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モノクロームの夢の中から  作者: 彩霞
1章 白枝亭での毎日
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60 マーケット

今日は久しぶりに大きな商隊が来たみたいで、広場が大きなマーケットみたいになってるみたい。

普段、宿に必要なものを買い出しに行く市場は、広場から少し入ったところにあるんだけど、商隊が来たときは、市場に露店が並ぶのがいつもの形になってる。

それでも今回のは、普段の商隊より、規模がすごく大きいみたいで、お泊まりのお客様たちも、お昼前にはみんな出て行っちゃった。

そんなわけで、今日はお昼の食堂がとってもお客様の少ない日になっちゃった。


厨房の片付けは少なかったからすぐ終わっちゃったし、食堂の掃除をしてるマリーさんのお手伝いに行ったんだけど、こっちも使わなかったテーブルとかあったから、あっという間に終わっちゃう。

ということで、いつもより早めに休憩に入って、ゆっくりお茶の時間に。

そこで、クルトさんがこんな提案してくれた。


「せっかくだし、マーケットを見にいってみるかい?

 夜はお泊まりのお客様も戻ってくるだろうから、いつもの時間には仕込みに入らないといけないけど、時間は十分あるよ。」


いつもよりおっきな商隊ってことだから、何か珍しいものとか見られるかもしれないよね。

見たことない果物とか…


「ミア、嬉しそうね。

 お口、緩んでるわよ?」

「へぁっ?!はわわ…」


マリーさんに言われた通り、あたしの口は開いてたのだ…

うぅ、恥ずかしい…


「それで、どうする?」

「あたし、行ってみたいです。」


あたしの答えに、クルトさんはうんうんとうなずいてる。

でも、マリーさんは少し考えてるみたい。


「んー、ちょっとわたしは留守番してるわ。

 2人で行ってきたらどうかしら?」

「ふぇ?マリーさん行かないの?」

「ごめんね。

 でもせっかくだから、楽しんできてね。」


ふみゅ…ちょっと残念。

とゆことで、クルトさんとお出かけすることに。

一度部屋に戻って準備して、すぐに出かけることになった。


「いってきまーす。」

「いってらっしゃい。」

「それじゃ、すまないけど留守中頼んだよ。」


マリーさんに見送られて、広場に向かって出発~。

大通りまで出ると、確かにいつもよりも人が多いような気がする。

気のせいかもしれないけど…


「うわぁ…お店いっぱいだ…

 人もいっぱいだ…」


広場につくと、お祭りのときくらいに露店がたくさん出てたから、びっくりしたんだけど、クルトさんはあたしを見てあははって笑ってる。

広場いっぱいに露店があって、人もたくさんだから、はぐれないようにクルトさんの左腕につかまって歩くことにした。


ほんとにいろんなものが出てるんだね。

街ではあんまり見ることのない、海でとれるお魚の干物や塩漬けを並べてるお店では、クルトさんもいろいろ見てて、いくつか買ってた。

他にも香辛料や、貝でつくったアクセサリー、きれいな石とか…

あ、知ってる人発見!


「ラルフさーん、こんにちはー。」

「あ、ミアちゃん、クルトさんもこんにちは。」

「こんにちは、ラルフくんは何かお目当てのものが?」

「はい、これだけの規模ならって思ったんですけど、ありましたね。」


そういって指差した先にはいろんな武器と一緒に四角い塊が並んでる…金属の塊?

いろんな色があるんだ…


「質のいいインゴットなんて、普段は並ぶことなんてないですからね。」


そういってるラルフさんは、もう並んでる金属の塊に集中してた。

すっごい一生懸命に見てるし、邪魔しちゃだめだねってことであいさつしてお別れした。

その先でも、いろんな薬を売ってるところや、いろんな油を売ってるところや、革細工を置いてるお店なんかもあった。


「ほんとにいろいろ売ってるね。

 あっ!果物屋さんだー。」

「ミアはほんとに果物が好きだね。

 野菜も置いているみたいだね。」


クルトさんもそういいながら、やっぱり食材は気になるみたいで、2人でいろいろの物色してみる。

普段見ることのないような、変わった果物もたくさんあったから、何か買ってみようかな?

黄色くて細長い実がたくさんつながってるのとか、オレンジ色の卵みたいな形のやつとか、こい緑色で卵みたいな形だけど、表面がちょっとでこぼこしたのとか…まだ熟してないのかな?


「いらっしゃい、こんなのあんまり見たことないみたいだね?」

「はい、果物好きだけど、どれもみたことないです。

 この緑色のって、まだ食べれないんじゃ…」

「あぁ、これはね、この色でもう食べれるんだよ。

 中に大きな種があってね。

 種に沿ってナイフで切ってあげればきれいに2つに分けられるから。」

「ふーん。でも緑色だと甘くなさそう…」

「そうだよ、これは甘くない果物なんだ。」


甘くない果物なんかあるんだ…

それって、おいしくなさそうなんだけど…

って思ってたら、おじさんが笑って黄色くて細長いのを進めてくれた。


「こっちは甘いし、皮も手で剥くことだってできるから、お勧めだよ。」

「それだといくらですか?」

「1本なら銀貨1枚だな。」


うにゅ…ちょっと高いかも…

珍しい果物っぽいから高いのかなぁ…

迷ってたらいつの間にかクルトさんが後ろに立ってた。


「まあ、こういうものは運んでくるだけでも大変だからね。

 その小さな房でまとまってるのを買うなら少し負からないかい?」

「まとめてもらえるならこっちもありがたいんで、6本だけど、4枚ってとこでどうですかい?」

「じゃ、それでいただこうかな。」


結局、クルトさんが買ってくれたんだけど…いいのかな?

クルトさんはさっき買ったお魚を持ってたから、果物はあたしが持つことになったんだけど、じっと見てるあたしに気づいたクルトさんは、見上げてるあたしの頭をポンポンと叩いて笑った。


「私も食べてみたかったし、マリーにもお土産になるからいいんだよ。

 さ、とりあえず今日はここまでにしよう。

 明日か、もしかしたら明後日くらいまではこのマーケットは続くだろうからね。」


そう、気がつけばお日様がちょっと傾いてきてた。

ちょっと急ぎめで戻った方がいいかもしれないかな?

夜の食堂の準備もしないといけないもんね。


それにしても、この果物も楽しみだよね!

いろいろ出しちゃいました。

商隊は暖かい海辺の方から来たということで。

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