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モノクロームの夢の中から  作者: 彩霞
1章 白枝亭での毎日
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59 なかまがふえました

「ミア、終わったらちょっと来てくれるー?」


お昼の食堂も終わって、食器を洗ってるときにマリーさんの声が食堂の方から聞こえた。


「はいー、ここ片付けたらすぐ行きますねー。」


あたしもおっきな声で返事をして、洗い物を続ける。

今日はクルトさんがお昼の後、急ぎの用事で市場に行っちゃったから、食堂の方はマリーさんが、洗い物はあたしが担当することになってる。


ちょっと時間はかかったけど、洗い物完了!

マリーさんが呼んでたから、食堂に行かなくちゃ。

食堂に入ると、マリーさんはお掃除してる

そしてもう1人、テーブルについてる人がいた。


「ミアちゃん、こんにちは。」

「ユーリさんだー。いらっしゃいです。」

「あ、ミア、ごめん、お茶お願いしていいかしら?」

「はーい、すぐ淹れてきますね。」


厨房に戻って、お茶の準備。

ポットに茶葉とお湯を注いで、カップとストレーナーを一緒に持っていく。


食堂に戻ったときには、マリーさんもテーブルについて、お話してた。

テーブルで3つのカップにお茶を注いで差し出す。

そしてあたしも席に着いたんだけど…

何かお話があるのかな?


「それで、何とかなりそうなの?」

「はい、昨日も同じとこで見た人がいるそうなので、明日また行ってみようかなって。」


マリーさんとユーリさんが話してるけど…どこに行くんだろ?

って思ってたら、ユーリさんがあたしの方を向いた。


「実はね、昨日冒険者ギルドに行ったじゃない?

 あのとき調べた植物の魔物のことだけど、依頼主に直接お話を伺いに行ったの。」

「ほぇ…」


ユーリさんの聞いてきたところによると、依頼主の魔法士ギルドに所属する人が、植物を動かす魔法の研究をしてたみたいなんだけど、何か条件がおかしかったのか、魔法が変にはたらいちゃって、できた植物が、動物みたいになって逃げ出しちゃったっていうことだった。


「それで、とくに害はないみたいなんだけど、原因の解明になるかもしれないし、みんなを驚かせちゃだめだろうってことで、冒険者ギルドに依頼を出したっていうことみたいなの。」

「そうなんだー…

 魔法って失敗することもあるんだね…」

「そうね…ミアちゃんが使ってた癒しの魔法みたいにすぐ効果があるものは、失敗することはほとんどないみたいだけど、長い時間をかけてかける魔法とか、いろんな触媒を使うときなんかは、失敗することもあるみたいだけど…

 あたしもそういう魔法は知らないから、よくわからないんだ。」


あたしも、まだまだ知らないことだらけだもんね…

今度アリサさんかゼル先生に聞いてみよっかな?


「っと、ちょっと逸れちゃったね。

 この間あたしが見た魔物も、そのとき逃げ出したものに間違いなさそうなんだけど、今朝もう一度、冒険者ギルドに行ったときに、昨日もあたしが見た場所と同じようなところで、その魔物を見た冒険者がいたって聞いて、もしかして捕まえられないかなって思ってね。」

「ユーリさん、捕まえに行くの…?

 危なくないの?」


フェリックスさんたちも言ってたけど、他の冒険者さんたちも、悪魔が出たとか言ってたし…

ちょっと心配かも…

って思ってたんだけど、ユーリさんがテーブルの上に何か出したんだ。


「…あれ、これってギルドの身分証カード?」

「うん、何だか自分でやってみたくなっちゃって。

 実は今まで、冒険者ギルドってもっと怖いとこかなって思ってたんだけど、ミアちゃんと一緒に行って、割と信頼できそうかなって。

 登録しないと依頼を受けられないからね。

 それで、うちのお店に来てくれてる知り合いの冒険者で手が空いてる人が、一緒に行ってくれるから、大丈夫よ。」


ユーリさんの言葉を聞いて、マリーさんが苦笑してる。


「やっぱり、冒険者の一般へのイメージって偏ってそうねー。」

「あはは…マリーさんとか、個人的にお付き合いのある人たちはみんないい人ばっかりなんですけどね。

 それで、さっそく明日、行ってみようかっていうことになって。」

「なるほどね。

 急みたいだけど、準備はしっかりしておくこと。

 あとは、いくら注意してもしすぎるってことはないから、簡単そうだとか、気を抜かないようにね。」

「はい、ありがとうございます。

 それじゃ、ちょっと準備もあるし、ミアちゃんにも冒険者仲間になったって報告できたから、今日はこれで帰りますね。」


そっか、ユーリさんわざわざ来てくれたのって、そのためだったんだ。

もしかしたらいつか一緒にお仕事することもあるのかな?

何て考えながら、玄関までユーリさんを見送りに行く。


「お茶、ごちそうさま。ありがとね。」

「気をつけて行ってきてください!」

「うん、また報告に来るね。

 それじゃ。」


あたしも手を振って、ユーリさんを送りだした。

うまく捕まるといいなー。

捕まったら見せてもらえるかな?


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