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モノクロームの夢の中から  作者: 彩霞
1章 白枝亭での毎日
81/130

80 噂が立ってました

今日の夜の食堂営業は、いつもとちょっと違う忙しさ。

原因は…


「おまたせしました、日替わり2人前ですー。」

「おう、きたきた。」

「そういえばミアちゃん、今日えらく豪華な馬車に乗ってたんだって?」

「はぅ…何でみなさん知ってるんですか…」


けっこうたくさんのお客様が、あたしが馬車に乗ってたっていう話を知ってるみたいで、配膳するたびに聞かれてる気がする…

その度に同じ説明をしてるんだけど、お客様が入れ替わるとまた聞かれたりするの…


「…ということで、お友達に招待されたんです。

 あたしも馬車に乗せられるなんて思ってなかったですよぅ。」

「へぇ…ミアちゃんはすごい友達がいるんだなぁ…」

「そんなすごいって知らなかったです…」


配膳もどんどんしなきゃたまっていくから、お客様にお辞儀して、次のお料理を取りに行く。

厨房に戻ると、やっぱりちょっとたまってた。

よっし、次つぎー!




そうやって、何度も同じ話をしながら今日の夜も無事営業終了して、片付けも一段落した。

今日もいつも通り、仕事の後のお茶タイム。


「ミア、今日は大人気だったわね、うふふっ。」

「マリーさんまでー…

 でも何であんなに見られてたんだろ…」

「たぶん、話を聞いただけって人もいたと思うけどね。

 ミアもすっかりうちの顔だし、そんな豪華な馬車に乗ってたりすると、どこかに行っちゃうかもって思われたのかもしれないわね。」


んー…そんなことないのにね。

今のところ、記憶が戻りそうにもないし…

でもマリーさんとクルトさんが迷惑じゃなければ、このままでもいいかなって思ってたりもする…

何かとんでもない記憶とか思いだしちゃったらやだな…


「ミア、どうしたんだい?

 ちょっと疲れ気味かな?」

「はわ、違います、ちょっと考え事してただけです。」

「そうかい?それならいいんだけど。」


ちょっとぼーっと考えてしまったらクルトさんに心配されちゃった…

にぎりこぶしをつくって、元気をアピール!


「そういえば、結局どんなことしてたの?」

「んー…アルくんとメリーちゃん…あ、迷子になってた2人ね。

 2人ともあたしにありがとうを言いたかったみたい。

 それで、そのあといろいろお話してたんだけど、冒険者に興味があったみたいだったよ。

 街から街に移動するときに、護衛についてもらって、魔獣か何かと戦うところを見たことがあるって言ってた。」

「へぇ…あ、会ったのってその2人だけ?」

「ううん、」あとお手伝いさんみたいな人には会ったよ。

 迎えに来た人とは別の人に。」


ふーん、って何かうなずいてるマリーさん。

何か気になってたのかな?


「あ、あとね、魔法のこともお話したよ。」

「そうなの…魔法と言えば、最近ミアもアリサもタイミング合わなくて授業してもらってないわね。」

「うん…またお願いしてみたいな。

 そいえば、前にちょっと気になったことがあったんだけど、聞いていい?」


マリーさんに聞いてみることがあったんだよね。

ジュブのこと…聞いてもいい、よね。

マリーさんがうなずいてくれたから、思い切って質問。


「昨日、マリーさんが言ってた、ジュブって何かなって思って。」

「あー…わからないわよね。

 呪舞っていうのは、魔法みたいな効果がある踊りのことよ。

 これを踊れる人が舞踊士ダンサーとも言えるわね。

 普通の踊り子さんとはちょっと違う、かな?

 ま、魔法ほど効果がぱっと現れないとか、はっきりしなかったりもするんだけど…」

「ほへ…マリーさん、それができるの?!」

「引退してからやってないし、無理かもね…」

「えー、残念…見てみたかったよー。」


そのうち元気があったらねって言ってるけど…マリーさんいつも元気だよねー。

もうちょっとお願い攻撃してみたんだけど、やっぱりダメみたい…

お茶も飲んじゃったし、そろそろお休みしようかってことになった。


「じゃ、カップ洗うね。」

「そう?それじゃミアにお任せしようかしら。」

「はーい。」


マリーさんとクルトさんのカップも受け取って水場に持っていく。

3つだけならすぐだし、ぱっとやっちゃおう。

しっかりこすったカップを、桶にためた水ですすげば、はい完了。

あとはひっくり返して網の上に置いておけば、明日にはきっちり乾いてるはず。

マリーさんたちはもうお部屋に戻ってるかな?


食堂をのぞくと、まだ2人ともいた…

クルトさんは座ったままだったけど、マリーさんは立って…もしかして踊ってる?


「んー、ちょっと忘れてるかも…」

「それだけ覚えてるだけでも大したものだと思うよ。」

「せっかくだし、ちゃんと思い出しておきたいわ。」


んー、もしかして練習…?

じゃまするのも悪いけど、片付け終わったもんね…


「終わりましたー。」

「あ、ミアご苦労さまだったね。

 今日は休むとするかな。」

「はーい、お休みなさいです。」


マリーさんはずっと考えてるみたい。

きっと思い出してるんだろね。

クルトさんが押していってるから、きっと部屋には帰れるはずだし、あたしも今日はお休みしよっと。


んー、いつくらいにマリーさんの呪舞を見られるかな…楽しみ♪

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