表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モノクロームの夢の中から  作者: 彩霞
1章 白枝亭での毎日
72/130

71 お客様の秘密 その1

今日は初めて見るお客様が来た。

夜の食堂の準備をそろそろしようかなってくらいの時間に、5人組の冒険者さんたちが来たんだ。

そのうち2人はフードの付いたマントを着てる。

片っぽの人は、何かおっきなものを背負ってるのかな?


「いらっしゃいませ、お泊まりですか?」

「ああ、できれば2部屋頼みたいんだが…」

「少し待っててくださいね。」


マリーさんが厨房の方に行ってたから、急いで呼びに行こうとしたんだけど、扉のところで戻ってくるマリーさんとぶつかりそうになっちゃった。


「きゃう、ごめんなさい!」

「大丈夫?わたしもよく見てなかったわ。

 あら、お客様がいらっしゃったから、呼びに来てくれたのね。」

「うん、お泊まりで2部屋使いたいって…」

「わかったわ、あとはわたしがやるから、ミアは部屋の準備の方をお願いね。

 奥の2つ、隣り合わせのところね。」


そう言うとマリーさんはお客様の方に向かった。

あたしはそのまま2階に上がってお部屋の準備に。


「お待たせしました。

 それでは2部屋で用意させていただきますね。」

「ああ、それで…」


何かいろいろ相談してたみたいだけど、上にあがっちゃうとあんまり聞こえないんだよね。

とにかく2部屋だし、急いで準備しなきゃ。



準備が終わって階段を降りてくると、お客様たちはテーブルについてた。

やっぱりちょっと時間かかっちゃったかな…お待たせしちゃったみたいだね。

フードをかぶってた人たちも、フードを脱いでお茶してた。


「すみません、お待たせしました。

 お部屋の準備できました。」

「ミア、お客様のご案内もお願いするわ。」

「はーい、それではお部屋に案内いたします。

 こちらへどうぞ。」


お客様をお部屋まで案内してくと、男の人3人と女の人2人に分かれて部屋に入ってく。

鍵を渡して戻ろうとしたら、マントを着てるお姉さんに声をかけられた。


「あの…夜に少し宿を出たいのですが…よろしいですか?」

「夜っていうと…ご飯のときとかでしょうか?」

「いえ、それよりも遅くに、ですが…」


んー…前にフェリックスさんたちと流れ星見に行ったときは普通にお出かけしたけど…

ちゃんと聞いてきた方がいいよね。


「すみません、ちょっと聞いてきます。

 待っててください。」

「はい、それではお願いします。」


お辞儀して下に向かってるときに、何かちょっと気になった。

んー、何だろ?

とにかく、急いでマリーさんに聞いてみようと思って、階段の途中からマリーさんを呼んでみた。


「マリーさん!」

「ごくろうさま、あとは食堂の準備をしましょう。」

「あ、えっとね、お客様が夜に、ご飯の後でお外に出られるかって…」

「ん?あ…そうね、出るときと戻ったときに声をかけてくれればいいって伝えておいて。」

「はーい。」


そのままお客様のお部屋に向かう。

コンコン、とノックすると、さっきのお姉さんが出てきた。


「さっきのことですが、お出かけするときと、戻ってこられたときに声をかけていただければだいじょぶです。」

「そう、ありがとう。」

「それではごゆっくりです。」


そういってお辞儀して戻ろうとしたら、お姉さんがまた声をかけてきた。


「あの…わたしのこと…あ、いえ、ごめんなさい。」

「はひ…?」

「ごめんなさい、お仕事の邪魔をしてしまって。

 それでは少し休ませていただきますね。」


お姉さんはそういって扉を閉めちゃった。

どうしたんだろ…?

そいえばまた何か気になったような…


結局何が気になったのかはよくわかんないまま、食堂の準備も終わって、そのまま夜の食堂の営業が始まった。

今日もいつも通りのにぎわいだったんだけど、ちょっと落ち着いたところでマリーさんがあたしを呼んだ。


「ちょっと運ぶの手伝ってくれる?」

「ふぇ?」

「今日いらっしゃったお泊まりのお客様、お部屋でお食事したいってことだから、上まで運ばなきゃいけないのよ。」

「そなんだ、でも食堂はだいじょぶなの?

 あたし1人でも運べるよ?」

「まあ、2人でさっと行きましょ。」


マリーさんが3人分、あたしが2人分を持って2階に上がる。

あたしはさっきのお姉さんがいる部屋に持っていくことになった。

コンコン、とノックすると返事が返ってきた。


「お食事をお持ちしました。」

「はーい、すぐ開けるからちょっと待ってね。」


かちゃかちゃっと鍵を開ける音が聞こえて、扉が開いた。

出てきてくれたのはさっきのお姉さんじゃなく、もう1人のショートカットのお姉さんだった。


「ありがとう、わざわざ悪いねー。

 それじゃテーブルまで運んでくれる?」

「はい、あ、扉ありがとうございます。」


お姉さんが扉を押さえてくれてるから、そのまま中に入れてもらってテーブルにトレーを置く。

横に座ってたさっきのお姉さんも、ありがとうって言ってくれた。


「それでは、お食事がすみましたら廊下の方にトレーを出しておいてくださいね。」

「ありがとね。

 キミ、名前は何て言うの?」

「ふぇ…えと、ミアです。」

「そっか、ミアちゃんは普通に接してくれるんだね。」

「はひ?」

「じゃ、食べたらトレー出しておくからよろしくね。」

「あ、はい、ごゆっくりです。」


何だかよくわかんないけど、下もあんまり空けてられないし、2人にお辞儀して部屋を出た。

マリーさんはもう降りちゃったかな?

食堂が終わるまではまだ時間がありそうだし、早く戻らなきゃね!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ