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モノクロームの夢の中から  作者: 彩霞
1章 白枝亭での毎日
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73 お客様の秘密 その3

もうだいぶ遅い時間だけど、大通りまで出ると、まだ明るいお店があったりもする。

昼間に比べるとだいぶ人は少ないけど、人通りもあるんだよね。

そういえば、エステルさんは普通の服だけどレイアさんは来たときと同じマントを着てフードをかぶってきてる。

もしかして、今までも妖魔族の人が来てたこともあったのかな…?


「そういえば、ミアちゃんって妖魔族に会うのは初めて?」

「え、あ、はい…たぶん。」


ちょうど考えてたところにエステルさんの質問が来てちょっとびっくり。


「たぶんって?」

「だって、フードとかかぶってたらわかんないし、レイアさんがフードをぬいでたあとも、あたし気付かなかったから…」

「なるほどね…じゃあ、レイア見てどう思う?」

「ふぇ?…えーっと、きれいです!」


そのとき、なぜか2人の足が止まっちゃって、次の瞬間、レイアさんがわたわたして、エステルさんが笑いだした…

あれ?何か変なこと言ったかな…


「ほらほら、レイア、落ち着いて…ぷぷぷ。

 それにしても、ミアちゃんサイコーだわ。」

「は、はひ…ありがとーございます…?」


何だかほめられたのかな…?

エスリアさんが、わたわたしてるレイアさんをうしろからぎゅってして、動きを止めたら、ようやくレイアさんも落ち着いたみたい。

人通りが減ってるからか、あんまりあたしたちのことを気にする人もいなかったみたいで、また川に向かって歩きだした。


「こっちの大陸だとね、やっぱり妖魔族は少ないから目立つのよ。

 特に内陸に行けばいくほどね。

 人によってはあからさまに訝しげな視線をぶつけてくる人とかもいるから、レイアも結構気にしちゃってて。

 そこにミアちゃんのあの感想だったから、ね。

 ほんっとにレイアってばかわいいわー。」

「取り乱してしまってすみません…」


そっか…大陸ごとに分かれちゃったから、あんまり見ることなかったんだね。

でも、普通に仲良くできそうなのに、何でそんな風にみる人がいるのかな…

よくわかんないや。


「宿とかもだいぶ選んで泊まったりしてるんだけどね。

 あ、でも白枝亭はアンフィトにいたときにお世話になった人が進めてくれたんだよね。」

「そーだったんですか。」


それから、いろいろお話しながら3人で広場を越えて進んでった。

エステルさんたちはアンフィト大陸でグループを組んでたんだけど、こっちのリュシア大陸の遺跡についての文献について調べるために渡ってきたんだって。

何だかすっごい大冒険だよね。


そうこうしているうちに、川辺についた。

このあたりは割と浅くて、暑いときなんかは街の人たちもたくさん水浴びに来るところだけど、さすがにこんなに夜遅くには誰もいない。


「川下のほうに行けば、もうちょっと深いとこもあるんです。

 そっちの方がいいですか?」

「ううん、ここで十分です。

 ありがとうございます。」


レイアさんがそう言ったので、エステルさんもここにしよーって。

あたしもエステルさんも川辺で待ってるだけなんだけど、レイアさんはマントを脱いで、服の裾を持ち上げて川に入ろうとしてる。

両手がふさがってるから、明かりが持てないね…


「あのー、レイアさん、明かりいりますか?」

「少しは見えるので大丈夫ですよ。

 それに今は持てませんから。」


そういうとレイアさんはそのまま川に入ってく。

川の底って、ぐらぐらしてる石とかあるから、踏んじゃうとこけそうになったりするんだよね。

なんて考えてたら、エステルさんが耳打ちしてきた。


「妖魔族はね、闇に属する種族だから、暗いところでも割と周りが見えてるんだよ。」

「ほへー…すごいですねー。」

「うん、でもきっと今からもっとびっくりするかもよ?」


エステルさんが指さす先では、レイアさんが両手を組んで何か祈ってるような感じだった。

そして、次の瞬間、あたしは自分の目がおかしくなったのかと思った。

レイアさんの足が…長いお魚の尻尾みたいになっちゃったから!

でも、何だかとってもきれいで、思わず見とれちゃう…


「びっくりしたでしょ?

 鱗妖は2つの姿を持ってるの。

 今の姿だと、水の中でもスイスイなの。

 この姿が本来の姿みたいだから、足のまま長い間いると疲れるんだって。

 だから、水がたくさんあるところだと水浴びしたくてしょうがないんだよ。」

「そっか…大変なんですね…」

「うん、でもレイアにもゆっくりしてもらいたいからね。」


レイアさんはしばらく川の流れに身をゆだねてたけど、また両手を組んで祈ってる。

そしたら、今度はまた足に戻っちゃった。

川から上がってきたレイアさんに、エステルさんが持ってきてた布を渡した。

レイアさんは受け取った布で足をふいてく。


「すみません、ずいぶんお待たせしてしまいました。」

「わたしはいいよー。

 っていうか、誘わなかったらひどいんだからね。」

「わかっていますよ、ありがとう、エステル。

 ミアちゃんもありがとうございます。」

「あたしも誘ってもらえてうれしかったです。

 ありがとーございます!」


いろんなお話も聞けたし、レイアさんのきれいな姿も見せてもらえたからよかったなって思っただけだったんだけど、レイアさんはまた、わたわたし始めた…

そしてまたエステルさんがぎゅってして落ち着かせてる。

何だか最初はレイアさんの方がお姉さんっぽいって思ったけど、エステルさんの方がお姉さんなのかもしれないね。


目的も無事達成したから、あたしたちは宿に戻ることにした。

帰りにエステルさんが、明日、もう1人の妖魔族の方も紹介してくれるって約束してくれた。

その人は翼族っていって、その名前の通り翼を持ってるんだって。

仲良くしてもらえるかな?してもらえるといいな♪

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