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モノクロームの夢の中から  作者: 彩霞
1章 白枝亭での毎日
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6 再来

以前の侵入から数日後、宿の前を掃除しようと外に出たあたしを出迎えてくれた子がいた。



「にゃー」

「うわ、でたっ!…ってお化けじゃないんだしひどいよね…ごめん。」

「にゃ?」



そう、前にあたしの部屋にフホーシンニューしたネコだった。

それにしても会話になってるんだかなってないんだか…意外とあたしの言ってることわかってたりするのかなぁ?

とりあえず宿の前を掃いていく。

その間、ネコはずっとおとなしく座ってあたしのことを見てるようだった。



「そんなに見てたって、キミを飼うことはできないよ?あたし、ここの居候だもん。」

「にゃ?」

「ん~、だからあたしはここでお世話になってるだけで、ここのご主人さまじゃないから、許可は出せないってこと。なんて難しいよね。」

「にゃー…」



あたしの返事に、何か考え込むような仕草がちょっとかわいかったりする。

でも、やっぱりダメだよね。あたしじゃこの子にエサをやることだってできないし。

あたしを飼う(?)だけでもマリーさんやクルトさんには十分迷惑をかけてると思うし…。



「ごめんね、やっぱりきっと無理なの。」



うぅ、そんなきょとんとした眼で見られても困るから!

ちょっとかわいいけど、しょうがない。掃除を終えたあたしは、宿の中に戻った。








お昼ご飯時は朝晩に比べると、人も少ないことが多いのでちょっとは気が楽なんだけど、それでもお客様がいないってことはない。

ただ、お昼からお酒をたくさん飲む人もあんまりいないから、お給仕はそれなりにスムーズにできる。

夜は人もいっぱいで、お酒が入って盛り上がっちゃうこともあるから、気を抜くと運ぶの失敗したりするもんね。



とにかく今日のお昼ご飯も無事終わり、休憩がてら自分のお昼ご飯。

今日はうすっぺたく焼いたパンに、野菜のスープ♪

クルトさんのご飯っていつもおいしい。ほんとここでお世話になれたのってラッキーだなー。

なんて考えながら食べてたんだけど。



「ミア、スープこぼれてるよ。ニヤニヤして何か思い出し笑いかな?」

「ひぅ?あうぅ…クルトさん今日もおいしいですっ!」


うぅ、恥ずかしいとこ見られてた…

クルトさん、後ろ向いてるけど、肩が震えてるよ…そんなに変な顔してたのかなぁ…ちょっと気をつけないとダメかも…

っと、また考えに入りこんで大変なことにならないようにまずはご飯食べちゃおう。



「と、そうだ。私はこの後、ちょっと出かけてくるけど、ご飯が終わったら食器だけ頼んだよ。」

「はーい。どれくらいで戻られますか?」

「市場のほかに、鍛冶屋さんにも寄ってくるつもりだから、いつもよりは少しかかるかな。」

「お手伝い行かなくていいですか?」

「大丈夫だよ。そうだなぁ、マリーの方が何かあるかもしれないし、あとで聞いてみてくれるかい?」

「りょーかいです。いってらっしゃいです~。」



お鍋と包丁を1つ箱に納めて、あたしがぶんぶんと手を振ってるのに笑顔で答えてクルトさんは厨房から食堂の方へ出て行った。食堂には、カウンターと正面玄関があるから、多分マリーさんに行ってきますをして、正面からお出かけだね。



「マリー、ちょっと行ってくるから。」

「あ、クルト、行ってらっしゃい。」



向こうの部屋から、いつものように交わされるあいさつが聞えた。

マリーさんとクルトさんってほんと仲がいいなぁって思う。

それに2人ともとっても優しい。(もちろんあたしを置いてくれていることを差し引いても十分お釣りがくるくらいに!)

よっし、さっさとご飯食べて、食器片付けてマリーさんのお手伝いに行かなきゃ!

と思ってたらまた食堂の方からクルトさんのちょっと慌てた声が。



「うわっ、びっくりした。」

「どうしたの?大丈夫?」

「あぁ、大丈夫。足元にネコがいたから、危うく引っかけてしまうところだったよ。」

「もぅ、気をつけてね?」

「わかってるよ。いってきます。」



んー、やっぱり2人のお互いを思う気持ちを感じるなぁ。素敵なご夫婦♪



それにしても…ネコ…?ってあの子だよね、きっと。まだいたの…?(汗)

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