな?


「マリーさんは[無垢なる白]を使う前はどんな武器を使ってたの?」

「ん?前って…剣よ?

 [無垢なる白]よりも少し小振りな剣だったけどね。」

「ほへ…それでも使うのに練習がいるんだ…」

「あ、そういうことね。

 単に剣として使う分にはあまり問題はなかったのよ。」


剣として使うって…剣だよね?

どういうこと??


「剣としては、前に自分が使っていた剣よりも少し大きいけど、重さはむしろ軽かったわ。

 オリハルコンっていう金属でつくられた武器で、この金属でつくられたものは決して壊れないの。

 今の世界でこれを使って何かをつくることのできる人もきっといないわ。

 山と鍛冶の神様エルギノが自分でつくりだしたり、大昔のドワーフにつくり方を教えたみたいだけど、今は伝わっていないの。」

「ふぇ…じゃあ、すっごく珍しい武器なの?」

「まあ、そうなるわね。

 っと、少し逸れてしまったけど…もちろん剣として使う分には、男の人より非力なわたしでも使い易かったから、むしろ楽だったのかしら。

 わたしは呪舞をするために、軽めの武器を使ってたし、そういう意味でもわたし向きだったと思うわ。」


それじゃ、別に問題ないんじゃ…

何に慣れる必要があったのかな?


「ふふ、そんなに難しい顔しなくてもちゃんと種明かしするわよ。

 問題はね、[無垢なる白]に秘められた力だったのよ。

 魔法士ギルドで教えてもらったんだけど、剣を使って印を結ぶことで、悪魔や不死者みたいな不自然な存在に対して強い力を発したり、簡単な封印を施すことができるものだったの。」

「じゃあじゃあ、悪魔なんか怖くなくなった?」

「怖くないことはないんだけど、うまく使えれば有利に戦えるっていうのはあったわね。

 だから、そのための練習をしながら冒険してたわけ。」


そっかー…でもそんなことができるようになったら、きっと有名になっちゃうよね。

だからマリーさんはいろんな人に知られてるんだよね、たぶん。


「そして、わたしがだいぶ秘められた力を使いこなせるようになったときに、兄を含めて一緒のグループだった人たちが、アンフィト大陸に行くって言い出したの。

 ううん、わたしに[無垢なる白]を渡してくれたときにはもう決めていたの。」

「ふぇ…マリーさんは行かなかったの?」

「うん、一緒に行くって言ったんだけど、兄がどうしても許してくれなかった。

 父にわたしを頼まれて、わたしがある程度の力をつけるまで待っていてくれたのよね。

 そして、何度も話したけど、どうしてもわたしは連れて行けないのは変わらなかったから、わたしもあまりわがままを言って困らせたくないと思って、ついていくことは諦めたわ。」

「そなんだ…マリーさん、そのとき寂しかった?」


きっと寂しかったよね…

1人は寂しい…あたし、今、マリーさんやクルトさんと別れることになったら…ううん、そんなこと考えたくもない。

でも、マリーさんは少し笑って続きを話してくれた。


「寂しくなかったって言ったら嘘になるけど、それまでにみんながわたしのことをすごく考えてくれていたのもわかってたからね。

 それに、すぐに新しいグループを組むことになったからね。」

「ほへ…そなんだ。」

「ミアも知ってる人たちよ?」

「え、それってもしかして…!」


あたしが知っているって言ったら、そう…

フェリックスさんたちしかいないよね?

マリーさんはあたしの顔を見て、うふふっと笑った。


「はい、それじゃ新しいグループを組むことになったのは誰でしょう?」

「フェリックスさんたち…だよね?」

「正解、兄が冒険者ギルドにも声を掛けてくれていて、その中でわたしがいいなって思ったグループに入れてもらうことになったの。

 それがリックたちのグループだったのよ。

 まだそのときはリックもラルフもアリサもエリカも、駆けだしの子たちだったけどね。」

「そーなんだ…」

「さてと、そろそろいい時間だわ。

 今日はここまでにしましょう。

 また今度続きを話してあげるわね。」


まだまだ続きは聞きたいけれど、マリーさんもあたしも、明日もちゃんとがんばるためにはしっかり休まないといけない。

今日はお茶の用意もしてないから、もう休むだけ。


「マリーさん、ありがとーでした。」

「どういたしまして。

 それじゃしっかり休んでね。

 おやすみなさい。」

「はい、おやすみなさいです。」


マリーさんと別れて階段を昇って部屋に帰る。

今日もいろんなお話聞かせてもらえて嬉しかった♪

次はいつ続きが聞けるかな…?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ